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〜心の洗濯 夏休み(前編)〜
(8月14・15日)

 

 ・ちまたで大人気

夏、夏休み、休暇である。休暇といえば青春18切符。 学生の頃はよく使ったもんだ。しかし就職以来、休みも時間も18切符に合わせていられなくなり、 積極的に利用という訳にはいかなくなっている。 しかも昨冬のシーズンは1枚使い残してしまい、「こりゃ、当分買えんなぁ」と深いため息をついている状態である。

そんな18切符だが、ここ数年は発売時期になると、18切符の旅の本がちまたの本屋に溢れかえり、 シーズン最盛期には、主要幹線や有名ローカル線の普通列車の中は、 手に18切符を握り締めたオジサン、オバサン、オバサン、オバサンで超満員。
かつては学生の貧乏旅行の代名詞だったはずのこの切符、 昨今は熟年世代の格好の「おもちゃ」になっているらしい。 で、例に漏れず、うちの親も買ってきて、「どこかオススメの線ない?」と聞いてくる。
別にそのことをとやかく言うつもりはないし、とりあえず夏だし、「湖西線」あたりを 薦めておいたら早速乗ってきて、「列車の中はオバサンばっかりだった」と、話してくれた。

そんなこんなで、実家に帰ったら、1回だけ使った18切符が転がっていたのである。
だからといって、その上前をハネる親不孝。 なんだかんだと、理屈をつけて18切符の一部を有償で譲り受けて出かけるのである。
目指すは、南半分がほぼ手付かずの四国。土佐くろしお鉄道の東側と、牟岐線をまとめて 乗りに行く。 学生の頃はお金をケチって見向きもしなかった 第3セクターだろうが、ローカルバスだろうが、ドンと来い。いざとなれば特急だって乗ってやるさ、 とばかりに意気込んでの計画立案となった。

 ・おや?

時期はお盆のど真ん中。徳島では阿波踊りの最盛期である。 数日前に思い立ってみて、座席の予約がとれたら、これは少し拍手喝采ではなかろうか。 四国からの帰路は高速バスに乗ろうと、予約センターに電話をかけてみたら案の定。 徳島発は、阪神も神姫も、JR四国も西日本も、満席、満席、満席、夜遅くなら空いてます・・・ う〜む。とりあえずは夜遅め(といっても1800)の便を仮押さえ。ところが、 他に手段はないのだろうか、とパソコンを開いてネットで調べてみたら、JRバスの空席案内で、 第1希望の便に空席表示が出ている。
これはラッキーだと思い、三度予約センターに電話をかけてみると、 不思議なことに「満席です」と、つれない返事がかえってきた。 いんたーねっとの空席案内を見て電話をかけたんですが?と、お伺いを立ててみるも、 答えはひとつ「満席です」

あーそうかい。なら、ネットで予約してやらぁ。ホントに満席でダブルブッキングになってたら、 お前ら怨んでやるからな、と心の中で捨て台詞を吐き、再びパソコンに向かい、 ネット予約の会員申し込みをした上でバスを予約。

 ・でかける

昔は、朝の5時、6時の列車に乗って出かけていたのに最近すっかり朝が弱くなってしまい、 7時・8時台の列車に間に合わせるのが精一杯なのは情けない。新今宮から環状線に乗り、 大阪で0756発の新快速網干行に乗り換えた。車内はまずまずの乗り具合。この先網干で後続の 新快速に、相生ではさらに三原行に乗り換える。
網干まではなんの問題もなかった。ところが、である。

網干で乗り込んだ新快速の播州赤穂行き。通路までぎっしりと、人多すぎ。
いくら18切符シーズン真っ盛りで、 しかも相生で山陽線下り列車に接続するとはいえ、さっき乗ってた新快速と 落差がありすぎる。なぜだ、と多少の混乱を覚えつつ、車内を見渡せば、 通路はもちろん、座席まわりから網棚まで至る所に大きな荷物。
一部の人が持つ、なぜか妙にカラフルな手提げの紙袋・・・。薄い本・・・・・orz
今年も昨日まで、東京で某イベントがあって、 それに併せて新人研修時の同期会やってたそうですが、 精神的に参ってたので私は欠席しました。 欠席したのに、この扱いですか? カミサマ。

知らず知らずのうちに、 「ムーンライトながら」91号直結の新快速に紛れこんでしまっていましたとさ(調べきれなかった自分が悪い)。
うぁ〜、こいつら、相生どころか、岡山・広島、下手すりゃ博多あたりまで同一行動だ。 岡山で山陽筋から逃げ出せるのがせめてもの救いだろうか。一方で相生での乗り換えイス取りゲームに備えて、 闘志が湧いてきた。
他の連中を跳ね飛ばして、とまで意気込んだ相生のイス取りゲームだったが、 JRオレンジの熱海での仕打ちとは異なり、 さすがはJR西日本というべきか(というか1時間に1本の普通列車なのでせめてこれくらいは しておいてください)、糸崎行きは4連に3連を増結した115系の7輌編成だった。 おかげさまで、モハのクロスシートという選り好みをした上でもイスにありつけた。

岡山までの車中を、115系に揺られて(周囲の席にありつけなかった人は視界に入れずに) のんびりと、読書をしながら過ごし、岡山でマリンライナーに乗り換えて四国へ渡る。 鉄道で瀬戸大橋を渡るのは久しぶりだが、車からの眺めの方が景色が良いように思える (トラックの助手席からの眺めなので乗用車との比較はできないが・・・)。

坂出で途中下車をして、〒局に行くついでに商店街を散策。 市街地空洞化のためなのか、単にお盆で休みの店が多いのか、閑散としたアーケード街だった。 それにしても暑い。

駅に戻ったものの店が混んでいて昼食の「うどん」にありつけず、 パンを買って阿波池田行を待つ。ここから土讃線を乗り継いで高知へ向かうのだが、 良く考えれば、大学4回の冬に、多度津〜高知間の土讃線は乗っているし、 昨年の海の日にも、阿波池田まで乗っている区間である。乗り潰しの効率からすれば限りなく 無駄に近い乗り方にはちがいない。

だが、しかし。この区間に来れば、 いまや風前の灯となりつつあるキハ58、キハ65に出会える。 10年も昔なら、非電化区間なら全国どこに行っても転がっていたのに、最近は探しまわって ようやく出会える、メタルスライムみたいな存在だ。 土讃線でも、高松直通の列車くらいでしか出会えない。その数少ない列車に狙いを絞って、 わざわざ大阪から来たのである。

ほーら、来た。

三原行
讃岐財田にて

 ・復元国鉄色(T_T)b 

涙で目がかすむ。というのは言いすぎにしても、テンションは普段の3割増し。 おそらく、他の人からは恍惚の表情を浮かべた危ない人に見えたに違いない。

列車は琴平から山間に入っていく。と、線路際に不気味な光景が広がって、 恍惚の気分から引き戻された。そういえば、去年の海の日3連休に土讃線に乗った時、 このあたり一面にひまわりが咲いていたなぁ・・・。今年は、あたり一面のひまわりが、 ことごとく立ち枯れて下を向いて俯いている。う〜む。宴の後。
途中、南風を待ち合わせた讃岐財田での「撮影会」を挟み、 阿波池田まであっという間の1時間半だった。

池田の駅前で、ちょうど踊っていた阿波踊りを眺めて、 高知行に乗り換える。残念ながら今度の列車はキハ54だった。 まあいいさ。本の続きでも読みつつ、吉野川を眺めつつ、のんびりとすごそう。
・・・小歩危で対向列車を待ち合わせている最中に、持参した2冊の文庫本 (ダビンチコード 上巻・中巻)を読み終えてしまった。こんなことなら下巻も持ってくるんだった と、頭をかかえて、窓の外を見てみれば、ホームからの階段を下りたすぐ目と鼻の先に 郵便局があるではないか。時計をみればちょうど16時になるところ。しまった!。
待ち合わせの停車時間に十分行ってこれる距離ではないか。下巻を持ってくるこないの 騒ぎではない。

それにしても高知は遠い。時々冗談半分に、四国というのは讃岐・阿波・伊予の3つで 土佐は四国とは別の独立王国だとかなんとか聞くけれど、そういう話が出てくるのも頷ける。 土佐山田付近でようやく平野が開けた時には、人里に出られたことで少しホッとした。 もっとも、今は四国山地を越えて高速道路が整備されていることだし、わざわざ鈍行列車に 延々と揺られて高知を目指す必要性も薄いだろう。

さて。ようやく人里に出られた嬉しさからか、なにをトチ狂ったのか、思わず後免で降りてしまった。 せっかく陽のあるうちに高知平野に着いたのだから、ちょっと土電に寄り道でも、と思ったのである。

新改駅
秘境 新改駅。今回は坪尻も停車できました。

 ・ありゃ?

ふらふらと土佐電の後免町まで歩いてきて、時刻表を確認してみて、 伊野まで乗り通したら1時間近くかかるという事実にようやく気がついた。こんなに時間が かかるなら、とりあえずは「はりまや橋」まで乗っておいて、残りは後日ということに しておこうか?。 しかし、ここまで来ておいて「はりまや橋」〜「伊野」間を乗り残せば、 後々絶対に、いや、今日乗ったとしても、将来もう一度くらい乗りそうな 気はするのだが、たぶん禍根となるにちがいない。よし、伊野まで乗るぞ。 そういうことにしておいて 来た電車に乗ってしまった。宿泊予定のビジネスホテルには、到着時間が遅れると 電話しとけば良いのである。


特に他意は無いが、なんとなく高知っぽい


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