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公約は政治家の命
金丸新市長への「期待」と「幻滅」、市民には入り混じったものがあると思います。大桟橋再検証の公約破りには幻滅でした。
12月23日付けの房日新聞冒頭の「金丸・新館山市長、内憂外患の厳しい船出」の記事を読んで、以下の問題を感じました。みなさんのご意見はどうでしょうか。
1、公約破りは民主主義の危機
金丸新市長は、就任二日目の市議会で、市長選挙で掲げた公約である館山大桟橋の「再検証」を「推進」に政策変更しました。当選後こんなに短期間に最重点公約を180度転換した市長は聞いた事がありません。裏切られたと思う市民も多いはずで、住民の代表である議会がこの「変節」を追及するのは当然で、もししないとすれば、大問題です。この追及を「いじめ」や「やっかみ」とする房日新聞の12月23日付記事の言葉はいかがなものか、「公約破りは民主主義の危機」との認識に欠けるのではないのかと思います。
かつて、都知事に当選した故青島幸夫氏は、公約の世界都市博覧会中止を決定するに際して、「公約をひるがえすことは現状を改革したいという都民の期待を裏切ることになり、政治不信を決定的なものとし、ひいては民主主義の危機につながる」と述べています。金丸新市長に贈りたい言葉です。
2、政策転換の経緯を追及した議会の論戦
さて、政策転換した経緯がなにによるのか、これは市民誰もが当然知りたいことです。これを追及したのが私の論戦でした。最重点公約がなぜ就任直後に180度転換されたのか、市民にひらかれた議論の場である議会で住民の代表として金丸新市長を追及したのです。
房日新聞の「展望台」(23日付)では、「市政運営の正統性」を論じ、「議会基盤のぜい弱な市長が自らの政策をすすめようとするなら市民を味方につける以外に手はない。そのため、政策決定のプロセスをもっとオープンにすることだ」と強調し、「議論の中身が外からも見えれば、その議論から生まれた政策を市民は後押しするだろう。それがどこからともなくポッとでてきた政策なら不信感を覚えるのは当たり前である」と述べていますが、まさにその通りです。市民の関心は高く議会の傍聴席は満席。政策転換の経緯が示され「市政運営の正統性」が見えるのではないのかと期待したからです。
しかし、議会におけるオープンな議論で、金丸新市長からはこの政策転換の正統性を裏付ける理由は見えてこないばかりか、むしろ、「はじめから公約は票を集めるためだけが目的で、実行する意思はもともとなかったのではないか」という疑念が深まるだけだったのでした。実際に傍聴した市民からもそのような感想が私のもとにいくつも寄せられました。
3、「大桟橋はもう引き返せない段階」は本当か?
房日新聞23日付の冒頭記事では「県の来年度の予算獲得をめぐってタイムリミットが迫っていた、ここでストップをかければ二度と予算は獲得できずに事業そのものが消滅してしまう。そんな検証する余裕すらない・・・」と書いていますが、まさにこの点が議会の論戦のポイントの一つでした。
「再検証」は時間的な余裕がなく本当に不可能なのか、なにを根拠にそれをいうのかが問題になりました。事業主体である県からそのような話があったのかと追及しましたが、その事実はありませんでした。県では来年度予算について、市に話した事実はないとしていますので、単なる憶測でいっているにすぎません。さらに、政策転換の根拠を追及すると「総合的に判断」というだけで、慎重に検討した経緯はみえません。憶測で公約を180度転換したでは「市政運営の正統性」が問われるのは当然です。
4、安房博物館の財政負担は先送りできる問題か?
議会の論戦を通じて浮かび上がった問題点は、桟橋の基部にある県立安房博物館を「桟橋と一体の海の交流拠点」として市に移譲する問題です。
安房博物館は、海の博物館としては日本で一二といわれる規模と伝統、文化財をもった博物館で、その運営に県は年間1億8千万円程(平成16年度)の予算計上しています。これは城山の市立博物館の5〜6倍の規模で、これを市が移譲を受ける財政的な余裕は全くありません。
南房総の漁撈など漁民の文化と伝統を保存、展示するこの県立博物館は、それ自体が南房総観光の一大拠点で、県が運営することがのぞまれます。市への移譲は、毎年1億8千万円規模の県による地域振興策が無くなることです。論戦ではこの問題の重要性が浮かび上がりましたが、桟橋の見返りに安房博物館の移譲で市に深刻な財政負担が押し付けられることにならないか、市民の目線で「再検証」が必要です。これは、大桟橋問題と切り離して先送りできる問題ではありません。金丸新市長の「再検証」の公約は今こそ重要ではないでしょうか。
5、漁業者を無視する事業強硬は許されない
12月議会の最終日(26日)に議会の全員協議会が開かれました。全員協議会は非公式の場ですが、「再検証から推進に公約変更した理由として、漁業補償は年内に解決する段階と認識しているとの市長答弁だが、実際に解決したのか」と質しました。
これに、助役から「22日に県が漁協側に金額を提示した。26日に漁協側の回答が予定されている」との説明がありました。18日の私の質問の段階では、まだ交渉の見通しは山場もみえない状態で、「年内に解決」の市長答弁は、助役らの説明をうのみにした金丸市長の希望に過ぎなかったのです。実際に26日には漁協側との交渉はまとまらず「年内解決」はできませんでした。
「大桟橋はもう引き返せない段階」の論拠には、この点でも根拠がありませんでした。そもそも、事業着手の前提となる漁業補償の解決がなければ、事業に着手することができません。
12月議会の神田議員の質問を聴く ここ をクリック
(録音は「12月議会質問(1)」約40分、12月議会質問(2)」約20分です。)
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