ブルースカイ
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

86.7 北海道旅行




     ———めぐり合いは不思議なもの。
         だから大事にして、二人の心の絆をしっかり結んで欲しい。



●23.知床の大自然 【12〜13日目】 

 カムイワッカの露天風呂をたっぷり堪能したあと、再び川を下ってもとのバス停まで戻る。 帰りのバスを待つ間、少し先の「知床大橋」まで歩いてみた。知床にはちょっと不似合いな 大きな橋が架かっており、車が通れる道は、そこで突然終わっていた。そこから先、知床岬 までの数十キロは、ほぼ手つかずの大自然が広がっているのだ。観光者は、海から観光船で 知床岬までの断崖の光景を見ることが出来るにすぎない。

 バスに乗り、往路で通りすぎた知床五湖に降り立ち、五湖の遊歩道を散策した。五湖とも 大きさはないが、静かな湖面にバックの知床連山を映し出し、幻想的な風景を作り上げている。 もちろん、観光船だの遊覧ボートだのといったものは何もない。売店もみやげ屋も旅館も 一切なし。自然のまま残された圧倒的な空間のなかを、我々は遊歩道を通って、辛うじて 入り込めるだけなのだ。静かな、そして清らかな、知床の風景画。

 この日は17日間の旅程のなかで、最も気温が上がった日であった。五湖をめぐっている時、 恐らく気温は30℃近くに達していただろう。久々に味わう真夏の陽射しのなか、我々は Tシャツに短パンという、ラフな姿で五湖を歩いた。今回の旅行でこんな格好をできるとは 思わなかった。気温15℃たらずの根室駅の待合室でストーブにあたったのは、ほんの 数日前のことだったろうか。カムイワッカでひと風呂あびた後で、気分は爽快だ。

 知床五湖の美しさを味わったあとは、ウトロまで戻り、今度はオホーツク海を回る観光船に 乗り込む。当初の計画では知床岬までの「3時間45分コース」に乗り込む予定だったが、 スケジュールにはなかったカムイワッカに行ったために、時間的に乗ることが出来なくなり、 「1時間30分コース」の硫黄山コースの船に乗った。もとより、知床岬コースでは4770円 もかかるため、財政難のIBAからは拒絶反応を起こされていた。知床岬をこの目で見るのは、 また遠いいつかの夢、ということになる。

 「硫黄山コース」はウトロから知床半島の半分くらいまで船で進み、引き返してくるのである が、それでもその光景は見事だった。おびただしい数の白い海鳥を引き連れて、知床の断崖絶壁を 海から眺める。カムイワッカの滝が、白い筋を引きながら断崖からオホーツク海に流れ落ちて いるのが見えた。我々が降りたバス停の更に下流から、海に高い滝を作ってそのまま落ちている のだ。「あそこに、俺ら行ったんやなあ」壮大な眺めに見入りながら、思わず僕はつぶやいた。 知床半島は平野がなく、山脈がそのまま海から突き出ているような形状をしているのが、海から 見るとよく分かる。だからこそ、知床は大自然を残したまま今日まで生き長らえてきたのだ。

 ウトロ港に戻ったあと、ウトロの町を散歩した。港のはずれには、その形状から「ゴジラ岩」 と呼ばれる巨大な岩がある。アイヌ風の土産屋が散在しており、その一つではキタキツネが 飼われていた。まだ子供のキツネで、愛想をふりまいていた。

 その日は民宿「しれとこペレケ」で、ゆっくり体を休める。1泊2食付き4500円の格安民宿。 とはいえ、この17日間の旅程中、ちゃんとした宿屋に泊まるのは、今夜が最初で最後なのだ。 IBAの下宿で3泊したとはいえ、夜行列車−駅ネ−夜行列車の繰り返し。12日目の今日まで、 よく体が持ったものだ。そう思うと、オンボロ民宿もなんだか有り難い宮殿に思えてくる。 タタミに寝転がるのが、こんなに気持ち良いものなのか、と思える。体を思いきり伸ばして横になる ことすら、貴重な時間なのだ。

 夕食はとりわけ豪華、というわけではない。何せ4500円の宿泊料金なのだから。が、流氷 を使ったという触れ込みの「流氷カクテル」が、膳を飾ってくれた。本当に流氷を使ったのか どうか、は、ただ信じて飲むしかない。




「24.標津線」へ続く



「雑草鉄路」の先頭へ戻る

「北海道旅行」の先頭へ戻る


トップページに戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください