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出張レポート(1)

阪急・京都本線

「ボクも出張について
行きたかったナ〜」

2005.9.23

Ⅰ 梅田ターミナルを発つ

9月17日(土)午後2時、阪急梅田駅に到着する。梅田は、京都線(京都本線・千里線・嵐山線)、宝塚線(宝塚本線・箕面線)、神戸線(神戸本線・伊丹線・甲陽線・今津線)の各“本線”が着発する。日本で最大の私鉄駅である。
櫛形10面9線のホームは各線両面使用で乗降分離されており、正面向かって右から乗車ホームに1〜9までの番号が付されている。このうち、1〜3号線が京都線、4〜6号線が宝塚線、7〜9号線が神戸線のホームである。ちなみに阪急では“○番線”といわずに“○号線”という。阪急独自の呼称である。

まず、駅の中を観察しよう。
梅田駅はホームが3階にあり、2階と3階に改札口がある。2階の改札口は南側に中央改札口、北側に茶屋町口改札口があって、中央改札口利用者は中央階段へ、茶屋町口改札口利用者は北側階段へ誘導される。また、3階改札口利用者は最後尾の南側からホームに入ることになる。梅田駅は頭端式の駅にありがちな乗降客の集中とホームでの長距離移動を避けるため、巧みに工夫された構造になっている。

梅田駅京都線(1〜3)、この左に宝塚線(4〜5)、神戸線(7〜9)のホームがある

次にホーム先端で構内配線の形を見た。
行止式3線の場合、よく見かけるのはシーサスクロッシングが分岐より先にある形である。梅田ではこれが手前にあって、2号線と3号線を結んでおり、1号線からの渡り線は直接本線へ連絡している。
図−2で示した東武東上線池袋駅のような配線が一般的であると思われるが、帰宅後調べたところ相模鉄道横浜駅と神戸電鉄(神戸高速鉄道)新開地駅が梅田と同様の配線であることが判明した。
配線の妙もさることながら、阪急は標準軌(1435mm)を採用しており、出入する電車に安定感がある。もっとも関西の私鉄は標準軌が主流で、JRと同じ1067mmの狭軌を採用しているのは、大手5社と大阪市交でみると、南海電鉄と近鉄南大阪線系統など少数派である。

大きな○×で分かりやすい改札口

ラガールビジョンに映し出された行き先表示

さて、いよいよ電車に乗ることにする。10分ごとに特急河原町行が発車し、その3分後に急行河原町行が出る。さらに、その2分後に高槻市行と北千里行が交互に発車する。したがって、梅田発の高槻市行と北千里行の普通は、それぞれ20分間隔の運転であるが、淡路で高槻市行は天下茶屋発北千里行、北千里行は同じく天下茶屋発高槻市行に接続するため、実質10分サイクルが確保されている。
まずは次の十三まで。梅田から十三までは3複線区間で、宝塚線と神戸線には中津駅があるが、京都線にはない。阪急の中でも京都本線は別格のようだ。
十三で3線は別れ、それぞれの目指す方向へ向かう。十三では普通に乗り換えた。

マルーンカラーにアルミ日除け、
白いシンボルマークの阪急電車

木目模様で統一され、落ち着いた雰囲気の6300系車内

十三の次は南方である。南方は地下鉄御堂筋線の西中島南方の駅に近い。御堂筋線で梅田から先に行く場合には南方での乗り換えが便利で、このため南方は小駅ながら乗降客が多い。ここで途中下車して地下鉄駅のホームに立ってみた。

新大阪の駅が思ったより近くに見える。地下鉄は高架で自動車専用道路に挟まれた中央部分を走っている。大阪市営地下鉄は軌道法で特許されている。路面電車とは似つかぬものの、道路と一体で整備されたとすれば、法的根拠も納得のゆくものである。
阪急にもどる。
普通に乗り、崇禅寺を過ぎて淡路に到着したときには午後3時になっていた。

新御堂筋の中央を走る地下鉄御堂筋線
阪急は南方(みなみかた)、地下鉄は西中島南方(・・・みなみがた)

Ⅱ 淡路ジャンクション

淡路は京都線の中で最も興味の惹かれる駅である。京都本線と千里線が交差し、普通が相互に連絡して行き先別に振り分けられる。その様子を2、3号線ホームで観察した。ちなみに当駅は1号線が欠番になっており、2、3号線は、河原町、北千里方面ホームである。
河原町、北千里方面への運用は次表のとおり、20分サイクルで同じパターンを繰り返す。

時刻2号線3号線
15:05普通梅田→高槻市普通天下茶屋→北千里着・発
15:07特急梅田→河原町通過
15:09
15:11急行梅田→河原町着・発
15:15普通梅田→北千里着・発普通天下茶屋→高槻市
15:17特急梅田→河原町通過
15:19
15:21急行梅田→河原町着・発

Ⅲ 千年の都へ

淡路からは急行で高槻市へ向かう。高槻市までは地下鉄堺筋線が乗り入れており、折り返しの様子を見た。引上線は京都側のはるか彼方にあり、駅に到着した電車はすぐに直進して引上線に入る。数分後には折り返して梅田・天下茶屋方面行ホームへ入ってくる単純な動きである。
高槻市からは急行(各駅に停車)で次の上牧に向かう。ここから大山崎までは東海道新幹線との並行区間である。上牧駅ではホームから目の前を通過する新幹線を間近に見ることができる。しばらく新幹線を見た後、再び急行で河原町に向かった。
大山崎の先でJR線をアンダークロスするが、ここで金沢行「雷鳥」と出会い、しばらく並走した。

大山崎付近で485系金沢行特急「雷鳥」と並走する

堺筋線直通大阪市交66系車両

上牧駅ホーム脇を駆け抜ける東海道新幹線

京都本線と千里線の電車が入れ替わる運行シーンは、
マジックを見ているようで飽きない。
普通高槻市行は、千里線の普通が出たあと特急通過の待避で4分ほど停車して発車するが、その2分後に当駅を発車する急行を2駅先の相川で再度待避する。茨木市までは待避が2回あり、その結果特急の2倍近い時間を要する。途中緩急接続のない遠近分離のダイヤで、普通のみ停車駅利用者には梅田・茨木市間が案外遠い。

桂で特急に乗り換える。
西院の手前で地下に入るが、このとき運転席後方の遮光幕が静かに降りてゆく。阪急の電車は何かにつけ動作がスマートだ。ちなみに阪急では西院を“さいいん”と読むが、近くにある京福電鉄嵐山線西院駅の読み方は“さい”である。
特急はかつて京都側のターミナルであった大宮を通過し烏丸に着いた。烏丸は京都市営地下鉄烏丸線との乗換駅である。烏丸を出ると終着駅河原町は目前で、電車はゆっくりとホームに滑り込む。時計を見ると午後5時を回っていた。

切り欠きホームの2号線は日中は使われていない

河原町駅は1面ながらホーム先端が切り欠きになっていて3本の着発線を持つ。四条通りは案外狭く、河原町駅は、その地下空間を有効に利用した構造である。当駅では日中は2号線ホームは使用せず、1号線は特急、3号線は急行が使用して対応している。ちなみに京阪淀屋橋駅もこの駅と同様の構造であるが、後で調べたところ両駅ともに1963年(昭和38)の同時期(河原町が6月、淀屋橋が4月)に開業していることが分かった。
地上に出れば四条河原町は京都随一の繁華街。3連休の初日とあって大勢の人々で賑わっていた。

京都随一の繁華街・四条河原町は大勢の人で賑わう

きょうの1枚

十三駅に入ってくる5300系

淡路駅ホームに並んだ高槻市行と北千里行

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PENTAX Optio

河原町駅1号線で出発を待つ9300系特急電車

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