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    特急誕生10周年
  〜私鉄特急拡大研究〜

記念レポート

2008.6.20

【ブラン】1998年(平10)7月6日、1000系車両による特急ふじやま号が誕生してから、今年で10年になります。
この間、2002年(平14)2月28日にはフジサン特急が登場し、富士急行線の特急列車はますます存在感を高めています。
今回は、私鉄と富士急行線の特急列車について考えます。


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【ブラン】所長、おはようございます。

【富士三六】おはよう。

【ブラン】それでは、早速はじめたいと思いますが、話の前に一応確認しておかなければならないことがあります。

【富士三六】ほー。なにかな。

【ブラン】私鉄の場合、JRと違い、一口に特急といっても各社各様ということです。特に特急より上の種別の列車がある点に注意が必要だと思います。

【富士三六】なるほど。

【ブラン】例えば、京成電鉄では、特急の上に「スカイライナー」という種別があります。京浜急行の「快特」や、阪神電鉄の「直通特急」も特急より上の種別だと思います。そこで、このような場合、特急とは、その路線で最上位の列車種別ということにしたいと思います。

【富士三六】なるほど。ブランもなかなか緻密になってきたな。

1.大手私鉄の特急列車

【ブラン】まず、大手私鉄16社についてですが、東京メトロへ小田急ロマンスカーMSEが乗り入れたので、相模鉄道を除いた15社が特急列車を運転しています。

【富士三六】なるほどね。

【ブラン】そこで、これらを大きく二つのグループに分けてみました。すなわち、有料特急のグループと特急料金不要のグループです。

【富士三六】それは、よい分け方だと思うけど、それでどうなったね。

【ブラン】右の表のようになるんですけど、全体的にいえることは、有料特急はグレードの高い特別な車両を使用している、ということですね。だから特急料金というのは一般的に、速達性プラス快適性の料金ということになるのではないでしょうか。

【富士三六】なかなか読みが深いな。

【ブラン】その説でゆくと、ちょっと変わっているのが名鉄特急で、特急料金(速達性)は無料だけど、特別車に乗ると料金(快適性)がかかるんです。

【富士三六】そういえば、南海電鉄の「サザン」も同じようなタイプだな。
いずれにしても、私鉄の特急はバリエーション豊富でおもしろいね。

【ブラン】それからJRとの相互乗入は、首都圏では小田急(あさぎり)と東武(スペーシア)でしていますが、関西にはないですね。

【富士三六】関西の方がJRとの競争が激しいということかね。もっとも関西は、標準軌の路線も多いからな。

【ブラン】私鉄の特急といっても本当にいろいろですね。料金不要でも京阪特急のように豪華な列車もありますからね。
それでは大手私鉄はこのくらいにして、次に地方私鉄の特急列車をみてみましょう。

鉄道会社名特急料金運転形態
有料無料社線内JR乗入
京浜急行--
東急電鉄--
小田急電鉄
東京地下鉄
-
京王電鉄--
西武鉄道--
東武鉄道-
京成電鉄--
名古屋鉄道--
南海電鉄-
近畿日本鉄道--
京阪電鉄--
阪急電鉄--
阪神電鉄--
西日本鉄道--

大手私鉄特急列車分類

2.地方私鉄の特急列車

【富士三六】地方の私鉄では、特急列車を運転しているのは、案外すくないんだよな。

【ブラン】そういう中から今回は、長野電鉄長野線と伊豆急行線についてみてみようと思います。

【富士三六】どちらもお隣の県だからな。いいんじゃないか。

(1)長野電鉄長野線

【ブラン】まず、長野線の環境ですが、長野市は長野県の県庁所在地で、人口38万人くらいの中核都市です。
長野線は湯田中温泉郷や志賀高原への観光輸送という役目もありますが、やはり近郊からの通勤・通学、用務など、地元の人の利用が多いのではないでしょうか。
右の図で見るように、須坂と信州中野で運転本数に大きな段差があるのは、長野市の吸引力が圧倒的だ、ということを示していると思います。

写真上=私鉄最大のネットワークを誇る近鉄特急 桑名駅近くの21000系「アーバンライナーplus」

写真左=料金不要でも2階建車両、テレビカーなどハイグレードな装備の京阪特急8000系

【富士三六】なるほど。ところで長野線には確か、A特急とB特急があったよね。

【ブラン】図の停車駅を見ても分かるように、A特急は速達型、B特急は〜この図の時間帯には該当がありませんが〜信州中野−湯田中間は各駅に停車して、普通列車の本数不足を補完しています。A特急は長野−湯田中間を45分くらいで結んでいます。

【富士三六】A特急に使われている車両は、もと小田急ロマンスカーだったよね。

【ブラン】「ゆけむり」という愛称で活躍しています。長野線ではA・B合わせて1日12往復(区間運転、乗継あり)の特急が走っているので、とても便利なんです。しかも特急料金(全席自由席)は100円なんで、高校生なんかでも気軽に利用できるみたいです。

【富士三六】長野電鉄の場合は、地元に密着した特急列車、ということだな。

小田急電鉄時代の10000系ロマンスカー
長野線で1000系「ゆけむり」として活躍

普通運用のB特急用2000系(改装前の湯田中駅)

(2)伊豆急行線

【ブラン】それでは次に伊豆急行線の様子をみてみましょう。

【富士三六】伊豆急の特急の特徴は、何といっても東京発のJR車が乗り入れていることだろうな。

【ブラン】伊豆急車の「リゾート踊り子」という臨時特急があるので、JRとは一応相互乗り入れということになっていますけどね。
それにしても東京、熱海間は新幹線があるのに在来線の特急列車があるというのは、やはり乗換なしの魅力は大きい、ということですかね。

【富士三六】観光客主体の列車だからね。

【ブラン】長野線の特急とは対照的ですね。
伊豆急線内の所要時間は1時間くらい。運転本数は平日7往復なのに、休日には2倍くらいになるんです。


【富士三六】伊豆半島は道路事情がよくないから、出かけるならやっぱり電車が便利、ということになるのかな。

3.富士急行線の特急列車

【ブラン】それでは最後に、長野電鉄線と伊豆急行線のまとめをしながらフジサン特急について考えてみたいと思います。

【富士三六】長野電鉄は地元重視型、伊豆急行は観光主体型ということで、それぞれ特徴がはっきりしているところが面白いね。

【ブラン】そうですね。長野線は平日・休日ともに本数が多いので利用しやすいですよね。何より料金の安いのがいいですね。
そこへいけば、伊豆急の「スーパービュー踊り子」は、グレードの高さが売りですね。


【富士三六】そうかもな。でもグレードの高さでは「フジサン特急」も負けてはいないと思うけどな。

【ブラン】右の表のように3社の特急を比べてみると、「フジサン特急」は依然発展途上という感じですね。
これからどのようになっていくのか楽しみですね。


【富士三六】そうだな。
ところでフジサン特急で、“日本一”が何かないだろうか?

【ブラン】それは日本一急勾配を上る特急ということでしょう。

【富士三六】残念ながら急勾配を上るということでは、南海電鉄の「こうや」が一番じゃないかな。何しろ50パーミルだからな。

【ブラン】なら・・・、そうか、わかった。日本一短距離の特急列車だ。

【富士三六】それは正しいかも。

【ブラン】“日本一の短距離ランナー”か。ちよっと格好いいですね。
うん、これは気に入った。

185系「踊り子」(アコモ前の車両)

251系「スーパービュー踊り子」(提供写真)

長野電鉄線伊豆急行線富士急行線
運転区間長野−湯田中
(33.2km)
東京−下田
(167.2km)
大月−河口湖
(26.6km)
運転本数平日12往復7往復3往復
休日12往復14往復程度6往復
特急料金(大人)100円伊豆急線内
(指)500円
(自)400円
300円

3社特急列車運転状況

50‰の急勾配を上る南海電鉄の30000系特急「こうや」

おなじみ2000系「フジサン特急」

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