このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
3.メタルスライムの強さ
前述したように、メタルスライムの強さは防御力の高さと、魔法への耐性の高さ、さらに逃げ足を含めた素早さにある。これらの能力は、一体何処から着ているのだろうか。
ヒントとなるのは、やはり名前にもある「メタル」だろう。メタル(Metal)とは金属を現しており、その名のとおり、メタルスライムの体は光沢を持つ銀色をしている。体が金属で出来ていることは疑いようもないだろう。
金属の体を持つ生物など存在するのか、という疑問を抱く方もいらっしゃるかも知れないが、現実世界でも無機物を体内に取り込む生物は存在する。例えばニワトリは、消化を助けるために小石を飲み込んでいるし、最近では金属のウロコをもつ貝なんてのも見つかっている。ましてファンタジー世界ともなれば、全身が金属で出来ている生物が居ても不思議ではない。
また、スライムと言えば不定形が基本であり、ドラクエのスライムも叩かれると凹んだりする描写があるが、水銀のように常温で液体の金属も存在するため、柔軟で可逆性をもつ金属というのも有り得なくはない。
さて、金属の体を持つスライムが存在しうるということが分かったところで、能力の分析に入ろう。
金属で出来ているということは、その外皮は他の生物に比べて高い硬度を持っているだろうから、剣や斧のような刃物で傷つけるのは難しいだろうし、柔軟で可逆性があるということは、ハンマーのような運動エネルギーを利用した攻撃にも耐性があることになる。
魔法への耐性についても、地下深くで長い年月を経て生成された金属や宝石には強い魔力が宿るという考え方がある。それと同様の理論で、メタルスライムも高い魔力を持ち、故に魔法に対する抵抗力が高いのかも知れない。
素早さについてはどうだろうか。金属はいずれも大きな質量を持ち、動かすには大きなエネルギーが要る。つまりは重いから遅いというわけなのだが、メタルスライムは通常のスライムよりはるかに素早い。スライム自体は小さなモンスターなので、他の大型モンスターと比べれば軽いのかも知れないが、それでも自分より軽いはずのスライムより速いのは何故だろうか。
これに対して私は、メタルスライムの「逃げ足」の速さから考えてみることにした。通常、ドラクエシリーズのモンスターは自分から逃げるようなことはしない。メタルスライムの逃げるという行動は、実は非常に特異な行動なのである。
スライムは比較的おとなしいモンスターであり、一部を除いてそれほど強くはない。故に強い敵と出会ったときに逃げ出すのは生物として何らおかしなところはないのだが、問題はメタルスライム以外のモンスターはほとんど逃げ出さないという点である。
確かにメタルスライムはおとなしく、素早いモンスターであるが、メタルスライム以外にもおとなしくて素早いモンスターはいくらでもいる。では、何故彼らは逃げ出そうとしないのだろうか。
私はこれを、メタルスライムの速さは、他のモンスターと質の違う速さなのではないかと考えた。つまり、移動速度ではなく、敵の行動に対する反応速度が速いのではないかと思ったのである。敵の行動を観察し、一瞬のすきを突いて即座に行動する。この反応速度こそが、メタルスライムの逃げ足の速さの秘密ではないだろうか。
生物が何か行動を起こすには、感覚器官で情報を受け取り、その情報が神経を通じて脳に送られ、脳が受け取った情報をもとに行動を決定する。そして決定した行動を神経が伝達し、実際に体が動くというプロセスを経ている。生物の反応速度は、神経の情報伝達能力によって左右されるが、メタルスライムはこの神経系が他の生物に比べて優れているのではないだろうか。
神経の情報伝達は電気信号であり、通常の生物はイオンによる電位差を利用して電気信号を伝えている。対して、メタルスライムは金属の体を持つ生物である。有機物に比べ、電気伝導度は非常に高い。メタルスライムの反応速度が他の生物に比べて優れている可能性は、十分にある。
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