このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

草軽電鉄の車両の紹介

 

ホハ10

 

説明するまでもなく、伊香保から車体を譲受して2-6の台車を付けた車輌です。

 

ホハ10から12までの3両がありましたが、少しずつ外観が異なっていました。

(私は車輌研究を行っている訳ではないので本HPでは実車の解説はなるべく避けていましたが、本車については模型化に当たり避けられない部分があるためご容赦願います。)

 

3両の違いは窓の側面窓(ホハ10は2段、その他は1段)、妻板下の端バリの幅(ホハ10のみ狭い)、客用ドアの手すりの長さ(ホハ12のみ目立って長い)、モニター屋根の形状(厚さ)(ホハ11、10、12の順に厚いような気がするほか、端部のカーブも違うような気がします)、ドア(ホハ12では1枚のドアのみ窓下の部分が「日」の字状になっている(他は「田」の字状))、正面の窓(10.12では片面の向かって左のみ桟なし)などです。

 

ところで写真を見て気づいたのですが、1959-60年頃を境に、ホハ12は方向転換しています。NEKO MOOK「消えた轍3」のP.25の写真と、RAIL20 私鉄紀行「からっ風にタイホーンが聞こえる」のP.63の写真を見比べてください。汚れや剥がれから見ると妻板は同じ面ですが、前者は草津温泉側、後者は新軽井沢側を向いており、反対側に連結された機関車の向きも逆になっています。なお、草軽の車輌には連結器横に機関車との連絡用ブザーのコネクタ(ではなく、暖房用コードらしい)が、軽井沢に向かって左側に取り付けられていますが、後者の写真では逆になっています。これも方向転換した証拠のような気がします。方向転換というと国鉄時代で旧形国電や、沼津から新潟に転属したクハ115を思い出すのですが、このような小私鉄で行われた訳が理解できませんでした。

草軽電鉄の年表を見てみると、1959年の8月に嬬恋=上州三原間の吾妻川の鉄橋が流されています。方向転換が行われた時期は鉄橋流失の時期に近いため、こんな想像をしています。「ホハ12は鉄橋が流された時点では新軽井沢側にいたものの、その後草津温泉側の車輌不足を補うために陸送され、その際にこれまでとは逆の方向で線路に載せられたのではないか?」

 

模型を設計する際に似て非なる車輌の写真を区別せずに見ていると、いざ作る段になって細かい部分で混乱することがあります。私自身は適当に省略して作りますので何から何まで実車通り作らなくても良いと思っているのですが、設計と製作の時に混乱を避けるためには、同型車の違いを把握する必要があることを感じています。

 

さて、模型の方は、車体自体は角が角張った四角形なので、設計や製作は難しくありませんでした。屋根の両端部をどうするか考えましたが、頸城単端の時のようにたたき出すのはちょっと難しそうです。そこで、エッチング板で作った四角い額縁状の板を何枚も重ね合わせ、ヤスリで削りました。これは最近ペーパーモデル流線型の車体を紙の積層で製作しているメーカーの製品からヒントを得たものです。ただし、ペーパーの場合は段差にパテを埋め込むようになっていますが、こちらは出っ張った部分をヤスリで削り取ると目的の形になるようにしました。

 

 

 

ホハ10

 

端梁が車体より狭く、客室の窓が2段なのが特徴。草軽電鉄に来たころは2色塗りだった。プレスアイゼンバーンの写真集「草軽電気鉄道」にはそのころの写真が掲載されている。実はドアの窓がもう少し小さく下辺はもう少し上側だったようだ。2色塗りをイメージしていて気付いた。2色塗り時代には正面に3と書かれ、デハ3が2段窓であることから、伊香保時代の番号であることが分かった。しかし、他の2台の旧番号はどうしてもわからない。

上州三原側

新軽井沢側

 

 

ホハ11

 

 

上屋根が薄い。端梁が車体と同じ幅。新軽井沢側には尾灯の跡が残る。

 

 上州三原側

新軽井沢側

 

 

ホハ12

 

上屋根が厚い。手すりが下に長い。端梁が車体と同じ幅。ドア1枚だけ下側のへこみが1列2段(他は2列2段)。また、この車両はドアの上の水切りがない。

路線部分廃止後、方向が変わったらしい。

 

上州三原側

新軽井沢側

 

3台の上州三原側の表情

左からホハ10,11,12.10と12は向かって左側の窓のみ桟なしの1枚ガラス。12のみはこちら側に屋根上に上るため?のステップがない。

 

 

3台の新軽井沢側の表情

左からホハ12,11,10.3台とも両側の窓が「田」の桟がついた4枚ガラス。

 

 

左が大まかに削った屋根端部。右がエッチングによる真鍮板を重ね合わせた状態。刺さっている棒は位置決めのためのもの。

 

 

裏は軽量化のために凹んでいます。なお、一番下のエッチング板は2枚ほど余分に作り、もし削りすぎても下に予備を貼り付ければ修正可能なようにしました。

 

半田で目詰まりしそうなので、100円ショップで安物のヤスリを買ってきました。最初は良く削れましたが、1台分削ったらもう寿命かも。

 

削った屋根先を車体に載せてみます。

 

いい感じですが、今回のホハ10は屋根端部の丸みがもう少しふっくらしているような気もします。なお、心配していた重量はそれほどでもないようで、前作のホハ15より軽いようですが、トップヘビーは致し方ありません。

 

ホハ10の一番の特徴は2段の窓。

 

ホハ12とともに。12は側面窓が1段のほか、端バリの幅も違います。

 

 

屋根をどうするか決まらず長らく放置されていた沼尻の客車も、この方法で何とか製作できるのではないかと思っています。

 

以上のようにプレス部品を使わなくても屋根先が作る方法が確立されました。軽便の車輌は端部で急に曲率が変わる車輌も多く、たたき出しでは難しい車輌に応用できそうです。次はこの方法で静岡鉄道ハ1,ハ2を作る予定で、すでにエッチング板が出来上がりました。

 

これで製作できる車輌のバリエーションが増えた訳ですが、ますます泥沼にはまりそうです。

 

 

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