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「国土交通省への市職員の派遣は違法」と
神田議員ら5名が、住民監査請求
8月4日、神田議員他4人の市民の連名で館山市監査委員に住民監査請求をしました。
4月から館山市職員1名が国土交通省の出先に1年間の予定で研修派遣されました。
この研修派遣は2月14日に起案されて同日に市長らの承認の決済がなされました。その後、派遣者選考をすすめて決定し、3月17日には国土交通行政実務研修受講申請を関東地方整備局長(国土交通省)に提出。3月29日付けで派遣承諾の通知をうけています。この経過は超スピードであり、尋常ではありません。議会にも全く説明はありませんでした。
関東地方整備局長(国土交通省)と市が交した「確認書」では、その市職員の人件費は市が負担しますが、国土交通省は研修に必要な通常の所定の措置はしないことが明記されています。この研修派遣は果たして「研修」と言えるものなのか、その内容が大変問題です。
研修は名目だけでタダでつかえる労働力として使われることになるかもしれません。だとすれば、それは国と地方自治体との財政負担の秩序を定めた地方財政再建措置法に違反することになります。
この「住民監査請求」の全文及び同時に提出した「事実証明書」は以下です。
ご感想やご意見、ご批判等是非ともお寄せください。
宛先は上記の「神田もりたか」まで。メールでもお気軽にどうぞ
<住民監査請求>
館山市職員措置請求書
館山市長に対する措置請求の要旨(請求の要旨)
1、4月から市の職員が国土交通省の出先である関東地方整備局港湾空港部港湾計画課(横浜市)に実務研修職員として研修派遣されましたが、研修名目の人件費負担であり、違法な隠れた「国等に対する寄付」に該当します。
2、平成17年3月29日に関東地方整備局港湾空港部長藤田郁夫氏と館山市長辻田実で、「実務研修職員に関する確認書」(別紙事実証明書)を交わしています。それによると「研修の実施方法」については、国土交通省所定の「行政実務研修実施要領」は適用しないとしています。したがって、担当の実務研修指導員はおかれず、研修のためのオリエンテーションもありません。理論研修の課題選択もなく、国土交通大学校で受講することもありません。研修終了後の効果測定もありません。上記の確認書による「研修」は、国土交通省所定の「行政実務研修実施要領」による研修はしないということです。その実質は国土交通省にとっては費用のかからないただ働き職員であり、館山市による「職員人件費相当額等」の寄付です。
3、地方財政再建措置法24条2項では、自治体は、当分の間、国または公団、公庫等に対し、寄付金、法律又は政令の規定に基づかない負担金その他これらに類するものを支出してはならないと規定していますが、これは、国と自治体との間の財政秩序を乱すべきではないとの趣旨の規定です。この問題について、碓井光明東京大学教授は、その著書「住民訴訟と自治体財務 改訂版」の「国等に対する寄付の禁止」の項で、隠れた寄付金の事例として、「第二に研修の名目で自治体職員に国の機関で職務に従事してもらう方法である。(研修名目の人件費負担)」(同書206ページ)と、館山市の国土交通省への職員派遣の事例のような違法行為の発生を予想していました。
4、館山市は、上記の違法な研修名目の職員派遣によって、財務会計上において派遣職員の人件費相当額の損害を日々生じています。
5、違法な派遣を命じた辻田実館山市長に対し以下を請求する事を求めます。
①上記の国土交通省への研修職員の派遣の違法性を確認し市職員として復帰させること。
②この間の不法行為で生じた派遣職員の人件費相当額等の損害賠償を求めること。
二、請求者
◎ 館山市民5名(氏名省略)署名 捺印
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
平成17年8月4日
館山市監査委員 様
<別紙事実証明書(抜粋)>
実務研修職員に関する確認書
関東地方整備局(以下「甲」という)が館山市(以下「乙」という)から研修員を受け入れるにあたっては、原則として「国土交通省行政実務研修実施要領」(以下「実施要領」という)を準用する。詳細については甲乙下記のとおり確認するものとする。
記
1、 研修の実施方法
研修の実施方法については実施要領の「6.研修の実施方法等」は適用せず、甲乙相互の円滑な事業推進のため、研修箇所においてより具体的な行政実務研修を実施する。
<以下2.〜9.省略>
平成17年3月29日
関東地方整備局港湾空港部長 藤田郁夫 印
館山市長 辻田実 印
国土交通行政実務研修実施要領
<1.〜5.省略>
6.研修の実施方法等(※上記の確認書で適用せずとされている項目)
(1)研修実施課に主任実務研修指導員及び研修個人毎に実務研修指導員をおき、研修員の指導及び助言にあたらせるものとする。
(2)主任実務研修指導員及び実務研修指導員は、研修実施課の長が所属職員のうちからこれを指名するものとする。
(3)研修は、個人指導を主体とした実務研修と理論研究の併用とするが、概ね1週間程度は合同研修として国土交通行政全般に関するオリエンテーションを実施することを原則とする。
(4)実務研修は、実務研修指導員等の指導と助言のもとに研修実施課における通常の行政実務に従事することによりその習熟を図るものとし、理論研修は研修員自らが実務研修にかかる行政実務の法制等につき特定の課題を選び実務研修指導員等の指導と助言のもとに自主研究するものとする。
(5)研修員は原則として研修期間中に国土交通大学校で実施する研修(専門課程、普通過程の各研修)のうち当該実務研修に関連するものの一つを受講させるものとする。
(6)研修終了時には、効果測定を行なうものとする。
<7.〜10.省略>
住民監査請求について
住民監査請求とは、住民が自分の住む自治体の長や職員による違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得や契約の締結、公金の賦課・徴収を怠る事実などがあると認めたとき、これらを証明する書類を添えて、監査委員に監査を求め、その行為の防止や是正、損害補填などの必要な措置を求めるものです。
☆住民監査請求を行うには次の条件を全て満たしていることが必要です。
☆ 請求を行うには、次の書面等を用意します。
☆ 監査請求の結果と住民訴訟について
・監査請求に対する監査結果は、請求があった日から60日以内に通知します。
・監査請求に対する監査の結果等に不服がある場合は、その内容を知った時から30日以 内に地方裁判所に住民訴訟を提起することができます。
・住民訴訟の対象となる行為は違法な財務会計行為です。
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