スイス鉄道旅行
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

1988年夏 スイス鉄道旅行




●7月29日【4日目】 ユングフラウ・ヨッホ 

 ホテルのレストランで、もうすっかり馴れてしまった洋食ブレイクファスト の朝食。レストランの窓からは、アイガー北壁が見事にそびえ立っているのを 眺めることが出来ます。その左手には氷河が見える。なかなかの絶景です。 天気も良好、絶好のハイキング日和です。

 今日はスイス鉄道旅行のハイライト、ユングフラウ・ヨッホを目指して 山を登って行きます。
 ホテルを出発してゴンドラに乗り、まず目指すはメンリッフェン。 ゴンドラが上りゆくと、グリンデルワルドの町並みはみるみるうちに小さくなり、 アルプスの山々と青い空のなかに吸い込まれていく。その光景は、だんだん 童話の絵の中のようになっていきます。

 ゴンドラを降り、メンリッフェンからクライネ・シャイデックまでは 山道をハイキング。もう樹木の姿は見られず、草原と高山植物のなか トレッキングコースは続いていきます。豆粒のようになった、おとぎ話の 国みたいなグリンデルワルドの町を見下ろしながらのトレッキング。その 風景は広々としていて、実にいい気分です。

 クライネ・シャイデックにたどり着き、ホルンの牧歌的な演奏を聴きながら、 レストランで昼食。窓には坂道をゆっくりと上がってゆく登山列車、 ユングフラウ鉄道の姿が見えます。

氷河の山を目指す ユングフラウ鉄道。この山の頂上へとレールは続いてゆく

 昼食後、そのユングフラウ鉄道に乗り込みました。列車なのかケーブルカーなのか 区別がつきかねるほどの急坂を、列車はフニクラフニクラと上がってゆきます。 やがて列車はトンネルに入り、終点…いや「頂上」のユングフラウ・ヨッホ へと進んでいきます。

 ユングフラウ・ヨッホ駅はトンネルの中でした。夏というのに、キーンと した冷たい空気が構内に漂っていました。トンネル中の構内には窓があり、 そこから外の景色を眺めることが出来るようになっていました。見てみると、 窓の外には青く白い氷河が、水に流した絵の具のように流れていました。 壮大な眺めに誰しもが心を打たれ、いつまでも見入っています。

 駅の外には展望台があるというので、通路を抜けて外へ出ることにしました。 出口の扉を開け、一歩外へ出ると、そこは一面の銀世界(!)。大雪が 容赦なく、カーディガンを羽織っただけの我々の身に降りかかってきます。 まるで夢でも見ているかのような、ミッドサマー・スノー。しかしその 降雪ぶりは、ほとんど真冬のスキー場です。

 サダと一緒にブルブル震えながら展望台へと進むと、構内の窓とは一味 違った眺めの氷河が一面に広がっていました。まるで吸い込まれそうな、 魅惑的、幻想的な景色でした。真夏に雪を見るのは、2年前に北海道・ 大雪山系の黒岳頂上で万年雪と出会って以来のことです。しかしこの光景は、 黒岳を遥かにしのぐほどの迫力があります。それにしても、このような別天地に までレールを引っ張ってきた先人たちには、全く驚かされるほかありません。

 駅構内に戻り、館内にあった氷像展示館を覗いてみました。札幌雪まつりの 展示物を小さくしたような氷像(雪像?)が並んでいました。なかには日本 的な作品も含まれていて、我々の目を楽しませてくれました。

 帰りはユングフラウ・ヨッホからクライネ・シャイデックまで鉄道で 降りました。ちなみにユングフラウ鉄道をはじめ、一連の登山列車は みな、「スイスホリデーパス」の乗り放題適用区間外。つまり、その都度 乗車券を買わねばならないのですが、どれもみな結構値が張るのです。 しかしながら、その眺めはやはり、値段に見合うだけの価値がある。 払うべき運賃はきちんと払い、あとはなるべく経費節減のためハイキングを 織り交ぜれば、大自然も満喫できて一挙両得(笑)。というわけで、 クライネ・シャイデックから麓のグリンデルワルドまでは、山道を 駆け降りるようにして徒歩で下って行きました。齢22、まだまだ 健脚を誇っていた頃です。


【5日目】フィルスト・ハイキング へ続く





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