このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

2007.8.12

観光レポート

忍野八海の夏

忍野八海(おしのはっかい)は、富士北麓の忍野村にある八つの湧水池の総称である。
富士山に積もった雪が解け、湧き出してくるまでには約80年の歳月を必要とする。
あくまでも澄みきった水は、昭和60年に「全国名水百選」に選ばれた。

忍野八海の中心は湧池周辺で、四季をとわず観光客で賑わっている。湧池に続く通りには土産品店が並んでいるが、手作りの商品を提供している店が多い。試食をさせてソバを売る店もあればヨモギ餅を焼いている店もある。
湧池は直径10mたらずの小さな池であるが、覗き込んでみると水草がなびき、コンコンと水が湧いているのが見てとれる。
湧池の隣に中池という大きな池があり、こちらの方が人が多いが、実は中池は、忍野八海には数えられていない。

忍野八海の魅力は水そのものとともに、水が富士山や茅葺屋根の民家などと織り成す風景の美しさであろう。
アマチュア写真家で、忍野の風景に魅せられて頻繁に訪れる人も多い。

中池のすぐ隣が濁池で、池はそのまま川になっている。この川に沿っ行くと左に銚子池がある。潅木林の中にある小さな池である。銚子池を過ぎて、さらに川沿いを行くと、新名庄川に合流する。この付近は、「春の小川」や「めだかの学校」といった唱歌を思い出させるような、懐かしい景色である。

駐車場の目の前に「八海庭園・彦兵衛屋敷」という有料の施設がある。入場料は200円だが無人で、入場者が自発的に料金箱へお金を入れる仕組みになっている。庭園内はよく整備されており、寄ってみる価値はある。

湧池紹介のところでも触れたが、忍野の土産は、当地ならでは、といったものが多い。
おすすめの第一はソバである。気をつけて道の両側を見ていると、ところどころに製麺所の看板が目に入る。忍野のソバはソバ粉100%なので色が黒いが、素朴なうまさが魅力である。値段も安く、500円も買えば、一家で十分に味わうことができる。

おすすめの第二は野菜である。忍野八海から山中湖へ行く道は、途中にロボットメーカーのファナック本社があるため「ファナック通り」と名付けられているが、夏になると農家の人たちがトウモロコシや野菜の露店販売をするため、モロコシ街道とも呼ばれている。新鮮さはもちろんのこと、100円単位の値段もうれしい。
一般的に、観光客向けの土産は高いのが相場だが、ここ忍野ではそういうことはない。

出口池は、他の池とは少し離れたところにある。訪れる人は少ないが、静かな雰囲気の落ち着いた場所なので、足を伸ばすのもよい。

この近くに、お釜池がある。歩いて跨げそうな小さな池であるが、底が見えないほど深い。なんとも不思議な池である。
お釜池からしばらく歩けばバス通りへ出る。

茅葺屋根の水車小屋は忍野八海のシンボル的存在

湧き出る水でさざ波がたつ湧池の周囲は観光客が絶えない

中池は最も大きな池だが忍野八海のなかには入っていない

茅葺の農家を背景にした銚子池

今では懐かしい川沿いの景色

小さくて深いお釜池

出口池は他の池とは少し離れたところにあり静かな雰囲気に包まれている

八海庭園から富士山を望む【クリックで拡大】

「試食歓迎」のソバ土産店

無人売店は100円単位の信用販売

忍野の田んぼから見た夏の富士山

(※) 忍野八海=出口池、お釜池、底抜池、銚子池、湧池、濁池、鏡池、菖蒲池
           富士吉田からバスで20分

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