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(市町村合併を考える資料)
財政問題調査特別委員会の中間報告

昭和29年の六村合併では、7月に市議会内に「財政問題調査特別委員会」が作られました。この特別委員会の第一回の中間報告が9月28日に行なわれます。この報告では、合併に伴い旧村から引き継いだ一時借入金に違法な操作があったという疑惑が示されました。

そして、この疑惑の解明のために「証人喚問」の必要が語られ、あらためて調査結果を報告するとしていました。第二回目の中間報告が10月21日に行なわれました。10月21日の議事録では、委員長の「中間報告」を議事に追加するとの記述がありますので、まちがいなく第2回目の中間報告が行なわれたと思うのですが、その内容は議事録に記載が全く残されていません。

この報告は、「中間報告」とされていますので、特別委員会は解散しないで、この後もさらに活動し、「最終報告」で解散したと考えられます。翌年4月が議員の任期ですが、それまでの間に、最終報告が行なわれたとの議事録の記録はありませんでした。
調査の過程で、おかしな点がみつかりました。昭和29年の12月定例市議会の議事録が「昭和29年議事録のファイル」からなくなっているのです。

10月21日の中間報告のあとに、12月定例議会で「最終報告」が行なわれ、調査特別委員会が解散したのかもしれません。だとすれば、そこには、財政問題調査特別会の調査結果が詳しく報告され記録されていることになります。だからこそ、その議事録自体がなくなったのかもしれません。よほどまずいことがあったために議事録自体をなくしてしまったのか。考え過ぎかもしれませんが・・・・。合併による村長の退職金は、「お手盛り慰労」と大変厳しく批判されていたために後ろめたかったのかも知れません。

また、ちょうどこの時期は、市政は大混乱をしていたと思われます。
当時の吉田市長は、11月3日に市政施行15周年及び合併記念の式典を行ないますが、その直後に、辞任し11月26日付けで辞職となっています。吉田市長の辞職は、健康上の理由といわれますが、ハッキリしません。合併問題との関係があるのか、どうか、現在までの調査からはわかりません。


昭和29年9月28日の議会議事録より
 当時の議事録は、綴りになっていますが、薄い紙に手書きで書かれているため、下の字と二重写しになってしまうなど大変読みにくく、一部には走り書きみたいで読めない部分もあります。しかし、9月28日の財政問題調査特別委員会の報告は、印刷した報告書もあるなど、議事録もハッキリしています。

◎財政問題調査特別委員会の報告(昭和29年9月28日の議事録より)


16番(萩生田七郎君)合併に伴う年次建設計画を中心として、合併当時の経済措置等とも検討調査するため、発足した本委員会は、その后、市内各方面の概括的実態踏査を一応終了した。
に別紙添付書類の内容につき調査中、たまたま神戸地区民、鈴木繁造他百十一名連署の請願書類提出等もあり、かたがた更に検討を加えた結果、大要次のごとき一応の見通しを得たので、茲に中間報告をする次第です。

一、 合併に伴う五ヵ年建設計画の妥当必要性は、再確認するも、市の財政事情を勘案し、その緊急度の比較その他に再検討を加える必要ありと認めた。
二、 合併の急速具体化に伴い、旧村当局の当時の苦衷と困難な事情は諒とするも一時借入金一千百万余円中違法な操作を行なった等、尚相当調査を必要とする事を認めた。
三、 頭初予算に計上された旧村の本年度収入財源から先般の追加更正予算計上に際し、一千三百八十五万余円を打ち切った。右は、地方税制改正に伴う不可避の理由ある部分もあるが収入見積り過大、或いは起債見透しの甘かった点等に基因するものと思料され、特に旧神戸村において滞納額を百%徴収可能と見積った如き税整理の実体から遊離した立案と思料される。

四、 市税の適正妥当な賦課方法につき尚研究調査の必要ありと認める。之を要するに自治庁よりの委命通達による(前略)近来財政収支に破綻を生ずる地方団体が続出し(中略)調査の結果によると、地方団体自身においても地方財政法の明示する財政運営の基本原則を忘れた財政運営が行なわれ事に基因していることも率直に認めざるをえない所である。

このような地方財政の現状では世論の冷厳な批判にまつまでもなく、その将来が極めて憂慮される(中略)合併自体にあっては、特にその財政の運営に充分留意し、新市町村建設計画の樹立並びに実行に当たっては、国家全般の財政経済事情及当該団体の財政事情を慎重に考慮の上行なうもの、合併条件の実施に急なる余り、自己の財政力を無視して事業を実施するが如き事の無い様(后略)等も充分考慮されるべきことと思料する。

尚、一時借入金の違法操作を行なった件については、今一段と調査を進め、更に旧市を含めた市財政の総括的実態を改めて市会に報告する方針である。

15番(山口幸三君)只今の報告に質疑応答して差し支えないか、委員長にお伺いしたい。
16番(萩生田七郎君)審査過程の中でしたらよろしい。

15番(山口幸三君)只今の報告を聞くと抽象的である。この字句だけではポイントがつかめない。もうすこし、掘り下げて報告願いたい。
26番(吉田朝次郎君)議事進行について、監査委員、特別委員に対する質問したいが、手元に渡された参考書を一読したいので、二・三時間の休憩を願いたい。
16番(萩生田七郎君)私としては、内容を明らかにして報告すべきと思う。資料を取り寄せたいので休憩を願いたい。

議長(齋藤喜一君)休憩します。三時十五分
議長(齋藤喜一君)再開します。三時三十分

16番(萩生田七郎君)15番議員より、抽象的と言われましたが、事実私共は、からくり借金を引き継いだ事は、調査すべきですが、証人喚問する権限がないが、之がなかったので具体的な発表ができないが 参考までに数字を申し上げたい。

村長退職184万、助役139万余、収入役80万余。私委員の一人としては、村条例ならばやむをえないと思うが、以上に出ているという事は、市が一応しりぬぐいをするのであるから、考える余地はあると感ずる。一応資料を持ち返りまして、調査の上、又お答えしたい。村議会が議決し正当な借入金であってすれば、多少の不満もあると思うが、反面、監査委員の報告の中に疑義があると思われるので、証人喚問の手続きをとってくだされば幸甚と思う。

15番(山口幸三君)特別委員会のねらいは、5ヵ年計画の件ですすむか、違法な支出究明に向かって進むか


16番(萩生田七郎君)財政の実体を把握し、五ヵ年計画をやることが出来るか、出来ないかを検討して、市に進言するポイントを持っている。究明をするのが主ではないが、たまたま調査の波性的に及んだので、くさいものをふたをするのはいけないと思ってやっている。


議長(齋藤喜一君)本報告は、研究の余地があると思うが、本日はこれでよろしいですか。

(神田コメント)この報告からつぎのことがわかる。①合併時、旧村は、金融機関から一時借入れ(残高1100万余円)があったが、それを館山市が引き継いだ。②その一時借入金の使途は、村長らの退職金支払が約400万円ほどであった。③これは、違法な操作であったと思うが、具体的な調査をして議会に報告する。 ところが、これ以降の議事録からは財政調査特別委員会の報告は見当たらない。

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