このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



☆ 何故トヨタは中部国際空港建設に深く関与したのか?
 

 先ずは中部国際空港を考える上で、一番重要なのは出資者の一人であり、社長他複数の出向者を送り出し、経営方針の根幹を考えている中部経済の雄トヨタ自動車の存在です。
 世界最大級の自動車会社と空港、完全にお門違いに見えますが、このお門違いの組み合わせが中部国際空港成功の大きなポイントで有る事は周知の通りです。では何故この様な組み合わせが出来たのでしょうか?

 今日本では「やっと景気回復の目が出てきた」と言われていますが、その中でも一番景気が良いのは名古屋を中心とする東海圏です。東海圏はトヨタを中心とする自動車産業が好調で、物造り産業を景気牽引の原動力とし、それに加え昨年は「愛・地球博」の成功や中部国際空港の開港等も景気牽引の後押し役となり、いまや東海圏の経済は日本の中で一人勝ちの状況になっています。
 その一人勝ちを支えているのは、ご存知「 世界最大の生産台数に迫りGMを抜く勢い 」が有るトヨタです。昔は中部財界のトップは「五摂家(松坂屋・名古屋鉄道・中部電力・東邦ガス・東海銀行)」がトップを占めてきましたが、いまや経団連会長を輩出しているトヨタ自動車を中心とする「御三家(トヨタ自動車・JR東海・中部電力)」がトップを占めています。
 そのトヨタが、中部最大級のビックプロジェクトである中部国際空港の建設に、名古屋財界に乞われて出資だけでなく、平野社長を含む複数の出向者まで出して全面的に協力しています。

 元々華々しい社会貢献活動や財界活動に背を向け「三河の内弁慶」と言われて、只ひたすら社業の自動車生産に専念していたトヨタ自動車ですが、その結果「塵も積もれば山となる」精神で、1台150万円のカローラをこつこつ売りさばき経常利益1兆円の「世界最大級の自動車会社」に成長しました。
 今回の中部国際空港建設建設では「名古屋財界を背負って立つと言う気概」と「中部財界に乞われた義侠心(意外にトヨタが義理堅いと言うのは有名、昔会社争議の時に協力した三井銀行をずっとメインバンクにすえて、非協力的だった住友銀行とは付き合わなかった話は有名である)」で、トヨタを上げてのプロジェクトとして取り組んだ点(トヨタが派遣した平野社長は、元は傍系の関東自動車工業社長)に今までトヨタには無い特長が有ります。
 今やトヨタは 中部経済連合会 会長に最親密の傍系会社で創業者一族に連なる豊田自動織機名誉会長豊田芳年氏を送り込んだり、御三家企業のJR東海・中部電力と組んで「 海陽学園 (世界に通用するリーダーを育てる事を目的に造った全寮制中高一貫校)」を造るなど、中部財界の活動に積極的に取り組んでいます。
 
 そのトヨタが中部圏の命運を背負い、1兆4582億かけて造り失敗しつつある関西空港の失敗が問題となる中で、 トヨタの経常利益2兆円 の約半額の1兆944億円の予算(内トヨタが社長を送り込んだ中部国際空港㈱分は7680億円)をつぎ込んで造る中部国際空港で、主導的な立場を取り事業を進めています。
 1台150万円のカローラを売り2兆円稼いで、世界の自動車のメッカであるデトロイトで「晴れた日にはGMが見える」と言わしめたGMを、遂に生産台数で迫るまでに成長させたトヨタ自動車が、如何なる経営手腕を発揮し、如何にして空港経営を変えて行くか、その改革は非常に興味が有る内容で有ると言えます。



( 「 ☆トヨタが中部国際空港で示した可能性は何か? 」 へ続く )





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