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丸山町議会議員の石崎信次議員が、合併問題についての「見解」を明らかにしたビラを配布しました。

町村の住民の視点から、合併の財政問題を論じたものです。合併すれば新市の周辺部になり、地域の衰退をもたらすことを財政問題から指摘しています。このビラの内容をお知らせします。

 

 丸山民   住民が主人公     発行 日本共産党丸山支部

2003年8月号外    連絡先:石崎信次 岩糸1890 電話46−3580

 

7問・7答(そこが知りたい) 館山・安房九市町村合併

日本共産党 丸山支部(支部長 町会議員 石崎信次

 

「小さくとも自立した町」か、それとも「合併新市の周辺地域」か、どちらを選ぶのか?

丸山町の50年後、100年後を見据えて、間違いのない選択をしなければなりません。以下の「問答」は、私たちの考えですが、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

 

問1、「こんなに地方交付税が減らされたら合併しかない」といいますが?

 

答 地方交付税は、実質的には増えています。減った分は臨時財政対策債に振り替えたからです。

 平成13年度(2001年)から、地方交付税の一部を臨時財政対策債に振り替える措置がとられました。市町村にとって、臨時財政対策債は、地方交付税と実質的に変わりませんので、地方交付税はこの臨時財政対策債の分とを合計してみなければなりません。

総務省も、「地方交付税は前年度比4.0%のマイナスとしたが、臨時財政対策債を加えると実質4.5%増となる。市町村長には地方交付税が減ったことだけを注視する傾向があるようだが、地方財政の運営に支障が生じないよう必要額を確保した」(河野・財政課長)と説明し、さらにこの点に関する国会審議を紹介しつつ「トップ(市町村長)にも話を上げるよう協力をお願いする」(岡本・交付税課長)と発言しています。(2002419日の全国都道府県財政課長・地方課長合同会議) 地方交付税の動向は表のとおりです。

各年度の地方財政計画から(総務省自治財政局資料)

 200012)年度200113)年度200214)年度
地方交付税

214107億円

203498億円

195449億円

臨時財政対策債への振替(制度なし)

14488億円

32261億円

合 計

214107億円

217986億円

227710億円

                

問2「将来は地方交付税がくる保障がないから市町村合併だ」といわれますが?

 

答 地方交付税が減ってやっていけない市町村が合併したら、財政的にやっていける市にするという制度や保障は、なにもありません。

合併しない市町村で地方交付税が減ることになれば、合併した新市も地方交付税は減ることになります。合併したら特別に地方交付税が保障されるということはなにもありません。それどころか、問4で説明するように、合併すれば、さらに確実に地方交付税は減ることになります。

 「合併後10年間は地方交付税が保障されるのでは」と誤解している人がいますが、そういうことはありません。合併新市の地方交付税は、合併前の市町村の地方交付税の合計額よりも少なくなってしまうので、そうはならないように、合併後10年間は、それまでの市町村があったものとして、その合計額を新市の地方交付税とするという計算方法がとられます。「算定替」といわれるものですが、それまでの個々の市町村の地方交付税が減れば、それを合算した新市の地方交付税も当然、減ることになります。合併したら、10年間はそれまでの地方交付税が保障されて、減らないということではないのです。

 

問3、「少子・高齢化でやっていけない、生き残れないから」といいますが?

 

答 合併すれば「少子・高齢化」対策がすすむ保障はありません。

「少子・高齢化」の対策というのであれば、高齢者が安心して老後をすごすことができるようにすること、若い世代が定住でき安心して子育てできるようにすること、そのための福祉施策を充実させること、農林業などの地域に根ざした産業を育成することなど、きめ細かな多面的な施策が求められます。合併はむしろそれに逆行するのではないでしょうか。

 65歳以上の住民の比率がすでに4割を超えている町村が、全国には少なからずありますが、「少子・高齢化がすすんだために町や村がつぶれた」例は一つもありません。

 放漫財政や事業の見込み違いから、財政「再建団体」になった自治体は今でもありますが、だからといって、つぶれた町や村はありません。「市町村合併でしか生き残れない」ということはなく、それは根拠のない議論です。

 逆に、はっきりいえるのは、「生き残れないから」と市町村合併にすすめば、いまの丸山町のかたちそのものがなくなることです。合併によって新市の「周辺部」になってしまえば、単に愛着のある丸山町の名前がなくなるだけではありません。役場もなくなり、そこに働く職員の大半もいなくなります。丸山町独自のさまざま施策や各種の行事も、残らないことが懸念されます。そうなっては、なんのための「生き残り」でしょうか。

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4、合併で地方交付税はどのくらい減るのですか?

 

答 丸山町の地方交付税は17億円ほどですが、合併後は半分以下になります。

館山・安房九市町村の地方交付税の合計額は平成12年度で173億円ほどでした。この時の丸山町の地方交付税は、17億円です。合併すると、新市は109千人の市となり、ひとつの市として地方交付税を計算すると九市町村の合計額よりも35億円ほど少なくなると見込まれます。この結果、合併新市の地方交付税は138億円ほどになります。(但し、合併直後の10年間は「算定替」、その後の5年間は「激変緩和」の経過措置があります)

 合併新市の地方交付税を人口割で丸山町地域分として算出すると73千万円ほどにしかならず、半分以下に激減します。住民一人あたりの地方交付税は、平成12年度丸山町では29万7千円でしたが、合併したとすると12万7千円と半分以下になるのです。

  ○合併すると丸山町民の一人当り地方交付税は、半分以下に激減する

 

平成12年度実績

合併想定

 

人口(人)

地方交付税

一人当り

地方交付税

一人当り

九市町村計

109,087     

173億66百万円

15万9千円

138億02百万円

12万7千円

丸山町

5,777       

17億17百万円

29万7千円

7億31百万円

12万7千円

 

問5、合併によって住民サービスや負担の違いはどうなるのでしょうか?

 

答 まず、はっきりとさせておかなければならない点は、国の支出を減らすための合併であるということです。

前問の答のとおり、丸山地域の住民一人あたりの地方交付税は29万7千円から12万7千円程へと半分以下になるのですから、合併の際には、「サービスは高い方に、負担は低い方に」と決めてスタートしても、合併後しばらくして、あるいは直後から、公共料金の値上げやサービスの後退がはじまるのはまちがいありません。

丸山町が農業立町の理念のもとに作り上げてきた町独自の農業助成策は廃止、ないしは大幅削減に、小学校や中学校は統廃合となり、さらに、館山市が独自に課税している都市計画税が丸山町地域にも課税されることになるかもしれません。

「合併すると役場がなくなって不便にならないか」という不安があります。役場は新市の支所として残る例もありますが、10年、20年を経るとなくなります。いずれにしても、旧役場に相当数の人員を配置することは、財政的に不可能に近いことは念頭においておく必要があります。現実に、六村を合併した館山市には、支所も出張所もありません。

 

問6、「合併特例債のある今のうちに合併すべき」と言いますが?

 

答 合併特例債は、簡単にはしゃぶれない「アメ」

合併特例債は、合併に伴う公共事業のための借金(起債)のことです。九市町村が合併すれば、あらたに合併特例債として、553億円の借金が認められるというのですが、現在でも館山・安房九市町村の借金残高の合計は500億円もあります。将来の返済のことを考えれば、借金は必要最小限にとどめなければなりません。

 合併特例債をあてに過大な借金をしたら将来、確実に財政破綻します。このため、総務省の説明でも、合併特例債の許可の際には、起債制限比率15パーセントをこえないように、財政運営上の従来の基準を守ってもらうと、はっきりと答えています。これは、合併特例債は、合併誘導の「アメ」だといわれますが、財政状況のあまりよくない館山・安房九市町村の合併新市にとっては、馬の鼻先にぶら下げられたニンジンみたいなもので、実は簡単にはしゃぶれない「アメ」だということです。

 

問7、合併したら、丸山町はさびれるのでは、と不安ですが?

 

答 合併すれば、「中心部はいいが、周辺部の丸山町地域はさびれるのでは」という不安は当然です。

「昭和の大合併」で館山市に合併した旧富崎村地域では、人口が半分以下に激減しました。合併新市の予算財源全体が少なくなる中で、旧市町村地域毎の予算獲得競争は激しく、人口が少なく議員も少ない丸山町地域に予算がまわる保障はほとんどありません。丸山町地域の地方交付税分は、半分以下になるどころか、3分の1や4分の1の水準になることも十分ありうることです。むしろ、その方の可能性が大きいかも知れません。

 

 たしかに「合併=さびれる」とは単純にいえないとしても、特別の施策や努力がなければ避けられないのが、実際ではないでしょうか。丸山町地域が、さびれないようにし、活気を守り、取り戻そうとするには、農業や福祉施策の充実などの努力が必要です。

 合併しないで自立した町として残れば、いまの役場を中心に丸山町町民の意思と判断で、独自の努力をすすめることができます。しかし、合併すれば、合併新市の役所にすべての権限が移りますから、たしかな保障はなにもないことになります。

「丸山町は、合併しなければやっていけない」との声があると聞きます。しかし、合併すれば過疎が解決できるわけではありません。むしろ、合併新市の「周辺部」になって過疎はますます深刻になるだけではないでしょうか。

 

  合併しない宣言をした福島・矢祭町 の根本町長は「財政規模に合った独立・独歩・自立できる町づくりを継続して推進していく」「小さくとも矢祭町として残ったほうが、大きな市町に埋没することなく、自治権を行使して将来的にも血の通った行政ができ、町民の福祉増進が図れる」といっています。高知の越知町の吉岡町長も「過疎から地域を守ろうとする私たちの努力がなしくずしにされる恐れがある。合併は最終的に行政のリストラに進み、過疎が急激に進む」と国による合併おしつけをきびしく批判し、「自治体が運営していけない状況ではなく、いま、合併の必要はない」と話しています。

 

館山・安房九市町村合併の是非について、みんなで話し合い、間違いのない選択をして、次の世代に伝えなければなりません。この小論を合併問題の話し合いのきっかけにしていただければ幸いです。あなたのご意見を、石崎信次(岩糸1890)までお寄せください。 

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資料  矢祭町の合併しない宣言

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