Wake Up
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
86.7 北海道旅行
———磨かれた革靴というよりも、洗いざらしのズックのような、
そんな心で愛してごらん。
●18.夜から朝へ 【9〜10日目】
釧路行きのバスは終始何もない野原の中を走り、丹頂の里や鶴公園(バスからは何も見えない)を 通って19時10分に釧路に着いた。
釧路では、22時25分発の急行「まりも」まで約3時間の余裕がある。とはいっても、昨夜の 「大雪3号」のような事態を避けるためにも、最後の1時間は駅で並んでおかなくてはならない だろう。旅程を立てた時には、3時間もあればどこかの店でのんびり出来るだろうと思っていたのだが、 これ程までに旅行者が多いという事を、忘れてしまっていた。
とりあえず、駅前の食堂で「釧路定食」というメニューを注文した。せっかく北海道に来たのだ、 それらしい食べ物にあり着きたい、と思ったのであるが、出て来たのは幕の内弁当であった。やっぱり 郷土料理は本格的な店に入らないとダメかなァ…と感じたが、さすがに刺し身は美味だった。
駅に戻ってみると、「まりも」に乗車するべく若い旅行者たちが、長い列を作って待っている。 こらァあかん、と思って僕も慌てて最後部に加わった。みんな、たった2両しかない自由席を虎視眈々と 狙っているのだ。それにしても、7月21日に北海道へ到達してからずっと思っていた事であるが、 この旅行者の数は、どうだ!しかも男だけではない。女のグループも多く見られる。まさに全国の 旅行者が、北海道目指してやって来てるんだなあ、と痛感する。
4コママンガ雑誌で待ち時間を潰した後、ようやく改札が開き、行列を作っていた者がみな、一目散に 自由席へ飛び込む。僕も、予想していたより比較的楽に一席を取る事が出来た。いざとなれば指定席 だってあるし、何といってもゆうべの一夜で混んでいても立派に眠れる事が実証されたのだが、その 「奥の手」を使う必要もなかった。
席を確保してからビールを買い込む。勿論、サッポロビールだ。今までずっと、よく見ていると道内 でのビールのシェアは殆どをサッポロが占めている。これは面白い事だ。また実際、北海道で呑む サッポロビールは美味いのである。あの十勝平野の、広大な麦畑の風景が脳裏に浮かび上がって来る ような思いがするのだ。元来、味覚というものは多分に気分的なものが大きいから、道内なら道内 のものに心底入り込んでしまうことだ。
22時25分、急行「まりも」は釧路を発車した。睡眠も上々。今回の旅行では眠れなくて困った、 というのがいまだにない。85・3戸狩スキー旅行でIBAが「お前はほんまに旅慣れとるなァ、 こんな夜行の中でも寝られるんやからなァ」と言っていたのを思い出す。コトン、コトンと果てしなく 続く単調なレールのリズムをBGMに、広大な平野の夜を突き抜けてゆく。
翌朝は石勝線、滝の上あたりで目が醒めただろうか。もう北海道ですっかりお馴染みになった牧場の サイロと草を咬む牛の群れが車窓を彩っている。
5時09分、列車は追分に着き、僕は降りた。予定では5日目に乗る筈だった幌内線に乗るべく 岩見沢へ向かうのだ。岩見沢行き始発は6時16分発で約1時間ある。その間、洗面したり、駅前を 散歩したりすると、改めて北海道の7月の早朝は肌寒いと思う。IBAが冬布団で寝ていたのも うなずけるような気がする。
追分から岩見沢までの沿線は広々としていて気持ちがいい。朝の陽を浴びてキラキラとしている。 7時05分に岩見沢に到着。折りしも岩見沢では、「北海道21世紀博覧会」なるものを開催して いる最中である。出来れば行ってみたいと僕も思っていたのであるが、日程の都合上カットせざるを 得ないようだ。
幾春別駅の風景
岩見沢7時42分発の、幾春別行き幌内線列車に乗車。幌内線沿線もかつては石炭業が盛んであり、 幌内線自体も石炭輸送を主目的として建設された筈であるが、いざ乗車してみると歌志内線や 三菱石炭鉱業線のように、いかにも炭鉱線といった感じのボタ山や炭住は見られず、一見普通の町で ある。ただ、三笠駅から右方へ伸びていた引込線は、かつての採炭専用線なのであろうが…。 そんな訳で幌内線に関しては、北海道らしさも無く、印象もさほどには残っていない。ただ、この 幌内線も廃止対象線であり、最初で最後の貴重な乗車である事には間違いない。
すぐに折り返しの列車で幾春別から岩見沢に乗り、街を散歩したあと特急「ライラック6号」で札幌へ 戻っていった。今日は、合宿から帰って来たたくやが待っている。
「19.札幌」へ続く
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