スイス鉄道旅行
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

1988年夏 スイス鉄道旅行




●8月1日【7日目】 ゴルナーグラード 

 スイスに入ってから実に天気の良い日が続いたまま、7日目の朝を 迎えました。今回の旅行では、雨に降られること一度もなし。わずかに、 ドイツのミュンヘン郊外でヒョウが降ってきたのと、ユングフラウヨッホで 真夏の大雪を体験しただけです。特にスイスのような山岳地帯を旅行する ときには、晴天は実にありがたいことです。

 この日はツェルマットから、まずスネガまでケーブルで登り、スネガからは マッターホルンの勇姿を前に、「ゴルナーグラード」まで山道をトレッキング。 この日のコースは、これまでで最も人通りが少ない山道で、しんと静まり 返ったなかをサッ、サッと歩いてゆく、まさに大自然トレッキングのムードを 味わいました。ここもまた樹木は見られず、高山植物のなか稜線を進んで いく、見晴らしの良いルート。コースの途中には雪解け水を運ぶ小川が 流れていました。思わず足を止め、冷たい水をすくって口元へ運ぶ。 これほどおいしい水を飲むのは実に久しぶりのように思えました。 日本を離れてから生水を飲むなどといったことは一度もなく、ぺリエや エビアンばかりだったのですが、どんなミネラルウオーターもこの天然水 にはかないません。トレッキングの疲れをいっぺんに癒してくれました。

 ひと口の水がとても印象的だったトレッキングを終え、「ゴルナーグラード」 へと辿り着きました。ゴルナーグラードは、スイスの登山列車のなかでも最も 高所を走る鉄道です。駅からぐるりを見渡すと、四方を白い山々に囲まれ、壮大な 眺め。ゴルナーグラードからは更にリフトを使ってファウルホルンまで 上りました。そこは氷河が広がる荒涼たる場所でした。氷河の上をザク、ザクと 歩くと、なにか月面を歩いているかのような錯覚にもとらわれてきます。


標高3000mを超えるゴルナーグラード駅

 再びゴルナーグラードに戻り、ここからは登山鉄道でツェルマットへ 駆け降りました。なるべくお金をかけないように、登山、登山を続けてきた 我々。往路はあれだけ時間を費やしたコースを、帰路は苦もなく鉄道でひと 降り。やはり鉄道はすごいものです。

 夜は山形先生と一緒に3人で食事をすることになりました。この日は スイスの休日にあたり、観光地にもかかわらず閉めている店も結構あった のですが、ホテルに近いレストランは営業中。フォンデュを注文し、 3人でビールを飲みながら鍋をつつきました。

 となりのテーブルには、ドイツから来たという3人組の男がいて、やはり 我々と同じようにアルコールで顔を上気させてスイスの夜を楽しんでいました。 何となく雰囲気が合い、グラスで乾杯しあいました。
 今回の旅行で私が携行していたガイドブックには呑みすぎ注意を喚起する ためか、「酒を呑んで公衆の場で騒ぎ立てるのは、日本人とドイツ人だけ」 という一文がありました。その言葉通りの光景に直面し、何となくおかしく なってきたものです。

 英語もロクに話せない日本人たちと、英語もロクに話さないドイツ人たち でしたが、グラスを重ねるだけで、心温まる思いがしました。こうしてスイス 最後の夜は、楽しい雰囲気のなか過ぎていきました。


【8日目】TGVでパリへ へ続く





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