このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

前へ   戻る   次へ

雪の真弓峠、そして久万高原


・1月25日

睦月25日、通算26日目。 部屋のストーブの調子が悪く、とにかく布団にくるまって一晩を過ごした。エアコンはついていてもいなくても どちらでも良いような働きしかしていない。いや、とにかく寒い夜だった。
6時半起床。洗面等を済ませて7時から健康的な朝ごはん。 おかみさんに挨拶をして、7時半前に出発。雪の具合は昨日とたいして変わらず、うっすらと積もっているだけ・・・ と一安心したのは早かった。500メートルほど進むと、いよいよ歩道が雪に覆われ始めた。

44番札所 大宝寺まで
車道まで真っ白な国道にでて、気合をいれて歩き始めるとすぐに、 一台の軽トラックが追い越しざまに止まり、おばさんが降りて声をかけてきた。

「久万の方へ行かれるなら、道が違いますよ。とりあえずそこの角を曲がってください」

え? そんなバカな。だいたい、あの角を曲がってすすんだら、雪に埋もれた旧へんろ道に出るんじゃないのか? 今日は雪が深そうだから、車道しかあるかんぞ

と、思いはしたものの、あまりに真剣かつ丁寧に教えてくださるので、とりあえず示された方向に進んでみた。
しばらく進むと、国道に出た。 ありゃ?
周辺の道路図があったので見てみたら、確かにこっちが正解のルートだ。あのまま進んでいたら、山の中で道が途絶えて 途方にくれていたにちがいない。危ないところだった。

国道380号。最初こそ歩道もある2車線道路だったが、やがて中央線が無くなり道路幅も狭く、山深くなってくる。 心細くはあるのだが、雪の上にくっきりと足跡が残っているので少し心強い。 地元の人は当然車でしか通らないようなところだから、どうも少し前をお遍路さんが歩いているらしい。 そんなことを考えながらしばらく歩いていると、後ろからも歩きのお遍路さんがやってきた。 お互いに挨拶を交わし、しばらく話しながら歩く。通して歩いている方で、昨晩は小田の通夜堂に寝袋で泊まったそうな。 今話題の大分キ%ノンで期間工をしていたとか大変な身の上話から、室戸で霊感を得たとか妖しげな話まで色々と話している うちに、前方を歩いているお遍路さんに追いつき、追い越した。
峠に近づき、積雪は20cmくらいまで深くなっている。 こんな中をわざわざ歩く物好きが3人も居たとは。といっても、他の二人は通して歩いている途中にしかたなしに 積雪に遭遇したのに対し、残りの一人はわざわざ雪が積もりそうな時に出かけてきているので、一番どうしようもない のかもしれない。

真弓峠のトンネル入口に着いたところで一息入れることにして、引き続き進むという元大分氏とひとまずお別れ。 でも、きっと大宝寺で再会するにちがいない。

トンネルで峠を越え、もう一つ峠越えをする「へんろ道」の本筋から離脱して、引き続き国道沿いを進む。 車があまり通らないので、途中までは雪が踏みしめられた車道の真ん中を歩いた。あたり一面、呆れるほどの銀世界である。

落合という所で国道33号に入り、引き続き久万高原町の中心部へむかって歩く。 これまでの380号と違い、交通量が増えたのは、さすが松山〜高知を結ぶ主要国道といったところなのだが、 380号が改修工事が進んでほとんどの区間に歩道があったのに、33号には歩道が全く無いのには参った。 除雪された雪で路肩もだいぶ埋もれているので、とにかく車道を歩いて車が来るたびに路肩の雪に足を突っ込んで避けねば ならない。すれ違う車は大概、速度を落として横を通過してくれるが、中にはシャーベット状に溶けた雪を勢い良く 跳ね飛ばしていく車もいる。大型車の場合は速度を落としても飛沫を跳ね飛ばす。 アァ、そんなこと言ってたら、対向にバスが来たorz  本来なら目撃できて喜ぶべきJR四国バス。 かつての松山高知急行線の末裔である。

バシャッ  ・・・さすが急行線。跳ね飛ばす水しぶきも並じゃない。

悪戦苦闘すること1時間弱で市街地に入る。12時を過ぎたところなので、定食屋に入って昼ごはん。 オススメ昼のAランチ580円也は大盛りご飯にカツとじ、サラダ付。 食後にコーヒーまで頂いてしまい、水しぶきに荒んだ心も大いに癒された。

45番札所 岩屋寺まで
寺についたら、先ほどの二人が出発するところだった。大分氏はともかく、あとの一人は真弓峠のトンネルでは 先行していたのに、どこで抜かれたんだろう。こちらが国道33号を迂回している間に農祖峠を越えたのか、 昼食でゆっくりしすぎたか・・・。
お参りと納経をすませ、出発する。ここから一つ峠道があるのだが・・・。先ほどの二人の足跡は、やはり峠道へと 続いている。これが人跡未踏であれば道路を迂回するのだが、前を人が歩いているのでは、一人だけ逃げる訳にもいきますまい。 突撃。時刻は13時半をまわったところ。

「もう、ゴールしていいよね?」

「この川を下れば、青森に帰れるぞ! ついて来い!」

・・・はっ! なにやら変な妄想を働かせながら雪道を上り、下り、30分弱で県道に出られた。 あとは、道路を歩くだけ。でも、また歩道が無い。
除雪のバケットローダーに轢かれかける(笑)こと2回、勢い良く水飛沫をぶっかけら、 車に中指を突きたてる(もしくは親指で地面を指す)こと数回。先行した一人を追い抜き、今晩の宿の国民宿舎の横を通り過ぎ、 16時過ぎに岩屋寺門前に到着。ほぼ予定通りの時間である。
15分ほど坂道を登って本堂へたどり着くと、大分氏が本堂前で般若心経をあげているところだった。 午前中話をしたときに、お経の声が大きくて、それをきっかけにお坊さんに話しかけられることが多いと言っていたが、 確かに大きな声である。絶唱というよりも、全身を使って絶叫している。 私のような半分以上遊びで興味本位な人間には、与り知れない何かがきっとあるのだろう。
先にお参りが終わったので納経を済ませる。 猫と戯れていると、途中で追い越したおじいさんが納経所に降りて来た。会釈を交わし、少し立ち話。

古岩屋荘
缶コーヒ-で一息いれて16時半に出発。そういえば、納経所のおねぃさん美人だったなぁ。 お寺の若奥さんだろうか、それとも娘さん? こんな山奥の寺なのにねぇ。

宿に入り風呂で冷えた体を温める。コインランドリーがあったのでついでに洗濯。 なぜか隣の部屋で食事。自室を空けるからといって食事の間に布団をしいてくれる訳でもなく、なんだか不思議な接客だ。 宿泊者が少ないので食堂を開けるのが面倒なんだろうか?。でも翌朝の朝食は食堂だった。
まぁ良いけどね。暖かい部屋でご馳走を頂いて、大きな風呂にゆっくり浸かって。 おこがましくて修行だなんて言える筈がない。

前へ   戻る   次へ

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください