このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

乳幼児・障害者医療助成改悪案は継続に

 3月15日に開かれた館山市議会文教民生委員会は、乳幼児・障害者の医療費助成の改定条例は審議すべき問題点が多いとして継続審査にする事を決めました。

館山市は就学前までの乳幼児や中度(4級相当)までの障害者の医療費助成を1973年(昭和48年)から実施してきた全国最初の市です。助成は入院と通院の自己負担医療費が対象です。市の改定案は3歳以上幼児と中度(3・4級相当)障害者の通院医療費を7月からは助成対象からはずすというものです。館山市の医療費助成は、国保の該当者には助成金のお知らせを送付するなど、32年間に市民に広く定着してきました。改悪案に批判の声が急速にひろがっています。この問題点を考えてみましょう。

  
突然の改悪案、通院医療費4千万円の経費削減が唯一の理由

 3月定例議会にこの改悪案は突然提案され、日本共産党の神田守隆議員が行政一般質問で辻田市長の姿勢を質したことが発端でした。
館山市行政改革懇談会の提言で、少子化対策として乳幼児医療助成の整備、拡充が求められていたにもかかわらず、これに反する提案で「行革案としても落第」と神田議員が指摘。市長は「新年度予算編成で財源が不足するために最終段階で削減案を決めた」と市民の意見を全く聞くことなく、4千万円の経費削減だけが提案の理由であることが明らかになりました。(17年度予算削減額 乳幼児で1200万円。障害者で2800万円。)

当初予算未計上の4億円の財源隠しを指摘
辻田市長の「財源がない」の言いわけを追及

神田議員は、財源がないというが、新年度予算では4億円規模の財源隠しがあると指摘。新年度予算に計上の普通財源(市税、普通交付税、臨時財政対策債の合計)は94億円だが、今年度決算見込額の98億円より4億円も少ない。(右の表参照)麻生総務大臣は全国の市町村長・議長への年頭の手紙で「平成17年度の普通財源は16年度と同額を確保した」としている。4億円規模の財源隠しではないかと質しました。

市長は、全国的にはそうだが、館山市が総務大臣のいうとおりの財源が確保されるかはわからない。国は信用できないと逃げの答弁に終始しました。

神田議員はさらに、市の地方交付税額や臨時財政対策債の枠は7月には通知がくる。乳幼児や障害者医療助成の必要額4千万円が工面できるかどうかは、それをみればわかることだ。総務大臣が信用できないと先走って3月議会に提案すべきではない。撤回してはどうかと質しました。市長は「撤回しない」としか答えられませんでした。

乳幼児・障害者医療助成制度は、市民に定着した全国に誇る施策

 館山市の乳幼児・障害者医療の助成制度は32年前の1973年(昭和48年)に本間市長によって実施されました。しかし、翌74年度に館山市は財政破綻、当時40億円の財政規模で3億円の歳入不足となったからです。(新年度予算は156億円ですので、現在なら12億円相当の歳入不足による財政破綻になります。)
当時の半沢市長は、翌年度財源を繰上充用し、職員の昇給延伸など必死の財政再建に取り組みました。そのなかにあっても、「人間尊重」を市政の基本理念にかかげ、全国で最初の乳幼児・障害者の医療費助成制度を守りつづけました。神田議員は、館山市の医療費助成は深刻な財政破綻のなかでも守られてきた人間尊重の市政の基本理念のあかしだ。改悪案は、館山市の福祉の歴史を全く知らない、あまりにも軽々しい数字あわせの発想による福祉切り捨て提案だと辻田市長ら市当局の姿勢を厳しく批判しました。

経費削減は、館山大桟橋建設のための財源づくり

 助役は国土交通省から、総務部長は千葉県から、二年の短期交代の「天下り」の方がきています。天下りはもともと多くはありませんが、市の中核となる助役も総務部長も天下りという例は本当にめずらしいことです。館山市の歴史も風土も知らないこれらの天下りの方に市は毎年2300万円もの人件費を負担しています。「天下りを返上すれば経費削減ができる」との神田議員の指摘に、辻田市長は「二年交代でも立派な仕事をしている」と答え、国や県とのパイプを強調しました。
辻田市長が「天下り」受け入れをつづけ、福祉切り捨ての極端な経費削減を押し付ける根本には、単に財源不足というだけではなく、館山湾に巨大な桟橋をつくる館山大桟橋計画の財源確保というねらいがあるからです。

◎館山市の普通財源             

 

16年度当初予算

16年度決算見込

17年度当初予算

地方税           

56億91百万円

57億80百万円

55億80百万円

地方交付税

32億30百万円

33億25百万円

33億30百万円

臨時財政対策債

7億05百万円

7億17百万円

5億10百万円

合計

96億26百万円

98億22百万円

94億20百万円

 

 


17年度当初予算案の普通財源合計額は、当初予算比較で2億円、決算見込額比較で4億円も少ない。政府は16年度と同水準を確保したとしている(下の表)。差額は隠し(留保)財源。

◎政府予算における地方普通財源

 

16年度予算

17年度予算

増減率(%)

地方税

32兆3231億円

33兆3189億円

9958億円 (3.1%)

地方交付税

16兆8861億円

16兆8979億円

117億円 (0.1%)

臨時財政対策債

4兆1905億円

3兆2231億円

9674億円(△23.1%)

合計

53兆3997億円

53兆4399億円

402億円 (0.1%)

17年度の国の予算における地方普通財源は、地方税が増えて臨時財政対策債が減っているが合計額では534千億円で16年度とほぼ同じ水準である。 

<神田もりたかのホームページもご覧ください http://www.geocities.jp/kandamoritaka/>

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