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鴨川市と天津小湊町が外された本当の理由は?
(お尋ねします)
「合併協議会だより」では鴨川市と天津小湊町が除外された経緯の説明で、「市域が広くなりすぎる」「各市町村の財政財政状況等に格差がありすぎる」等の理由から「安房11市町村による合併は断念」したとしている。だとすれば九市町村でも同じだと思う。借金の住民一人あたり残高は、鴨川だけでなく鋸南もかなり多いと思うのですが・・・。財政状況以外の理由があるのではないでしょうか?
鴨川市の借金は、タチの良くない借金で、
住民の負担が大変重い
(お答えします)
私は、鴨川市の財政状況があまりにも悪かったことが最大の原因だったと思います。確かに借金(地方債+債務負担行為支出予定額)の残高を比較する(参考資料2を参照)と鴨川が一番ではありますが、鋸南もかなりものです。しかし、問題は、鴨川の借金の内訳が、タチの悪い借金で、住民の負担は大変重い借金だと言うことが決定的だったと思います。
市町村の借金には「地方債」と「債務負担行為支出予定額」があります。地方債は、市町村が国や県の許可をえて行なう借金ですので、その返済額の一定割合を国が地方交付税で措置してくれます。100億円の借金といっても、その返済の時点で返済する元利金の半分を地方交付税で国が措置(負担)してくれれば、住民が実質的に負担するのは半分で済むことになります。館山市の地方債の多くは5割程度は地方交付税で措置してもらえるとされています。財政力の弱い小さな町村では、交付税で措置してくれる割合は7割程で、住民が負担するのは3割程で済むことになります。
これに対して、鴨川市の借金の中味ですが、地方債よりも「債務負担行為支出予定額」が巨額になっている(参考資料1を参照)のが特徴です。鴨川市が別会社(鴨川市開発公社)を作り、そこが開発の実施主体となり、開発資金を銀行から借りて、鴨川市がその保証人になるという仕組みをつくりました。債務負担行為支出予定額とは、鴨川市が鴨川市開発公社の保証人として肩代わりする支払いのことです。
鴨川市は、鴨川市開発公社をつかって、太海地区に100億円をかけて土地を取得・造成し、早稲田大学などにセミナハウス用地として無償贈与しました。鴨川市開発公社が銀行から借金したこの100億円は、債務保証した鴨川市が元利とも返済します。これは、国の許可を得た地方債ではないので交付税では措置されず、返済額が全て鴨川市の負担になります。このため、この負担は地方債に比べて2〜3倍以上も重い負担となるのです。鴨川市は、住民あたり債務負担行為支出予定額の多さは全国屈指であり、住民の負担が重たい借金をたくさん背負っていることになります。感情をまじえず冷静に見てみると、鴨川市の財政状況があまりにも悪かったことが明らかになった、これが11市町村合併協議の結果だったと理解しています。
(ご意見をお寄せください。神田まで)
(参考資料1)
地方債残高・債務負担(平成12年度)
| 地方債現在高(千円) | 債務負担行為支出予定額(千円) | 将来債務比率(%) |
館山市 | 18,967,346 | 1,941,537 | 194.3 |
鴨川市 | 13,326,670 | 10,052,139 | 303.5 |
富浦町 | 2,852,175 | 0 | 152.1 |
富山町 | 3,150,963 | 12,125 | 140.5 |
鋸南町 | 6,651,188 | 880,346 | 245.4 |
三芳村 | 1,968,108 | 71,270 | 123.1 |
白浜町 | 2,590,873 | 0 | 128.2 |
千倉町 | 4,144,173 | 213,914 | 136.9 |
丸山町 | 3,029,611 | 8,022 | 139.9 |
和田町 | 3,128,261 | 0 | 157.6 |
天津小湊町 | 3,073,690 | 36,639 | 139.5 |
出典「市町村合併検討基礎調査報告書」36ページ
将来債務比率=(地方債残高+債務負担行為支出予定額)÷標準財政規模
(参考資料2)
市町村 | 地方債残高(百万) | 債務負担行為支出予定額(百万) | 合計残(百万) | 人口 | 千人当残高 | 館山市と比較 |
| A | B | C=A+B | D | E=C÷D | F |
館山市 | 18.967 | 1.941 | 20.908 | 51.412 | 406.7 | 100.0 |
鴨川市 | 13.326 | 10.052 | 23.378 | 29.981 | 779.8 | 191.7 |
富浦町 | 2.852 | 0 | 2.852 | 5.689 | 501.3 | 123.3 |
富山町 | 3.150 | 12 | 3.162 | 6.070 | 520.9 | 128.1 |
鋸南町 | 6.651 | 880 | 7.531 | 10.521 | 715.8 | 176.0 |
三芳村 | 1.968 | 71 | 2.039 | 4.744 | 429.8 | 105.7 |
白浜町 | 2.590 | 0 | 2.590 | 6.029 | 429.5 | 105.6 |
千倉町 | 4.144 | 213 | 4.357 | 13.161 | 331.0 | 81.4 |
丸山町 | 3.029 | 8 | 3.037 | 5.777 | 525.7 | 129.3 |
和田町 | 3.128 | 0 | 3.128 | 5.684 | 550.3 | 135.3 |
天津小湊町 | 3.073 | 36 | 3.109 | 7.672 | 405.2 | 99.6 |
鴨川市と鋸南町を比べてみると
住民千人あたりの借金残高(地方債残高+債務負担行為支出予定額)では鴨川市がトップですが、鋸南町もかなりのもので遜色ありません。しかし、その中味(借金残高の内訳)では、鴨川市は、債務負担行為支出予定額が、42パーセントもあるが、鋸南町は12パーセントで、その内訳に大きな違いがあります。
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