ケニー in USA
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Kenny in USA


ケニーさん独占インタビュー

2005年12月



2002年12月にケニーさんがアメリカ勤務を命じられてから、早や3年。現地での楽しそうな様子や 米国あちらこちらへの旅行の様子などを、このコーナー「ケニー in USA」で紹介してきました。

しかし、ふと思います。実際の暮らしの中で、ここでもまだ紹介しきれていない、様々な苦労やエピソード などもあったのではないか、と。

そこで今回、「ケニー in USA」スタート3周年特別企画として、ケニーさんへの独占インタビューを 敢行することにしました。

早速、サウスカロライナ州のグリーンウッドで現地生活を楽しんでいるケニーさんを直撃し、インタビューを 申し込みました。アポなしでの突然のお願いにも、悠然と快諾してくれたケニーさん。この懐の大きさも、海外生活を 成功させる秘訣なんだろうなあ・・・などと考えながら、インタビューをスタートさせました。


●日本から米国へ… 数多くの送別会に感謝


ケニーさんのご家族。米国生活を支えてくれている
 
———米国勤務を命じられたときに、最初に思ったことは、どんなことでしたか。
「“やった!”と思ったと同時に、“やばい…勤まるのか?”って(笑)。英語できなかったからね。 家族には“転勤があるかも”とは、ほのめかしてたんだけど。それでも、“まさか?”って感じだったね。 でも、妻が一緒に行くつもりとすぐ言ってくれたので、ほっとしました。」

———じゃあ、ほぼ問題なく米国勤務へ…だったんですね。
「そうだねえ。唯一の心配ごとは、長女(アンナちゃん)が幼稚園の年中組に合格したばかりで、 振り込んだお金が返ってくるのかどうか…だったかな(笑)。」

———米国勤務を命じられてから、実際に渡米するまでの期間はどのくらいでしたか。 準備でいろいろと大変だったのではないですか?
「異動を言われてから渡米までは、1ヶ月弱だったかなあ。準備で大変だったのは、 英会話学校に行って、付け焼刃で英語を勉強したことと、もう一つは、“送別会”を確実にこなすこと(笑)。 最大、1日に別々の方を相手に3件の送別会が行われたこともあったなあ。でも、今から思うと、 多くの方が送別会を開いてくれたのは大変感謝しております。ちなみに私の妻は、“引越し準備”がめちゃくちゃ大変でした。」

———奥さんも準備に忙しかったんですねえ。出発前夜、日本最後の夜に食べた食事は何でしたか。
「うーん。それが、記憶にないんだよねぇ。(気持ちはもう、アメリカに飛んでいた?)」


●そして始まった米国生活


家族よりも一足早く、単身アメリカに乗り込んだケニーさん。ワシントン空港の入国審査で 相手の言っていることがまったくわからず、愕然とするとともに、一夜漬けの英会話レッスンがいかに むなしいかを痛感する。


アメリカでのケニー宅。雪で真っ白になることも…
 
———米国初日の夜に思ったことは何でしたか。最初に食べたディナーは?
「最初に思ったのは、とにかく“眠い”!時差ボケにやられてねえ。その日の夜は、駐在員の方に “うまい日本食レストラン”に連れて行っていただき、寿司と日本酒を堪能したよ。」

———最初の夜からいきなり日本食ですか(笑)。米国での勤務初日は、どんな感じでしたか。
「初日は、いわゆる挨拶回り。とにかく相手が言っていることがわからない。本当にわかるように なるのかな?と感じました。」

———米国オフィスでの様子を教えてください。
「アメリカのオフィスはパーテーションでの間仕切り(いわゆる個室)なので、机を並べてやって いたことが懐かしいね。アメリカ人は定時(17時)に帰宅し、家族との食事を大事にしてるなあ …と実感するね。」

———米国勤務で苦労する点ってありますか。
「コミュニケーションがうまく取れないことかな。言葉の問題は大きいと思うけど、それ以上に、 育った環境の違いというか、“あ、うん”というか“ツーカー”がない点だね。」

———逆に、米国勤務で最も楽しい点は?
「米国人と一緒に仕事をして達成できたときはどんな小さな仕事でもうれしいし、 自分に協力してくれて非常に感謝しています。」

大学時代の後輩・K西さんとのツーショット
 
———仕事で、英語はけっこう使ってますか。
「仕事の性格上、日本人スタッフと話すことが多いので、自分が想像してた以上に使ってないかな。」

———大学時代の後輩・K西さんとはしばしば会っていたようですね。
「アメリカに仕事関係以外の知人がいることは大きかったね。特に私の住む町は“同じ会社の社員”しか いないので、かなり狭い社会だから。 K西くんは、私が米国に来てまだ10日目のころに、はるばる7時間 かけて遊びにきてくれた。 彼には改めて感謝しています。」


●家族とともに


ケニーさんが先にアメリカ入りしてから約3ヵ月後に、ご家族が到着。一家揃っての、 米国での本格的な生活がスタートした。それから3年。いまもご家族とともにアメリカ生活を続けている。 2004年4月には、長男・Kaz君も誕生した。


2004年4月生まれの長男・Kaz君
 
———休日はどのように過ごすことが多いですか。
「パターンとしては、土曜日は、日本人補習校と買い物。日本人補習校に行き始めてから仕事関係以外の 知人が増えてきて、結構刺激になってる。日曜は、家族と一緒に過ごしてる。土日のどちらかは外食、 というのが多いね。」

———住んでいる町の最もいい点はどこですか。
「治安が良くて安全なところだね。それと、自然がいっぱいな点。言い換えると、田舎ってことだけど。」

———逆に、住んでいる町のよくない点は?
「田舎ってとこ(笑)。高速道路や空港まで時間がかかって、交通の 便が悪いんだ。あと、日本食が手に入りにくいことかな。」

「アメリカで最も印象に残っている場所」のリッチフィールド
 
———「ケニー in USA」でもご紹介していますが、アメリカのあちらこちらに行かれていますよね。 これまでに行ったなかで、最も印象に残っている場所はどこですか。
海水浴場のリッチフィールド だね。2回行って2回とも気に入った。 子供もものすごく喜んでくれたなあ。 日本に帰国して、USAに旅行しても時間がもったいなくて立ち寄ることができない、田舎の海水浴場。2回とも、日本人とは全く会わなかった。」

———ご家族の皆さんは米国生活をどのように思われていますか。
「たぶん、全体的には気に入っていると思う。子供の順応力はすごい。感謝しているし感動している。 妻もがんばっていると思う。アメリカにきたことで、家族の結束が固くなったかな。ただ、“おじいちゃん、おばあちゃん”が 遠く日本に離れているので孫の世話ができず、親の方がつらいときもある。少々育児疲れを感じることもある。」


●日本か、それともアメリカか…


———日本在住時代の生活を100点とすると、ズバリ、米国生活は何点ですか?
「50点かな。理由は、まだ“アメリカ生活”になり切っていないから。50%ぐらいしかアメリカで 生活している気持ちがしない。いまだに、言葉や食事、本にテレビ、インターネットで、日本の生活を 50%している感じだね。」

———いずれは日本に戻る日もあるかと思います。そこで、連想してください。 米国での最後となる休日、何をして過ごしますか?
「引越しの準備に決まっとるやろ(爆)。冗談はさておき、たぶん、家族でお気に入りの日本食 レストランに行っていると思う。」

———もうひとつ連想を。日本に戻ってきて、最初にしたいことは?
「温泉に入り、ラーメンを食って、阪神の試合をテレビで見る。うーん、まさしく日本的だよねえ(笑)。」

———それでは、またまた連想。上司から、「ケニー君。次の異動で、アメリカに残るか、日本に帰るか、 選択権を君に委ねるよ」と言われました。ケニーさんは、どちらを選択しますか?
「うーん…非常に難しい質問だね。自分だけのことを考えると、まだまだ米国でやりたいことは多いので、 アメリカ残留。でも、子供の教育のことを考えると、日本への帰国を選択するかもしれない。 結構考えてしまう、マジな質問だね。」


●海外生活でも、「健康」と「家族愛」が大切だ!


———長いインタビュー、ありがとうございました。質問を受けてみて、いかがでしたか?
「今回の質問は非常に考えさせられました。もうすぐ米国に来て3年。たぶん定期的に同じ質問を されても、その時々で答えが違うと思う。それくらい、一言では語れない部分が多いかな。」

———では最後に、読者の方々にも海外勤務を希望したい人、これからする予定の人も、沢山おられると思います。 そういった皆さんに、何かアドバイスがあれば教えてください。
「アドバイスなんておこがましいけど、
 1.やっぱり“健康あって”が第一かな?病気になるといっぺんに弱気になる。
 2.次は、日本でも重要なんだけど、家族の結束は非常に重要。
 3.言葉は3番目かな?」

———言葉が第一かと思ってましたが、そうでもないんですね。
「生活上は慣れてくると言葉が少なくても住むのだが、どうも所詮“よそ者”の気がする。 うまく発音できなくても構わないけど、なんとか相手の言っていることを理解したいよね。」


*  *  *  *  *


インタビュー中、ケニーさんは何度も謙遜して「英語が不得意」と言っていましたが、実際にはかなり順調に コミュニケーションを取られているのではないか…と感じました。
1に健康、2に家族。日本でも共通する、生活の基礎であります。この2つがうまく回るには、 周囲との関係を潤沢にして、ストレスのない、心豊かな毎日を送ることが不可欠です。ケニーさんの 包容力と気配り、そして前向きな姿勢が、円滑な輪転を呼んでいるのでしょう。語学力以上に重要な ことです。日本であれ、外国であれ。

数々の貴重なお話に感謝を申し上げつつ、ケニーさんへのインタビューを終えたいと思います。
これからも、「ケニー in USA」にご期待ください。



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