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 「3」岐阜中心市街地活性化は可能か?


 この様に人口40万人の都市の中心地で有るものの、隣接の大都市名古屋(特に名駅地域)とオーキッドパーク等のローサイド店や(北方町等に有る)ジャスコ等のショッピングパーク等に客を奪われ、極めて危機的に有る岐阜の中心市街地ですが、果たして活性化する方策は有るのでしょうか?その方策を「JR・名鉄岐阜駅前」「徹明町・柳ヶ瀬地域」に分けて考えたいと思います。
 

 「JR・名鉄岐阜駅前地域」

 JR岐阜駅前は駅前広場等開発の基盤を整備中で、駅近接の「大岐阜ビル」「 岐阜シティ・タワー43 」等の再開発が順調に進んでいて、「名駅まで僅か(最短)18分・毎時8本(有効列車)運転」と言う地の利をアピールする事で「ビジネス街」「マンション開発」等で開発を進めて行くことは可能で有ると思います。今成功している路線なので、この路線が成功する事は間違いないと言えます。
 名鉄岐阜駅周辺も新岐阜百貨店閉店→建物解体で広大な敷地が捻出されます。此処も各務原線が発着しており、各務原市から乗客を集めてきてくれるターミナルです。名鉄はJRに劣っていても名駅まで25分ですし、中部国際空港まで直結していると言う立地は、大きなアピールポイントになるでしょう。この様な立地であれば既存のロフトのような専門大店や書店などの実用的かつ準日用的な店であれば成功するでしょう。其処から派生してマンションを中心に大きくないオフィス・文化施設等を核にした開発でも成功すると思います。その点ではJR岐阜駅前と同じ様に再開発・再配置の余地が有る分、活性化をさせる事は比較的容易で有ると思います。多分この土地に関しては名鉄が駅前の一等地を寝かして置く訳も無いので開発の青写真を考えている事でしょう。
 この様な再開発・再配置が可能な敷地的余地の有るJR岐阜・名鉄岐阜駅前は、地方都市の駅前的な商業集積から、かなり割り切った考え方が必要ですが、再開発で「名古屋の衛星都市」的な都市構成に変化させる事で活性化は可能で有ると言えます。


 「徹明町・柳ヶ瀬地域」

 徹明町・柳ヶ瀬地域は、駅前の大型店の新岐阜百貨店・パルコが悩まされた、強大な競争相手名駅の百貨店・専門店の脅威に対しては、対名古屋連絡の鉄道駅から徒歩で10分近く離れている為に、その脅威からは岐阜駅前ほど曝されている事は有りません。その点は「JR・名鉄岐阜駅前」より恵まれていると言えます。
 しかしこの地域の問題は「店舗構成が古典的な高年齢向け洋品店や飲み屋系の飲食店が多い」「主要利用客である郊外客が郊外ショッピングモール等に逸走している」「車での利用するには使い辛い商店街」と言う点に有ると思います。
 幾らなんでも「古典的な高年齢向け洋品店」や「飲み屋系の飲食店」が多い状況では、周辺から買い物客は近寄りません。又近鉄百貨店跡→中日ビル等の再配置も進んでいますが、写真(9)に有る様な長崎屋跡地が未だ未開発と言う様に空き店舗も多く有ります。
少なくとも今の人たちは日常品は車で買いに行く事が多い状況で、車では使い辛い中心市街地は敬遠されて、車でアクセスしやすいローサイド店やショッピングモールに逸走しやすいと言う状況は、この地域に限らず全国共通で有ると言えます。
 又柳ヶ瀬地区でも駅前地区ほどの規模ではありませんが、「 柳ケ瀬通北地区市街地再開発 」と言う再開発事業も行われています。しかしこの際開発では1階・2階こそ食品系商業施設ですが、3階〜5階は福祉施設・5階〜10階が老人ホーム・11階〜13階が高齢者住宅と言う様に老人用施設が主体の再開発です。確かに補助を受けやすいと言う点ではこの様な施設を集めた方が事業として成立しやすいのでしょうが、せっかくの密集市街地での再開発事業です。「岐阜高島屋のリニューアルに続く」「商店街再生の刺激となる成功例にしたい」と意気込んでいるようですが、果たしてこの様な高齢者向けの施設が、徹明町・柳ヶ瀬地域の中心市街地の開発に結びつくのでしょうか?大いに疑問です。
 この徹明町・柳ヶ瀬地域の状況から見ると、少なくとも「中心市街地活性化への統一した方策」が見出せていないと言えます。確かに岐阜は高齢化が進んだ地域でも有るので、高齢者施設も必要でしょう。駅前再開発(岐阜シティタワー43)にも高齢者住宅が入っていますが、それは一部です。一部入ると言う事は街のバランス形成から考えれば好ましい事ですが、「柳ヶ瀬北地区」の様に再開発建物の殆どを高齢者用にすると言うのは、街の活性化と言う点から考えて如何な物でしょうか?
 それとも「高齢者を中心の中心市街地活性化」を考えているのでしょうか?一般的側面から考えて、その様な街が存在しても良いと思いますが、街の活性化と言う点から考えると、購買に関して積極的な若者〜中年層を取り込むほうが好ましいと思います。「若者は駅前・周辺部に任せ、徹明町・柳ヶ瀬は高齢者に優しい街を目指す」と言うコンセプトが出来ていれば良いのですが、街のコンセプトも考えないで高齢者施設を再開発施設内に設置するのは如何な物でしょうか?この事は「徹明町・柳ヶ瀬地域」が「明確な中心市街地活性化の方策を持ち合わしていない」と言う事を如実に示していると言えます。


 「この様な状況で活性化は出来るのか?」

 岐阜の中心市街地は、駅前地域・柳ヶ瀬地域共に上記の様な状況です。駅前地域は総合的な意味で活性化は進んでいますが、徹明町・柳ヶ瀬地域では活性化は進んでいません。
 これらの地域は国により「 岐阜市中心商店街再生特区 」として国に認定されていて、「活性化プロジェクト」や「大規模小売店舗立地法の届出適用緩和」等の規制緩和が行われています。
 この活性化事業も、岐阜駅前整備事業以外は効果を発揮しているとはいえません。特に規制を緩和した大型店舗は、増加するどころか新岐阜百貨店・岐阜パルコの撤退が発生する等、規制緩和で狙った効果とは逆の減少と言う事象が起きています。同じく柳ヶ瀬の再開発のように、再開発事業でも大規模店舗が入らず、老人ホームのような老人向けの施設が出来ると言う様な規制緩和で狙った効果が発揮できていない状況が現出しています。
 この様な状況でしょうから、少なくとも特区設置時に示した目標「大規模小売店舗出店」「中心部における小売販売額の増加」「歩行者通行量増加」「雇用の増加」と言う目標は、達成できないでしょう。これでは中心市街地活性化は達成できていないと言えます。
 なぜなら旗振り役の岐阜市が現状を把握していないからだと推察します。その象徴が「 岐阜パルコ撤退時の細江市長のコメント 」です。市長は「再開発は順調に進んでいる。それなのに、なぜ核となる商業施設が次々と撤退してしまうのか。」とコメントしていますが、再開発は順調に進んでいても再開発は商業施設を中心とする開発でなく既存の商業施設と今の再開発はリンクしていません。
 加えて岐阜中心市街地に有る大型店舗は最大の岐阜高島屋でも18,870㎡の大きさしかなく、大部分が設置後25年以上と老朽化も進んでいます。(岐阜高島屋はリニューアルしたが)これでは廻りの再開発が進んでも、置いて行かれるだけです。まして周囲ではもっと店舗面積も広く駐車場も併設しているショッピングモールも出来ていますし、競争相手の名駅のJR高島屋は岐阜駅前・徹明町・柳ヶ瀬地域の全大型店舗の店舗面積57,981㎡(撤退予定の新岐阜百貨店・パルコ含む)よりも大きな65,000㎡の店舗面積で都市間競争を挑んできています。これでは幾ら対策をしてもかないません。
 敵が強大で適わないのに、同じ大規模店舗と言う土俵に乗って対抗しようと言う発想自体に問題が有ります。実態は岐阜市商店街振興組合連合会の大塚滋治理事長が述べているように「 もはや岐阜駅前は、岐阜の商業地区というよりも名古屋通勤をにらんだ住宅地区としての魅力のほうが勝っているのでは 」と言う状況が、岐阜駅前だけでなく岐阜中心市街地全域に該当すると言う事に有ります。
 逆に岐阜駅前はその利便性で「名古屋の通勤圏」として売り出せますが、名古屋までの距離が遠い分徹明町・柳ヶ瀬は名古屋の通勤圏としても生き残る事は困難です。この様な状況で特に活性化の方策を見出すのが困難と推察される徹明町・柳ヶ瀬地域を、如何にして活性化して行く事が出来るのでしょうか?


 ( 「4」 中心市街地活性化策として主張される「路面電車再生プロジェクト」を考える  へ続く )





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