このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


多目的桟橋のために削られる市民サービス

・・新年度予算の問題点を厳しく指摘する神田議員の反対討論

 

新年度予算は、乳幼児や身障者医療助成の改悪など、市民に定着した各種の福祉施策やサービスを切り捨て、その一方で、館山港多目的桟橋予算を計上しました。審議のなかから、県立安房博物館の市への移譲を協議していることが判明、助役、収入役の制度のありかた、さらに市職員の要をなす総務部長人事のありかたなど、辻田市政の問題点が浮かびあがってきました。これらを指摘した予算の反対討論をお知らせします。

 

神田)議案第3号平成18年度館山市一般会計予算案に反対します。

新年度館山市予算案の特徴は、小泉内閣の三位一体改革で、「交付税が削られたから財政が大変だ」という口実で、市民福祉の切り捨てや市職員への負担転嫁を先取り的に実施し、多目的桟橋の開発費を捻出しようとするところにあります。

 

○「支出を削減したい」の一念で提案。軽率・不用意、前代未聞の大失態

この予算案の提出2日後に、乳幼児医療費の住民負担増の改悪案撤回が表明されました。その理由は県の条例改正があるので、混乱を防ぐためというものでした。乳幼児医療費助成についての県の動向を全く把握せずに、市の支出を削減したいということだけしか考えずに条例改定を提案したのです。辻田市政の軽率、不用意、前代未聞の大失態です。残念ですが、辻田市長には「大失態」という認識が全く感じられません。

 

に全国に先駆けて実施、その後の財政破綻の時期をも守られてきた館山市の

乳幼児医療費助成制度の意義を辻田市長が理解していないというだけでなく、辻田市長の議会への提案には、県の動向の調査や検討もされずに、根拠のないいい加減な認識で「思いつき」的にされることがあることを示しました。それがあきらかとなっても悪びれるところは全くないのですから、この軽率、不用意ないい加減さはこの事例だけにとどまらず、辻田市政全般にわたるのではないかと危惧されます。

 

○交付税の減額分を上回る増税で増える市の財源

国から市への地方交付税が、予算では前年度よりも1億8千3百万円も減額となり、大変ですが、その一方で市税は5千3百万円、また、地方譲与税も1億6千1百万円とあわせて2億1千4百万も増えて、地方交付税の減額分を3千1百万円も上回っています。これは館山市だけではありません。全国的には地方交付税は実質1兆3千億円減額となりますが、その一方で国民への増税の結果として、地方税収は、1兆6千億円の増額が見込まれているのです。国民増税によって全国的には地方自治体全体としては、前年度を上回る一般財源が確保されているのです。

地方交付税の削減は長期的に見れば住民サービスの低下につながる重大な問題ですが、だからといって、ただちに館山市財政の運営が困難になるというほどの財源の大幅削減がされているわけではありません。

 

○人間尊重の政治理念を放棄した辻田市政
 本予算案には、乳幼児医療費や障害者医療費の助成制度の切捨てが予算措置されていますが、承服できません。これらの制度は、33年前の1973年(昭和48年)に市が実施、その直後の市財政の破綻にあっても、「人間尊重」の政治理念の原点として、廃止されることなく守られてきたものです。これらの福祉切り捨ては、館山市政の原点を破棄する悪政に、辻田市長が乗り出したことを示すこととなりました。この悪政は館山市政の歴史的汚点になるものと思います。

 

○隠すのに一生懸命で公表資料も入手せず
 館山港の多目的桟橋事業の予算3457万5千円が計上されました。すでに県議会にも予算案が提案され概要が示されているにもかかわらず、市は議会に説明し資料を示すことなく、事業予算を提出してきました。説明をもとめても、漁業補償の微妙な問題があるので、数字は示せないと回答を回避してきましたが、実際は、県議会には公表されている資料すら、市にはありませんでした。県との連携のために県派遣の総務部長をいただきながら、この問題で役に立っていません。県との関係は全く冷ややかであります。

 

○12億円規模の多目的桟橋、負担金の捻出で福祉切捨てが心配 

県議会への説明資料(下記掲載「館山港多目的桟橋」)によれば、概算事業費は12億円です。館山市の負担は概ね2億円強です。住民福祉のこれまでの施策を守りながら、なおかつ2億円を超える負担金を捻出することは現在の財政状況では至難です。各種の福祉切捨策を先行して行おうとする本当の理由は、この多目的桟橋の財源の捻出にこそあるのではないでしょうか。

 

12億円もかけた多目的桟橋は、経済活性化、地域振興にどれだけの効果や役割を果たすでしょうか。利用はほとんど見込めず12億円の浪費になるのではないかと危惧されます。年間何隻の船が停泊することになるのか、その結果、事業としての採算性が見込めるのかどうか、具体的なことは未だに何も示されません。巨額の公費を注ぐ事業です。秘密のうちにことを進めることは絶対に許されません。漁業権の補償問題やウミホタル保護など環境問題も重大な問題です。

 

なお、先日飛鳥Ⅱが館山湾に停泊しましたが、大変大きな船です。このため、現在計画中の多目的桟橋では入港は不能とのことです。

 

○県立安房博物館は市で管理するには重すぎる負担。協議はやめるべき 

県立安房博物館は多目的桟橋の基部に位置することから、物販施設や発券施設などの交流センターにするとの位置付けで、市への移譲を協議しているとのことでした。しかし、安房博物館の年間予算はおよそ1億7千余万円で、とても市で移譲をうけて管理できる規模ではありません。辻田市長は、「多目的桟橋の交流センターに」との「下心」で県との協議を進めるとの事ですが、とんでもないことであり直ちにやめるべきです。

 

○助役の退任を機に、助役・収入役の特別職制度の見直しを

伊藤助役が国土交通省にかえったあとの助役を、ふたたび国土交通省に依頼する意義はなく、やめるべきです。人口5万の館山市は収入役の設置義務はありません。収入役とあわせて、助役の制度も再検討すべきです。その方向で地方自治法も改正されます。助役、収入役を統合整理すれば年間1千5百万円の人件費削減になります。また助役と関連して、国土交通省への職員の研修派遣も人件費の浪費ですのでこの際、キッパリとやめるべきです。

 

○総務部長は県に派遣を求めず内部登用に

県からきた総務部長がいても、県の乳幼児医療費の条例改正の情報が全く入らなかったし、多目的桟橋をめぐっても県の情報が入りませんでした。県とのパイプと思っても県の情報がいちはやく正確に入手できるわけでもなく、県との関係がスムーズになるものでもないことがあきらかになりました。
 県から総務部長の派遣を受けても、特別なことは特にありません。高い人件費(年間約1千万円)を負担してまで県内他市が総務部長を県からの派遣を求めない理由がよくわかります。館山市も総務部長の派遣を県に求めるのはやめて、県内他市と同様に優秀な職員の内部登用をはかるべきです。

 

○地区公民館書記の制度廃止の発言は重大

新設の若潮ホール(船形の旧「館山高等技術専門校」)の管理に、那古と船形の公民館書記の勤務を割りあてたために那古公民館や船形公民館の活動に大きな支障が懸念されます。若潮ホール管理に必要な人員を雇用(年間約100万円)すべきとの指摘に対して、辻田市長は、那古と船形の公民館書記で手当するとの考えに固執し、さらに「地区公民館は利用者団体に運営を委託するのが基本的な考え」であると発言しました。地区公民館の管理は利用者団体に委託し、地区公民館の書記廃止の意向を表明したことは重大です。各地区の公民館活動の要となる書記制度の廃止は、住民サービスの切り捨てそのものであり、認められません。

以上の点を主張し反対討論とします。

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館山港多目的桟橋について(県議会資料より 右図参照)

①事業費の内訳

施設名

延長

幅員

構造

概算事業費

−7.5m桟橋

130m

ドルフィン

30m〜10m
3基

桟橋式

杭式

6億円
1億円

−3.0m桟橋

50m

10m

桟橋式

1億円

道路桟橋

500m

6m

桟橋式

4億円

 

 

 

12億円

②平成18年度の内訳

 ○平成18年度予算
  ・地方港湾改修事業 事業費 150,000千円 内館山市負担金 25,275千円
    事業内容 −7.5m桟橋詳細設計、漁業補償、道路桟橋工事
  ・港湾整備事業    事業費  20,000千円 内館山市負担金  6,000千円

    事業内容 漁業補償、−3.0m桟橋基本設計
○漁業補償    共同漁業権等の消滅補償、制限補償


市民から寄せられた声

 

○桟橋周辺はウミホタルの生息地
だけど、灯かりをきらっていな
くならないかな。ウミホタルは
館山の海の自然をアピールする
大切な観光資源だけど、それを
つぶして観光振興もないと思う
けどな。

○海中に500mも突き出た桟橋に、
海霧で船が衝突する危険はない
かしら。館山湾の大風では、座
礁もめずらしくないのに、とて
も危険だと思う。

○桟橋の強度はどうかな。大型船
の係留中に大風が吹いたら、風
圧で桟橋が壊れないかしら。海
の中だから、桟橋の保守管理の
費用も大変じゃないかな。

○三浦半島側と航路を開いても年
間3万2千人程(一日90人程)
という調査結果だけど、それじ
ゃほとんどお客がないという数
じゃない。利用の見込みも立た
ないのに税金のムダ使いだよ。
本当に利用する人はどの位かし
らね。

○船の入らない「釣桟橋」。
税金のムダづかいだね。

○巾6mの道路桟橋
は自動車が走れる
のかな。それとも
船着場まで500m
は歩くだけなのか
しら。

 

 

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