このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

写真は、 こちら にも掲載してあります。ご覧あれ。
前日の終電で奥多摩入り。駅のそばで夜を明かしてトラップを設置しに行こうという無謀な試みに挑んでみた。
(我が家から始発で日原に行こうとしても、現地に着くのは8時になってしまって、山に登ったりすると時間が足りないのだ)

2008713.jpg長さ1km以上の日原トンネルを夜中に歩けるほど肝っ玉は大きくないので、駅についてひとまず寝られそうな場所を探す。駅にはヒグラシや変わった風貌のシャチホコガなど、近くの通りには小ぶりなミヤマクワガタ♂などがいたり非常に楽しい。結局駅近くで落ち着くのだが、夜の冷え込みを甘く見ていた軽装であったため寝付けない。 かつて盛岡で味わったような不毛の時間 を過ごす。

2008713_1.jpg4時ごろに夜が明け始めたので歩き始める。目標は日原の手前、倉沢。朝でもあのトンネルを歩こうとは思えなかった。2時間近くかかって到着して、バスが来るまで散策するが、奇天烈な風貌のイモムシが目に留まる。ほほぅ、これがかの有名なイボタガであるか。何となく持って帰りたくなってしまって採集(キンモクセイも食べるらしい)。

バスの乗客は3人、トンネルを越えて、鷹ノ巣山入山は7:01.1時間でも節約できたら行動範囲は広がる。程なく、ゼフィルス(ミドリシジミ属の通称)と思しきチョウが目の前を掠める。よく見えなかったが、名高いフジミドリシジミだったりして。

2008713_2.jpg計画として、まず山頂に出て、下山しつつトラップを仕掛けていこうと決めて、登りでは採集を自粛していきたい。しかし雨男にしてはめったに無い好天で、ついつい足元から飛び立つオバボタルに目がいってしまう(実に沢山飛んでいるのだ)そして、愉快な音が聞こえてくる。ミョーキン!ミョーキン!ケケヶヶヶ…これはカエルの鳴き声ではない。エゾハルゼミの鳴き声なのであるが、文字では何とも表現しがたい(図鑑ではこのように表記されている)平地に住んでいる人は、よほど虫が好きでもない限りこの声の主は分からないだろう。

ヒルメシクイノタワを過ぎ、山頂まであとわずかというところで、不意にササ藪からガサガサッ…と揺れる。あまりに突然だったので、真っ先に熊ではないかとの伝達が下る。非常におっかなく、まずは網の柄を散々たたいてヤツが遠ざかったと思うことにする。そして慎重にその場をやり過ごすが、セーフ。だがしかし、少し行ったところでまたガサッと...奴らは親子か?2008713_6.jpg

この時期はウシアブがぶんぶん飛び回ってきて非常に不快極まりないのであるが、それをやり込めることもしばし中断せざるを得ない緊迫感。これは長くは続かず、行程を続行することに決めた大胆さは、今ここで文を打っていると想像ができない。





2008713_5.jpg山頂に近づいた頃には左腿がつって難儀し(そりゃ、駅から2時間歩いてその上登山するのだから...)網の枠がついに壊れたりしながら第一の目標は達成された。しかし雲行きが怪しい。山頂近くに20個近くコップを埋め、この日のために近所を探し回って見つけた酢酸を注ぎ、その辺にいるジャノメチョウやミヤマハンミョウを捕まえて今来た道を戻っていく。

ヒルメシクイノタワでトラップを埋め終えた頃、ついに豪雨が襲ってきた!!せっかく苦労してここまで来たというのに、何も一瞬で崩壊しなくても(トラップに雨水がたまって、落ちた虫を腐らせてしまう)まぁそのことよりも安全に下山することを優先しないといけない。さっきのこともあっておっかなさ全快かと読者は捕らえるかもしれないが、藪を過ぎるとむしろ滑落するほうが怖い。そんな中、出口まであとわずかというところでヤツワクガビルの乱狂ぶりを目の当たりに出来たことは貴重な出逢いだった。こいつはかぼちゃみたいな色合を装っているのだが見た目の気持ち悪さはどうしようもなく、それでいて同じ形のミミズを食べるというのだからすさまじい。実際その発狂は近くにミミズがいたからなのであるが、頭部を何度も打ち付けてミミズを探す姿は、こういう類に耐性の無い人はすぐその場を去ったほうが良い光景である。私に関しては、カメラが撮り出せなくて何とももどかしかった(すぐそばでこけて泥だらけになってしまったのだ...)

しかし、何もかもずぶぬれになりながらも、バス停に戻ってこられた時は心底ホッとしたものである。ただ、2週間後に回収しにいかねばならぬとは...またこんな目にあったらどうしよう?

【採集成績】
ミヤマクワガタ ラミーカミキリ イボタガ幼虫 オバボタル ルリハムシ ウスイロトラカミキリ ミヤマハンミョウ ウラジャノメ など


TOPにもどる

旅行記、採集紀TOPにもどる

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください