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そのⅢ   東田中(キハ601)常陸小川





キハ601
東田中に停車するキハ601

 キハ601 が折り返してきた鉾田行に乗車する。車内は空いており、後部に陣取ってみる。戦前生まれの超老朽車ながら、さすが元国鉄の車両だけあり、乗り心地は決して悪くない。20m車の空間は広々と感じられる。エアコン搭載、狭幅窓のサッシ化、扉のステンレス化、前面の折妻化など、近代化を図る努力は涙ぐましいほどだ。走行性能はともかくとして、最低限のサービスレベルはいちおう確保しているといえる。勿論、キハ600 は今日的基準からすれば充分な水準に達している車両とはいえない。しかし、このキハ600 に比べると、キハ430 が如何にひどい車両か、よくよく実感できてしまうのである(この点については後述する)。

キハ601車内
キハ601車内


 玉里・新高浜・四箇村と短い間隔で駅が続く。キハ601 の走りっぷりは、エンジン音が軽いので軽快に見えるものの、加減速はにぶく、最高速度も40〜50km/h程度と抑えめだ。家並が途切れたかと思うと、駅間が途端に長くなり、郊外の趣が濃くなってくる。台地を駆け下っていく様子は、霞ヶ浦の湖畔が近いと予感させる。市街地の端が近づいてくると、常陸小川に到着。もともと貨物を扱っていたようで、構内は広闊である。有人の交換駅で、硬券を出札しているのには心底驚いた。これを目にするのはいったい何年ぶりだろうか。

常陸小川駅
常陸小川駅の出札口
※参考までにいえば、鉾田駅では出札口の撮影を禁止する旨の張紙が掲示されていた。


 常陸小川は市街地から外れた場所に立地しており、駅前に集積性はほとんどない。駅前が新市街地として発展しなかった事実は、鹿島鉄道の役割は主に貨物輸送にあって、駅は単なる中継点という位置づけにとどまっていたことを暗示する。あるいは、貨客とも需要が細すぎて、駅が地域の拠点として発達するには不充分であったのかもしれない。いずれにしても、常陸小川駅は地域拠点からほど遠い状況にある。

 駅前には客待ちのタクシーもおらず、P&Rの駐車場はそもそも容量が少なく、賑わいなど欠片も見当たらない。常陸小川駅は、小川という街の玄関と呼ぶに値する存在だったのだろうか。最盛期の状況を知りたいものではある。

常陸小川駅
常陸小川駅のP&R無料駐車場(ほんの数台しか停められない)





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