このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

昭和で時代が止まった町
  (月江寺駅〜下吉田駅)

富士吉田市の本町界隈は、昭和30年代の建物が軒を連ねる。「三丁目の夕日」地方版の風景だ。最近この町並みが注目され、しばしば映画やテレビのロケに使われるようになった。
往年の賑わいは望むべくもないが、何故か懐かしいこの町を月江寺(げっこうじ)駅から下吉田駅まで散策した。

ボクもおともしました(下吉田駅前にて)

スタートの月江寺駅は坂を上ったところにある。旧市街の中心に近いが、行き止まりの場所だけに周囲は静かである。すぐ近くに高校があり、朝夕は通学利用の生徒が多い。
駅を出て左に折れると富士学苑高校がある。富士急行線沿線では唯一の私立高校である。隣接している月江寺が経営する学校で仏教の教えを基本とし、進学・スポーツ・文化活動などあらゆる方面に力を入れ、実績に結びつけている。1学年180名程度の小規模校ながら国立大学や有名私大へ進学する者も多く、また部活動では女子バスケットボール部やJazzバンド部などの活躍が目立つ。

月江寺駅正面

富士学苑高校の正門前を過ぎると水上山月江寺の境内である。月江寺は臨済宗妙心寺派の名刹。広い庭は高校の運動にも使われている。山門を出ると小さな池があり、水鳥が群がっている。ここから先へ進めば:「月江寺通り商店街」である。

2006.3.26

水鳥が休む月江寺の池

←水上山月江寺
(山門から本堂を望む)

↑富士学苑高校正面玄関

「月江寺通り商店街」は池と本町通りとの間、約200mを結んでいる商店街。
まず目につくのがの左手の立派な建物。以前内科医院だったが、今でも診療しているのだろうか。
商店街の案内ゲートの先には懐かしい店々が並ぶ。
本屋さんは私たちが高校生の頃とまったく変わっていない。子供向け中心の営業は健在だ。
古い家屋を生かしたつくりの喫茶店。落ち着いた外観が街の雰囲気にあっている。

月江寺商店街の案内ゲート

立派な門構えの内科医院

子供向けの本屋は健在

古い建物を生かした喫茶店

月江寺通りを抜けて本町通りに出る。2階の窓に特徴のある建物が並んでいる。今、空洞化によりシャッターが降りたままの店舗が目立つのは淋しいが、かつてこの店ができたときの店主の喜びと意気込みが伝わってくるようだ。
さらに進めば理髪店。これも立派な現役である。

現役の理髪店

2階の窓に特色のある本町通りの商店

このあたりは路地が多い

路地に入り下吉田駅に向かう。丘の上に白くて大きい木造の建物が見える。旧下吉田町役場庁舎だときく。手入れが行き届かず荒れている。何か活用の手立てはないものかと思う。
隣は小室浅間神社である。祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、創祀は808年で征夷大将軍・坂上田村麻呂によるとされている。地元では北口本宮に対して「下浅間」(しもせんげん)と呼んでいる。境内は意外に広く、町の中にありながら静かで落ち着いたたたずまいを保っている。
一角に馬場があり何頭かの白馬が飼われている。馬小屋に「神馬舎」とあるのは、毎年9月19日の例大祭に流鏑馬に使われる馬だからであろうか。
この神社の流鏑馬は少し変わっていて、矢は空に向かって射る。馬の駆けた足跡により占人(うらびと)が吉凶を占うというもの。800年以上にわたり一度も欠かすことなく続けられてきた伝統が保たれている。

高台に建つ旧下吉田町役場

←荘厳なたたずまいの小室浅間神社

↑境内にある馬場

小室浅間神社の境内を出て左に曲るとなだらかな坂が続き、正面に下吉田駅が見えてくる。駅前は広いが静かでのどかな雰囲気だ。
かつて織物の町の中心として栄えていたころ繁華だった本町界隈も、今や時代に取り残された感がある。この町を地元紙は「昭和で時代が止まった町」と紹介した。この町が元気を取り戻し、懐かしさだけでなく真に再生することを願う。

駅前が広い下吉田駅

庭先で見かけた梅
北麓の春も近い

駅周レポート(2)

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