このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
(合併問題を考える)ご質問にお答えします。
問)合併しないと館山市は財政破綻するというのは本当ですか?
答)それはありえません。合併は財政的にプラスではないからです。
「合併しないと館山市は近いうちに財政破綻するといわれましたが、本当でしょうか、大変心配ですが・・・」というご意見が寄せられました。この問題について考えてみます。
ひどい話がされているものだと驚きましたが、その手の話が口コミで流されているようです。3年で財政破綻と期限をきった話まであり、無責任なことをいうものです。その根拠はなんだというのでしょうか。
合併すれば財政危機が回避されて安心できるというわけではありません。むしろ、「昭和の合併」では、館山市は六村合併したために財政破綻しました。安房でも合併直後に財政破綻し再建団体になった町もありました。市町村合併は国にとっては「おいしい話」でも、住民にとっては「おいしい話」とはかぎらず、むしろ増税など痛みを伴う大変辛いことにもなります。合併しても大幅な経費削減がなければ、財政的にはマイナスになるからです。
住民一人あたりで見ると小さな市町村ほど国が配分する地方交付税が多くなる仕組みになっています。合併すればそれまでよりも大きな市町村になるので、財政的には住民あたりの地方交付税は少なくなります。合併すれば合併市町村全体では地方交付税として配分される総額はマイナスとなるのです。国の合併促進のねらいもここにあります。
例えば、平成13年度に安房8町村に配分された地方交付税の合計額は111億円ですが、これが合併して5万人規模の一つの市だったとすると82億円程となり配分される地方交付税は29億円ものマイナスになります。
国は合併を進めるために、地方交付税の配分では、10年間は合併しても不利にならないように、合併しない場合の各市町村の地方交付税の合算額とし、その後さらに5年間で合併した場合の地方交付税にと段階的に減らすという経過的措置(合併算定替)をとるとしています。これは合併すれば財政がプラスになるということではなく、10年間はマイナスにはならないということでしかありません。10年間が過ぎれば、確実にマイナスとなり、15年後に完全に経過的措置もなくなってしまい、大幅なマイナスとなるのです。
でも、合併すれば「合併特例債」という特別の制度があるようにも聞くけど、どうなんですか、という意見もありました。
合併特例債は、合併したことにより必要となる公共施設の建設の資金調達として起債(借金)を認めるということです。住民福祉の水準を引き上げるためにとか、教育施策を充実させるためになどの施策のためには一円もつかえるものではありません。あくまでもハコモノの建設事業についてだけが対象です。
それを、合併すれば特別の補助で得するのだからと勘違いして、無駄づかいを重ねれば本当に財政破綻してしまいます。
実際に、特例債があるのだからと「ハコモノ」作りで借金が増えて返済に困り、さらに財政の裏づけも無く福祉等のレベルを旧市町村の最高水準であわせたりしたために、財政破綻の危機に陥っている合併新市もでてきました。ましてやまだ合併もしていない今のうちにと次々にハコモノづくりに浮き身を費やしている町村などは論外です。
○ 館山市と八町村を比較すると・・・。
安房8町村と館山市を比較してみました。
安房8町村は、館山市に比べて人口は1割ほど多く、面積は2、5倍にもなりますが、税収は逆に館山市の方が多く2割近くも少なくなっています。市町村職員の数では館山市よりも7割も多くの職員を抱えていますし、公立学校の数もやはり2倍になります。
項目 | 人口(人) | 面積(平方キロ) | 職員数(人) | 中学校数(校) | 一人当地方交付税 | 基準財政需要額(百万円) | 地方税収(百万円) |
八町村a | 57.675 | 275.38 | 731 | 8 | 193千円 | 15,976 | 4.991 |
館山市b | 51.412 | 110.20 | 431 | 4 | 73千円 | 8,938 | 6.091 |
比率a/b | 1.12 | 2.50 | 1.70 | 2 | 2.64 | 1.79 | 0.82 |
(「館山安房9市町村の概況と主要指標」平成15年10月等より作成)
安房8町村は館山市に比べ、職員数や公共施設(例えば公立中学校)の数などは多く、経費(基準財政需要額)は倍近くもかかるのですが、それをまかなう税収は少なく、その分地方交付税に依存する割合が大変高くなっていることがわかります。
合併しない館山市が財政破綻だというならば、財政的により厳しい8町村と合併すれば、さらに厳しい財政状況になるのをどう説明するのでしょうか。
(ご意見をお寄せ下さい)
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |