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館山大桟橋計画を考える


館山大桟橋計画について,市民からご意見が寄せられました。

2001年の9月議会で、この問題で辻田市長の所見を質し、この問題を「神田もりたかの市政報告」(312〜313号)としてビラにして発行しました。その内容を掲載します。

目次

(上編)

1、経済効果も見込めない無駄づかいで、館山湾の環境破壊の懸念も深刻!

2、館山市基本構想に無知な辻田市長の答弁

3、大桟橋では、地域振興の経済効果は見込めない

4、大桟橋の事業規模は65億円、市の負担は10億円

5、都市計画税廃止の約束は棚上げし、新たな公共事業(大桟橋)の無駄づかいに踏み出す

(下編)

6、環境アセスの検討もしないで、「環境対策に最大の配慮」は、絵空事

7、「大桟橋の下は、ウミボタルの生息にかえって良い環境になる」と辻田市長

◎震災後に復興した現在の館山桟橋の建設経緯(館山市史より)


神田もりたかの市政報告 312号   
2001年10月14日 日本共産党館山市議団


《大桟橋計画を考える上》

経済効果も見込めない無駄づかいで、
館山湾の環境破壊の懸念も深刻!

「海辺の街つくり」で、館山湾に、およそ700メートルもの大桟橋を作る計画がすすめられようとしています。この問題は、館山市政のうえで、かつてないほどの重大な問題を持っています。
その問題点をお知らせし、その是非について考えてみたいと思います。今回はその第一回です。率直なご意見やご質問をどうぞお寄せください。

図面は、市広報(2002.7.1付)に掲載された館山大桟橋の説明図です。




 

館山市基本構想に無知な辻田市長の答弁

九月議会の論戦で、大桟橋は、館山の地域振興や雇用増大につながるのかという私の質問に、辻田市長は、大桟橋で150万人の観光客がふえる、また、雇用は5000人以上増えると見込んでいると答弁しました。現在の館山市の観光客の入り込み数は年間約150〜160万人ですから、この150万増という数字は、現在の観光客の入込みをほぼ倍増するという大変大きな数です。

私は、辻田市長のこのあまりにも空想的な数字に、「大桟橋ができれば観光客が船で150万人も増えると本当に考えているのか」と再確認したところ、辻田市長は「そのとおりだ」と答えました。市長がはっきりと答弁したため、あわてた担当部長が、質問されてもいないのに「先ほどの150万の件ですが、大桟橋で航路が開設されたとすれば、年間3万2千人ほどの利用が見込まれます」と、わざわざ、事実上の訂正の答弁をしました。

実は、館山市基本構想(2001年〜2015年)では、東関東自動車道館山線が全線完成することを見込んで、それによって観光客を倍増化しようという目標を掲げているのですが、その数字が150〜160万の観光客増というものです。観光客増のほとんどは東関東自動車道によるもので、大桟橋ができれば、航路で150万人増えるということではないのです。

この質問で、市政の責任者であるべきはずの辻田「市長」が、自分で議会に提案し、議会が議決した「館山市基本構想」の基本的な事項にも無知であるということがハッキリしてしまいました。これは、残念なことですが、同時に市民としては、大変恐ろしいことではないかと思います。

大桟橋では、地域振興の経済効果は見込めない

では、なんのための大桟橋ということになるのでしょうか?

○利用客数は、鉄道のわずか2パーセント程度

議会で担当部長は、大桟橋で、航路が開設されれば、3万2千人の利用が見込まれると答えましたが、この数字は、1日平均あたりですとわずか87人にすぎません。これは、例えば、列車利用に比べると、館山駅の1日平均の乗車人数は4247人(平成10年度)ですから、鉄道利用者のわずかに2パーセントほどにしかなりません。例え、計算どおりうまくいって航路が開設できたとしても大桟橋を利用する航路利用者はほんのわずかでしかなく、経済効果はほとんど見込めないのです。

○大桟橋は、物流拠点にもなりません。

大桟橋には、貨物を扱う物流拠点の機能があるのでは、との意見もあると思いますが、大桟橋には、貨物を扱う倉庫やトラックターミナルなどの施設をつくるだけの後背地が全くありませんので不可能です。そもそも、この計画でも物流の拠点になるということは想定されていないのです。

大桟橋の事業規模は65億円、市の負担は10億円

 東京へのバス路線は大変好調とのことで増便されるほどですが、このバス路線開設のために市民の税金が使われることはありません。しかし、大桟橋には市民の血税が使われることになります。

大桟橋にどのくらいの事業費がかかるのかはこれまでは全く公表されませんでしたが、神田議員の質問に、辻田市長は、この大桟橋事業は千葉県が実施主体で、65億円規模の事業費が見込まれる、市の負担もそのうち10億円規模となることを認めました。

ほとんど経済効果の見込めないことがはっきりしているのに、なぜ県民や市民の血税を65億円も注ぎ込もうとするのでしょうか、これだけの血税を注ぐ事業規模のものに、市長の勝手はゆるされません。


都市計画税廃止の約束は棚上げし、
新たな公共事業(大桟橋)の無駄づかいに踏み出す

そもそも、前市長が、「マンガ共和国構想」の土地買収に市民の血税を13億円も注ぎ込みましたが、構想は破綻し失敗しました。前回の市長選挙で、辻田候補は、こんな公共事業の「無駄遣いをやめれば、都市計画税は廃止できる」と市民に約束して市長に当選したはずではなかったのでしょうか?

都市計画税廃止の約束は棚上げし、公共事業(大桟橋)の無駄づかいの愚をあらためて繰り返そうというのでしょうか。

(次号では、ウミホタルの保護など、館山湾の環境破壊の懸念についてです)

大桟橋についてのご意見をお寄せください。
 賛成・反対 
(意見)


◎大桟橋は税金の無駄づかい、という神田議員の意見についてどう思いますか。
 
そう思う。そうは思わない。

(意見)





神田もりたかの市政報告 313号   
2001年10月21日 日本共産党館山市議団

前号に続いて、大桟橋問題を特集します。環境問題についてです。


《大桟橋計画を考える下》

館山湾の美しい自然環境破壊の懸念が

この大桟橋計画には、市民の貴重な財産である館山湾の自然環境が大規模に壊される心配があります。

環境アセスの検討もしないで、
「環境対策に最大の配慮」は、絵空事


大桟橋建設による館山湾の環境問題について、県も市も検討していない実態が神田議員の質問を通じてハッキリしてきました。

大桟橋の計画予定地は、現在の館山桟橋の北側ですが、このあたりは、館山湾のシンボルでもある「ウミホタル」の生息地です。ウミホタル保護など環境対策の質問に、辻田市長は、「環境対策には、最大限の配慮をし、環境アセスをうわまわる対策を実施する」と答弁しました。

しかし、そこで、神田議員が、「環境アセスを上回る対策というが、この大桟橋は、県条例で、環境影響評価事前調査(環境アセス)が義務付けられる対象事業か」と質問したところ、市長も担当部長も答弁ができず、「県に問い合わせます」となってしまったのです。環境アセスを上回ると対策といいながら、大桟橋が県条例で環境アセスの対象事業かどうかについてすら検討していなかったのです。それでどうして、「環境アセスを上回る対策」ということがいえるのか、市長答弁は、実のない見せかけだけで、その場しのぎの思いつきなのかと考えてしまいました。

私の質問が終わってから、県に問い合わせた結果について報告がありました。「大桟橋は、県の環境アセス条例の対象事業ではありませんでした」ということで、全くあきれてしまいました。

「大桟橋の下は、ウミボタルの生息にかえって良い環境になる」と辻田市長

在の館山桟橋は、ウミホタルがよく採取される生息地です。わずかしか離れていない北条桟橋にはウミホタルはいないといわれています。この違いはどういう理由だと考えているか、質問しましたが、担当部長は、「それは、ウミホタルが照明をきらう性質があるためだと思う。北条桟橋には、照明の街灯があるが、館山桟橋には、街灯がないので館山桟橋は生息に適した環境なのだと思う」と答えました。

そこで、神田議員は、「大桟橋にはウミホタル保護のために、照明はつけないのか、だとすれば、夜間や濃霧のときなど、真っ暗な海で大桟橋に船が衝突する危険があるし、また、桟橋上を走るバスや自動車が海に落ちる危険がある、ウミホタルの保護と安全対策をどのように調整するつもりか」と質問しました。

これに対して辻田市長が、「桟橋に照明があっても、道路桟橋の下は、真っ暗になるので、ウミホタルにはかえって住みよくなる、と専門家が言っていた」と答えました。

それを言った専門家とはだれなのか、また、その根拠はなにかなど、市長答弁の内容の信憑性を検証しなければなりませんが、環境影響評価事前調査の対象かどうかも調査していないで、よくもそんなことが言えたもんだと本当におどろいてしまいました。

これは、議会で市民を代表して質問していることへの「市長」の答弁です。責任のない部外者のお茶のみ話ではけっしてありません。
館山湾のウミホタルやサンゴなど豊かな自然を誇りとして大切にしたいと思っている市民にとって、本当に「怖い話」ではないでしょうか。
 

大桟橋についてのご意見をお寄せください。
 賛成・反対 
(意見)



◎大桟橋は、ウミホタルやサンゴの生息など館山湾の自然環境に重大な悪影響を及ぼすのではないのかと心配です、という神田議員の意見についてどう思いますか。
 
そう思う。そうは思わない。

(意見)




前号の「大桟橋を考える」に次のようなご意見がよせられました。
それぞれ示唆に富んだご指摘をいただきました。ありがとうございました。

◎現在の港湾を上手に利用することで十分ではないか
大桟橋の船の利用者は、一日平均87人では、経済効果は見込めない。その程度の利用者では、65億円もかけて大桟橋をつくらなくても、現在の港湾をうまく利用すれば、それ以上のことができるのではないか。わざわざ大桟橋をつくる必要はないとおもう。税金の無駄づかいで、反対だ。

◎道路桟橋を橋(ブリッジ)に変更するという話だったが・・・
大桟橋は、道路桟橋という部分は、橋(ブリッジ)に変更すると聞いたが、なにが本当の話なのか、市長らの言い方が根拠もなくころころ変わるので、なにが本当か信用できない。

◎桟橋では、強風であおられた船で壊れしまうのではないか
桟橋のカギの手の先に大きな船が着けるようにするつもりだろうが、大きな船が強い風であおられたら、桟橋では強度不足で壊れてしまうのではないか。大きな船が着くには、しっかりとした岸壁でなくては、耐えられないと思う。


 

 

◎震災後に復興した現在の館山桟橋の建設経緯(館山市史より)

昭和27年に館山桟橋の所有権が問題となり、市議会が調査したことが、「館山市史」に書かれています。それによると、関東大震災で壊れた館山桟橋を、当時の館山町が県の補助金を得て復興するのですが、町負担の全額を館山湾桟橋株式会社が館山町に指定寄付し、そのかわりに同社が桟橋を管理したとされています。町営桟橋は、県の補助をえるための名目的なもので、実際は館山町の負担なしでできたのです。

すでに現在の鉄道が敷設されていた時期で、船が唯一の交通・流通路ということではなくなっていたので、桟橋の役割も大きく変わっていた時期だったと思います。当時の館山町に財力がなかったためとも思われますが、桟橋復興とはいえ、それで利益をえる民間会社が資金負担すべきで、町の税金を投入してまでつくることは疑問だとする意見があったのかもしれません。


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