このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください







南ドイツ旅の記憶

娘と一緒に南ドイツ、Iphofen(イプホーフェン)の一般家庭に
12日間ホームスティしました。

     Iphofen(イプホーフェン)の塔と城壁

 
この赤いとんがり帽子のような塔と同じ赤色の城壁に囲まれた街の中に今回
お世話になったD夫人の家があります。
黒い屋根の塔二つと左奥のオレンジ色の屋根は教会の建物です。
この絵を描いている時に若者の旅行者らが私を見て、サクラ〜!テンプラ〜!スシ〜!と言いました。
また女性二人連れの観光客には『描くのにどれくらいの時間がかかったか?それでフィニッシュ?』と聞かれました。(これは英語で娘が通訳してくれました)
言葉の通じない分、絵には助けられました。
どこで描いていても『Schoene!)』(美しい!)と声をかけられます。


     フランクフルト空港からBad Kissingen(ヴァードキッシンゲン)へ

 

 
ご親切なD夫人、W氏はご夫妻はとても仲が良くていつもニコニコ、フランクフルト空港からキッシンゲンの別荘に高速道路を150キロで走り連れて行ってくださいました。この黄色い家はその別荘です。
 初めて見るドイツは広い!広すぎる!
何処までも続く牧草畑、トウキビ畑、ブドウ畑、時折風力発電の風車、畑のように広い面積の太陽光発電を見かける。
そして集落は決まったように赤い屋根、夢を見ているような不思議な気分でした。

ドイツの高速道路は無料で、制限速度もなく、日本のようにパーキングにはお店もありません。簡素なトイレが少しあるだけでした。




      
 Bad Kissingen ヴァードキッシンゲン早朝


 
ヴァードキッシンゲンにあるD夫人の別荘の前で描きました。
時差ボケのためか午前3時ころには目が覚めてしまいます。
6時半頃になるとどうやらうすぼんやりと景色が見えてきて、
そんな中朝飯前に描きました。
そんなそばを通勤の方が通ります。
朝は10度くらい、寒くて薄手のダウンコートと持って行ったブラウスなどを重ね着、
パジャマのズボンの上にジーパン、レッグウォーマーといったいでたちでした。
それでも昼間は24度位、爽やかで快適な夏といった具合です。
そしてドイツの夏の日没はなんと午後8時過ぎ、ですから夕食後も時々描け
ましたね。



        

     Bad Kissingen(バード キッシンゲン)の中心街

 



 
D夫人の別荘から10分くらい歩いた街並み、新しい家も古い街並みに合わせたデザインで建ててある家が多いです。
また素晴らしいゴジック建築の建物が多く、歩いているだけで感動モノでした。

 ドイツはレディファーストの国でそのせいなのかわかりませんが、W氏は食事のほとんどを作っておりました。特に手の込んだ料理はW氏の作品です。
手作りジャムなどもそうで、食事が終わるとせっせと洗い物をして戸棚にお皿をしまう、、、普段そんな光景を見ませんのでびっくりです。

娘がドイツ人と結婚した知人を訪ねた際も、ご主人がケーキを作って待っていたそうです。そして日本人の奥様がご主人に娘に『缶詰のソーセージを食べさせるなんて』と文句を言っていたそうなんです。

またドイツは自然材料を使った食器洗い洗剤のせいなのか、洗剤で洗うとそのまま布巾で拭いて終わりでした。

日本と違い労働時間が短いのと女性も働いていることが多いので、
これが普通の事なのでしょう。みるものすべてびっくりの連続です。



    Bad Kissingen(ヴァード キッシンゲン)
      中心街に向かう公園から



 この旅行のために丸暗記し、飛行機の中でも繰り返し練習したせりふ!
Ich freue mich,Sie kennen zu lernen.
(はじめまして、お会いできてうれしいです。)
相手が何か言わない前に一気に言ってしまおう!

握手をしながら Hallo,
Ich freue mich,Sie kennen zu lernen.
Mein Name ist Hitomi.(私の名前は瞳です。)

やった〜!まずは第一関門通過!あとはDanke.
Vielen Dank.の繰り返しでごまかす!
娘には黙っていてはいけないと注意されていますので
言えることは言っているつもり!そして話すときは相手の目を見てです。

   Iphofen(イプホーフェン)の塔と城壁 

 
イプホーフェンの町は城壁に囲まれた町、
ところどころにこういった門や塔があり、どこを切り取っても絵になる
中世の町並みがそっくりそのまま残っています。
中世とは大きく違うところは車が多い事でどこに行くにも車、
電車にはあまり乗らないようです。
そのせいなのかわかりませんが、電車賃は日用品などと比べると
とても高いような気がしました。
そしてその電車は自転車ごと乗れて観光客には便利だと思いました。
 


     Bad Fuessingヴァードヒュッシング

 オーストリアに連れて行ってくださった時に泊まったペンションの近く、
南ドイツとオーストリアの国境に近い町です。
この左側のお店の横を入っていくとD夫人の別荘があります。
この町のペンションに2日泊り、オーストリアに行きました。
夫人の別荘は日本人から見たらとても広いのですが、
ゲストルームがないということで私と娘はペンションということになりました。
狭いところに暮らす日本人の感覚とは違いますね。



  Bad Fuessingバードヒュッシング


 
時差ボケが続いているのか毎日早く目が覚めてしまいます。
ペンションの朝食前に宿をそっと抜け出し、描きました。
この町はあまり古い建物はないようですが、
それでも統一感を持った家並みが続きます。
この日の朝は霧雨、閉まっているお店の軒下で描きました。
ドイツ人はいつでもどこでもお喋りが長く、
いつでもどこでもビール、ワイン、
特に感じたのはトイレに行かない事です。
あんなにビール、ワインを飲むのに・・・ですよ。不思議だなあ?
絵も朝と夜に(日没午後8時過ぎ)描いたので良かったですが、
昼間の時間は延々と続くお喋りのため、日が短かったら描く暇がなかったですね。



    Bad Fuessingヴァードヒュッシング 



 
夕食後、D夫人がダンスに誘ってくれましたが、
疲れているからペンションに戻りたいと言い断りました。
ドイツ人のおしゃべりは長く、ちょっと閉口しての事です。
ペンションに帰り、宿のお婆様をクロッキーしてその絵を差し上げたら
とても喜んで下さったのですが、
その事でD夫人が機嫌を損ないました。
疲れていると言ったのに絵を描いて!と言うのがその理由です。
こんな時、日本流の断り方はダメでダンスは嫌いだから帰りたいと
はっきり言った方が良かったようです。


        Schaerdingオーストリア シェルディング

 
D夫人のご主人W氏は私のスケッチ箇所を考えていてくれたようです。
そしてヴァードヒュッシンとオーストリアを何度も往復してくれました。
私をここにおき、迎えに来る間、D夫人W氏とわが娘3人は温泉施設に行きました。
お迎えは4時半、私はこんな機会は2度とない!そんな気持ちで描きました。

 カラフルな建物を前に描いていると、中国人が話しかけてきました。
外国に来るとアジアの顔をしているだけで懐かしい気分なのでしょうか?
通じない言葉で随分話しかけられました。
また私のドイツ語の本を手に取りしばし見ていました。



      Schaerdingオーストリア シェルディング

 300キロの道のりを経てオーストリアシェルディングに連れて行ってくださいました。
画面に見える橋の左はドイツ、右はオーストリア、パスポートも見せず隣町でも
行くように気軽に外国に行けてびっくりしました。
古城公園の高台から見下ろし描きました。

          
        Hausenハウゼン冷雨

 ドナウ川沿いに広がる町もすべてがこんな作りの建物ばかり。
新しい家も歴史的な建物とデザインを似せて作っているようです。
この日はあいにくの雨でした。

 夕方D夫人のお姉さん一家とその友人と一緒にレストランに集まり、
食事と長〜いおしゃべりが始まりました。もちろんビール、ワインは
いつでも、どこでもです!
そこにお姉さんのご主人のアコーディオン演奏が始まりました。

 その演奏でムシデン(ドイツ民謡)が弾かれ、私もドイツ語で一緒に歌い
とても喜ばれました。
と言うのもこのムシデンと言う曲は日本でもよく歌われている
≪別れの歌≫だからです。
メロディは知っているし、ドイツ語の歌詞も覚えやすそうだったので
練習しておいたしだいです。

ムシデン ムシデン ツム シュタデテレ ヒナウス

さらば    さらば      わが友♪

 日本語でも歌い、言葉の通じない人たちとのコミュニケーションに
多いに役立ちました。




   
          Hausenハウゼン ドナウ川

 


 オーストリアからイプフォーフェンに帰る途中の町、ここでもD夫人とW氏が
時間を作ってくれて描く事ができた。
生憎の雨だったが川沿いに駐車場がありその軒下で描きました。
ドナウ川沿いはカラフルな可愛い家が建ちならび、まるで絵本の中の風景の
ようでした。
美しい曲にもなっているドナウ川ですが、結構汚かったですね。

ドイツでは度々スーパーマーケットに連れて行っていただきましたが、
その物価の安いことにびっくり!
ドイツ語を習った先生も日本の物価は高いと言ってましたが、
リンゴが1キロ190円くらい、豚肉も1キロ5ユーロくらいですべてが安すぎと
いった感じです。
まあお土産をあげておいて失礼ですが、そのお土産も超安かったですよ。
でも日本に勝る食材はないですね。
甘すぎるお菓子類、レストランに入っても大きな豚の塊の料理、
大きなソーセージといった感じできめ細やかな日本の食事が恋しくなりました。



  

     


      Iphofen(イプホーフェン)D夫人の家

 


 このかわいらしい家の3階でで過ごしました。
小さな家に見えますが、日本の家のように廊下がないので中は広く見えます。
そしてフロアごとにシャワールーム、トイレがあり過ごしやすかったです。
外側は300年前の建物ですが、中は現代的、ショールームのよう!
オール電化されており、
生活感のある物は地下室にリビングなどは洒落たインテリアで飾られています。
そしてテーブルセッティングの素晴らしさが目を引きました。

 また私が1階の窓に面したキッチンで料理をしていると、
旅行者らしい若い金髪女性が窓腰に
『ここでスシが食べられますか?』と
D夫人の家は両隣がお店なので勘違いされる事が多いそうなのですが、
日本料理店に間違えられたのは初めてではないでしょうか?








    Iphofen(イプホーフェン)

 
今回の旅ではお世話になったD夫人とW氏にカレーライスをご馳走する機会が
ありました。
お二人の口に合うか心配しましたが、D夫人もW氏もカレーライスを喜んで
おかわりまでしてくださいました。
サラダの野菜も早くて細く切れていると褒めてくれました。
そして料理が好きなのか?と聞かれました。

 ドイツの食事はびっくりするほど簡素です。
発酵したパサパサのパン、ハム、チーズなど
同じようなものを1日3度まあよく飽きずにと思うほど、

この時ばかりは色々な種類の食事を作る日本の主婦は偉いなと思いました。







   Iphofen(イプホーフェン)


 

  
滞在したイプホーフェンでは町のあちこちに出没し描くものですから、
自分の家の門を開けて塔の見えるお庭を見せてくださったり、
『2階からあなたの描いているのを見たわ!』などと日本から来たおばさんに
親しく声をかけてくれました。
あ〜もっと早くからドイツ語を勉強しておけばなあ〜!

単語の連発ばかりですが、それでも習っておいて良かったと思いました。
極めつけはD夫人に『Eine Schoene Frau!』(美女)と言ったら
満面の笑みを浮かべてくれた事です。
下手なドイツ語だけれど通じたみたい!




     
     

       Wuerzburg Festung Marienberg

        ビュルツブルグ マリエンブルグ要塞


 


イプホーフェンより電車で40分くらいの道のり、娘と出かけました。
1等車、2等車とあり、自転車も一緒に乗れ便利ですが、
日本のように時間通りに走らないのです。
人ものんびり、すべてがのんびりのお国柄のようです。
ブドウ畑や緑に囲まれた要塞は都会のなかのオアシスのようです。

何処へ行っても絵には助けられました。
そしてどこで描いていても、通りがかりに絵を覗いて『Schoen!』(美しい)と
声をかけてくれます。
こんなに美しい場所ですのに絵を描いている人は一人もいませんでした。

 そして子供たちのおとなしい事、絵を見たい〜!もじもじといったところでしょうか!
お母さんに絵の写真を撮っても良いかとその聞き方を教わっている子供もいました。
そんな子供たちを見ていると白黒はっきりしている外国人とは思えないほど・・・
可愛いですね。






     
      
Wuerzburg Festung Marienberg

          ヴュルツブルグ、マリエンベルグ要塞からの眺め


 マリエンブルグ要塞の中にあるレストランのテラス席から描く。
この時ばかりはドイツ人の長々おしゃべりに感謝したい気持ちになりました。
だってファンタオレンジとアイスクリームだけでその場に1時間いたのですから!
それにしてもドイツで飲むジュース類は独特の味がして食傷気味、
日本と同じファンタオレンジを飲んだ時は嬉しかった。
普段私は炭酸飲料は飲まないですが、ドイツではあまりに口に合うものが
なかったので、、、。

 日本のお店で普通に出るお水、有難いなとしみじみ思いました。
それから日本ですとかなりの田舎でも自動販売機があることも有難いと感じました。



   

       
Rothenburg ローテンブルク


 
ローテンブルクここは日本人にはお馴染みの場所ですね。
D夫人にお願いして連れて行ってもらいました。
ここではツアーで訪れた日本人の方たちと1週間ぶりくらいに日本語会話しました。
言葉が通じると言うのはありがたいですね。
おにぎりをほうばりながら絵の販売店の前のベンチに座り描きました。

 観光バスの駐車場に日本人目当てに漢字で水彩画と大きく描かれた看板を立て、
ドイツ人らしい女性が水彩画を売っておりました。
見るとはがき大が1ユーロ、はがき2枚分くらいの大きさのものが2ユーロと
あります。
これはお土産品として考えればいいかもしれないけれど
、絵として考えれば安すぎるような気がします。
しかしドイツは物価が安いから、ドイツにしてはそんなに安くないのかもしれませんが、



   


                Rothenburg 
        ローテンブルク城壁からの眺め


 
ローテンブルグも城壁に囲まれた町ですが、丘陵地帯のなので城壁も
高低差のある面白い形でした。
できる事ならここに泊まってそれを描いてみたかったですが、
これ以上望むのは贅沢としか言えませんね。

 最初のドイツ行きの計画ではローテンブルグの日本人経営の宿に
泊まる予定でしたが、その方は宿をやめられていました。
そんな事からD夫人にイプフォーフェンに宿を取ってほしいとお願いしましたが、
我が家に泊まればよいと言われたのです。
私もちょっと気を使うのではと思いましたが、いや考えようで安全かなと
D夫人に甘える事にしました。。

 その日本人の方はローテンブルグで看板に日本人のお店と書いてあり、
お土産屋さんを営んでいます。その方にトイレの場所を聞きましたが、
日本語で助かりましたよ。


 



    
     

     Iphofen(イプホーフェン)


 この旅では普通の旅行では体験することのないドイツの一般家庭の生活の様子を
垣間見る事が出来ました。

 D夫人のお姉さんお兄さん弟さんの家にお邪魔しましたが、どの家も素晴らしい
インテリア、家具、オール電化されているキッチン、洗濯室などを見せてくれました。
どの家も乾燥機を使い、日本のように洗濯物を干している家を見かけませんでした。
お客様が来ると家の中を見せるような風習があるのか、どこに行っても見せてくれます。
日本だとあまり見せないけれどね。

 そしてどこに行ってもテラスでビールとワインが出て、長〜いおしゃべりが延々と
続きます。
不思議に思うのは何処の家に行っても食事は出ず、ひたすらワインとビールです。


 





   Iphofen(イプホーフェン)役所前広場より




 
思ってもみなかった南ドイツへの旅、苦しいやら楽しいやら・・・少し時間が
たった今となっては面白い体験が出来た事ばかりを思い出します。

ヴァードヒュッシンのペンションに泊まった際は朝食時に他のお客さんになんと『おはようございます!ニッポン!』と笑顔で言われました。(もちろん外国人)
また旅行者がたどたどしい日本語で、『ホッカイドウ、キョウト、ヒロシマ…』と声をかけてくれたり、私を見て誰もが日本人だとわかる事にまたびっくりでした。

 旅の最後にD夫人がイプフォーフェン観光馬車を頼んでくれました。
馬車は城壁の外に出るとアスファルトの道を馬は快適に走ります。
広いブドウ畑を30分ほど走ると小さな建物のところで休憩となりました。
そこで他のお客さんが食事を始めました。
その様子を見ているとテーブルクロス、ランチョンマットを敷き、お馴染みの伝統食パンにチーズ、ハムなどをはさみ、ブドウ畑のブドウを取って(畑の持ち主かもしれませんが)
ビール、ワインで乾杯、そしてなが〜いお喋りが始まりました。
そんな方たちを横目で見ながらこんなに待たされるのだったら絵の道具を持ってくれば良かったと思ったり。結局馬車が走りだしたのが1時間10分後、いやはやお喋り好きな国民性をあきれるほど味わいました。


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