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05年度予算を厳しく批判・・・神田議員の反対討論>

市民の安全おざなり、津波対策のない海辺のまち

巨額の財源隠して、福祉切り捨て等の問題点を指摘。
 「天下り」の返上と館山大桟橋計画の凍結を提案

 

 

新年度予算案を審議した3月議会の最終日の24日、神田議員は新年度予算に反対討論を行ないました。その内容をお知らせします。

 

 

神田)議案第1号平成17年度館山市一般会計予算に反対の討論を行ないます。

 

平成17年度予算編成における特徴は、市長査定段階で突然として極端な経費削減が強行されたことであったことが、質疑を通じて明らかになりました。このため、緊急を要する住民の関心事である災害に対する安全対策への無関心、これまでの館山市政が歴史的に築いてきた福祉施策の切り捨て、その一方で、住民がのぞんでもいない典型的なハコモノ作りである館山大桟橋への固執など、平成17年度予算案の特徴が浮かび上がってきました。以下の4点について指摘します。

 

1、   防災対策について

 

昨年は、中越地震がおき、また先日は九州の福岡市でも地震がありました。また、スマトラ沖地震ではインド洋沿岸の各国に甚大な被害を及ぼした津波が襲来しました。

 

館山市域は小田原周辺とともに関東大震災では、激しい揺れと津波で最も甚大な被害を被った地域のひとつであります。1703年の元禄地震はマグニチュード8.4といわれる巨大地震でしたが、房総沖が震源地であり、館山市域では、外房地域で波高10m、館山平野で波高5mに達したといわれる津波被害を被っています。本日の新聞報道でも、今後30年以内に起きる可能性きわめて高い地震となっています。


市民の命とくらしを災害から守り、被害を最小限に抑えるために市がなにをなすべきかは、重要なテーマであります。新年度予算では、自主防災会の活動を整備・充実をはかるということは大変重要なことですが、その他には、これといった施策がみえません。

特に市の防災対策では、地震災害の際の被害予測はしているのですが、どういうわけか津波被害については被害予測すら立てられていません。津波危険予想地域の居住者数は何人か質しても、その数すら把握しておらず、どのような対策をたてようというのでしょうか。

それどころか、津波に対する安全対策をもとめる私の質問に、市長は、いちいち調査をするのは大変だ。「津波は百年に一度あるかないかのこと」と平然と言い放つなど、あきれるばかりです。市長の津波防災についての認識はきわめて軽いものだといわざるをえません。館山市は32キロの海岸線をもつ海辺のまちです。海辺のまちは、津波の危険を常にもつ町だということ、この認識をしっかりともっていただきたいと思います。


災害はいつ襲ってくるかわかりません。質問でも指摘しましたが、防災指導員制度をつくり、自主防災会の活動を活発化し市民の防災意識と対策をたかめることを期待します。また、質問で指摘した各種の防災対策について、検討するとの答弁でしたが、真剣な検討を急ぐよう求めます。

 

2、   乳幼児・障害者医療費の助成について

 

新年度予算では、乳幼児医療及障害者医療について、7月から3才以上の幼児と3・4級相当の中度障害者の通院医療費への助成を廃止し、4000万円相当の助成を減額するとのことであります。文教民生員会では、関係議案を継続審査としましたが、私は質疑でも指摘しましたが新年度予算には、4億円規模の財源隠しがあり、経費削減だけを理由としたこうした住民福祉の一方的な切り捨ては認められません。


特に乳幼児や障害者の医療費助成は、1973年に日本で最初に実施したもので、館山市の福祉の歴史そのものともいうべき施策であります。しかも翌1974年には館山市は財政破綻しますが、その財政破綻にあってもこの制度は守られてきました。職員の昇給を延伸し、市職員に負担をもとめるなど必死に財政再建をはかったのです。当時の半沢市長は、人間尊重を市政の基本理念にかかげ、その証としてこの乳幼児や障害者の医療助成は守られてきたのです。改悪案は、こうした館山市の福祉の歴史を全く知らない、あまりにも軽々しい数字あわせの発想による福祉切り捨てです。文教民生委員会は継続審査としましたが、市長において、改悪案の撤回するよう求めます。

 

3、   新年度予算の財源問題について

 

17日付けで、麻生総務大臣から、市町村長あてに年頭の手紙を寄せられました。平成17年度予算案の編成が市長査定などの最終段階で、予算編成の基礎となる国の地方財源対策の結果を通知したものです。その内容は、平成17年度地方普通財源は、平成16年度を下回ることなく、わずかながら増額できた。市町村の固有のそれぞれの特殊事情があれば別ですが、基本的には、ほぼ16年度と同じ水準が確保されたということであり、これを踏まえて17年度予算編成の基礎にしてくれというのが、麻生総務大臣の手紙の内容であります。この手紙を辻田市長はどう読んだのでしょうか。


手紙を受け取った以降の1月の中旬から、財源がないという理由で、市職員の給料カットとか、住民の福祉を切り捨てるとか、当初予算案が市長査定の段階で次々と削減されました。三役の給与も含めるとか、いわゆる経費削減に狂奔しはじめました。麻生総務大臣の手紙で17年度は16年度に続いてさらにきびしい財源措置になってしまったというのなら、理解もできますが、事態はそうではないのです。厳しい厳しいということは繰り返しいわれても、なぜそうなのか、財源がいくら不足するのかなどの具体的な話はありません。かえって、財源は16年度と同じ水準が確保されているのですから、過激な財源不足を説明する材料にはなりません。

 

総務大臣が17年度財源は16年度並みを確保したと強調しているにもかかわらず、市の17年度予算では、16年度決算見込み98億円よりも4億円も少ない94億円しか計上していません。17年度普通財源が16年度と同じ水準とすればなお4億円の隠し財源があることになります。4億円もの財源を隠してでも、人間尊重を基本とする市政の理念を否定し、乳幼児や障害者の医療費助成を改悪しなければならない事とは何ごとでしょうか。
辻田市政は、本間市長、半沢市長、庄司市長と歴代の市長が築き守ってきた「人間尊重の基本理念」を公然と捨て去るところまできてしまったのだと指摘しなければなりません。

 

4、       天下りの返上について

 

辻田市政のこの退行ともいうべき現象を促してきたのは、館山市の経てきた歴史を知らない、またこの地域に縁のない天下りの方々の果たしてきた役割は甚大であったと思います。助役は国土交通省から、総務部長は千葉県から、いずれも二年の短期交代制ですが、こんなことをいつまでもつづけていることは館山市のためにも市民のためにもよくありません。市は毎年2300万円もの人件費を負担していますが、経費削減というなら、この天下りを返上することが第一にすべきことです。

なお、天下りの方は、個人的には大変優秀な方で、私も尊敬しているところです。国土交通省や千葉県では立派な仕事をなさる方だと確信しています。残念ながら「豚に真珠」ともいうべきで、館山市政の現状は、その力を発揮できる環境にないのが残念なことです。

 

辻田市長が天下りを受け入れつづけ、福祉切り捨ての極端な経費削減を押し付ける根本には、館山湾につくる大桟橋の財源づくりという思惑が隠されているものと指摘せざるをえません。本当に財源がないというのなら、まずは館山大桟橋計画は凍結するのは当然のことです。館山大桟橋計画の凍結を求めます。
以上の点を指摘し、私の反対討論とします。

 

 
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地方交付税がさらに8千万円増額に

 3月定例会最終日(24日)にあらたに16年度一般会計補正予算第6号が提案されました。
その主な内容は、地方交付税のうち特別交付税の決定通知があり、それによると予算よりさらに8千万円ほど増額になったというものです。特別交付税は、毎年三月の年度末に決定額の通知がきます。特に今年度は全国的に地震や豪雨などの災害が多かったために、これらの被災市町村に特別交付税の多くが配分されることになり、このため館山市への配分額は、少ないだろうと思いました。しかし、実際には2億3千万円の予算に対して7千7百万円も多い、3億円が配分されたのです。

 この地方交付税の増額で、今年度(04)の普通財源合計は99億円となります。新年度予算計上の普通財源は、94億2千万円でしたので、その差額は、4億8千万円になりました。政府の説明によれば、平成17年度普通財源は、16年度並みを確保したとするのですから、新年度の館山市予算未計上の隠し(留保)財源は、4億8千万円規模にさらに8千万円増えることになります。

財源不足を理由にして、乳幼児や障害者の医療費助成(17年度必要額4千万円)など福祉切り捨て策をすすめる新年度予算の論拠がますます希薄になりました。

 

 

<地震対策を考える>

 

関東大震災では、館山市域は壊滅的な被害をうけました。その被害の状況は安房震災史によれば、以下の表のとおりです。

 

北条、館山、那古、館野などの館山平野の中心地域では、地盤が軟弱で家屋の倒壊率が大変高くなっています。倒壊した家屋の下敷きになってなくなった方が多くあったと推察できます。

 

また富崎では津波が押し寄せて、家屋が70戸流失しています。津波はここでは10m近くなったと思われます。内湾でも津波は寄せましたが、小さかったために大きな被害は出しませんでした。さらに、船形では火災が発生し、これが被害を大きくしました。

 

現在は、館山市と一つの市になっていますが、各地域(当時の村や町)によって被害の状況が大きく異なっていることがわかります。地震対策といっても、館山市内でも住んでいる地域ごとに対策も大きく異なることになります。各地域の実状に応じた対策や訓練が必要になると思われます。

 

 

特に津波対策では、富崎村の流失戸数70戸がありますが、地震と同時に迅速な避難がされたためだろうと思われますが、人的な被害は少なくなっています。現在、想定されている津波被害は外房で波高10m、内房で5mです。この規模の津波がきたら大被害が免れません。関東大震災の際に、富崎村が流失家屋70戸という大被害を被りながら大きな人的被害にならなかったのはなぜなのか、津波対策で学ぶべき点が多くあるのではないかと思います。

 

 

関東大震災被害状況(安房震災史より)

 

町村名総戸数全壊・倒壊半壊・破損焼失流失死者・行方不明負傷者
北条町

1616

1502

47

18

0

230

1041

館山町

1678

1455

153

55

0

116

152

西岬村

793

107

146

0

1

10

12

神戸村

563

197

81

1

0

11

5

富崎村

580

15

19

0

70

1

6

豊房村

722

314

204

0

0

31

10

館野村

507

478

11

2

0

50

28

九重村

462

372

60

1

0

20

40

那古町

900

870

18

0

0

125

300

船形町

1178

625

139

340

0

133

290

合計

8999

5935

878

417

71

727

1884

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