このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
九市町村が一つの市だったら、
交付税は、35億円もマイナスに
安房九市町村の合併協議会の協議が始まりましたが、この九市町村合併には、財政的に大きな問題があります。
安房九市町村に平成13年度に交付された普通交付税の合計総額は146億1千万円でしたが、九市町村が一つの市だったとすると110億4千7百万円で、35億6千3百万円もマイナスになると見込まれます。(下の別表参照)
普通交付税は人口10万人を基準に、それ以下の小さな市町村に割増で加算する「段階補正」の制度があります。この段階補正による増分は平成13年度の安房九市町村では35億6千3百万円ありました。九市町村がひとつになれば10万人となり、段階補正の増分はなくなります。
現行の地方交付税制度のもとでも、合併後の特別措置がなくなる16年目以降、国から配分される普通交付税は35億円も減ることになります。これは、地域経済にも深刻な影響を及ぼし、安房地域は過疎化など衰退に拍車がかかってしまうのではないでしょうか。
合併特別措置は「優遇」措置か?
合併後10年間は、合併しなかった場合の交付税の計算を行い、それを下回らない措置をするという特別措置があります。これを「優遇」措置(「アメ」)のようにいうのはいかがなものでしょうか。
合併は当事者となる市町村にとっては財政的にはマイナスです。特別措置は、合併してもすぐには、職員の減員を一気にはできないなどのための必要経費を補うもので、合併をする以上、当然の措置です。それによってあらたにプラスの財源(アメ)が支給されるというものでは全くありません。
平成13年度安房九市町村普通交付税
市町村名 | 基準財政需要額 A (百万円) | 基準財政収入額 B (百万円) | 差額 A-B (百万円) | 財政力指数 収入/需要 | 段階補正による増分 (百万円) |
富浦町 | 1,663 | 466 | 1,197 | 0.281 | 383 |
富山町 | 1,947 | 570 | 1,377 | 0.293 | 390 |
鋸南町 | 2,678 | 881 | 1,797 | 0.330 | 427 |
三芳村 | 1,485 | 381 | 1,104 | 0.257 | 395 |
白浜町 | 1,731 | 590 | 1,141 | 0.341 | 387 |
千倉町 | 2,780 | 1,054 | 1,726 | 0.379 | 446 |
丸山町 | 1,925 | 480 | 1,445 | 0.249 | 410 |
和田町 | 1,767 | 473 | 1,294 | 0.268 | 406 |
町村計 | 15,976 | 4,895 | 11,081 | 0.306 | 3,244 |
館山市 | 8,938 | 5,409 | 3,529 | 0.605 | 319 |
九市町村計 | 24,914 | 10,304 | 14,610 | 0.414 | 3,563 |
「新市」 | 21,351 | 10,304 | 11,047 | 0.483 | 0 |
○地方交付税:全国どこでも標準的行政を行なうために、国が所得税など国税五税のうちの一定割合を地方に交付する。これは本質的には地方の税源であるが、国が地方に代わって徴収するものとされる。
地方交付税の配分を通じて、豊かな市町村から乏しい市町村に税収の再配分が行なわれることになる。
○交付税額の計算:基準財政需要額(標準的行政を行なうための経費)
−基準財政収入額(その市町村の税収などの収入)=交付税額
○段階補正 基準財政需要額の計算上、人口10万人を基準にそれ以下の市町村には一人あたりの経費が余計にかかるものとし、逆に10万人以上の市町村では減率されます。この係数を段階補正といいます。
九市町村はいずれも10万人以下ですので、普通交付税は段階補正で割増となり、この割増となった基準財政需要額は、3563百万円(「市町村合併検討基礎調査報告書」)となります。九市町村は合計人口が約10万人ですので、一つの市とすると、段階補正は割増とならず、普通交付税は35億円程少なかったことになります。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |