このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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☆スペック☆
設計 施工  トーゴ
高低差     30m?
最高時速   56,5km
コース全長  625m
安全装置   逆U字バー
定員      4人乗り5両編成20人
乗車時間   2分25秒
料金      600円
周回数     1週
乗車制限   110cm以上
営業期間   1988年〜2011年5月8日

☆感想☆
巻き上げ無しでいきなりファーストドロップに始まり、コース終盤に巻き上げ、だらだらと旋回して終了という、地形を生かした変則的なコースとしてあまりにも有名。トーゴ製コースターがいくつもあるよみうりランドではファミリー向けコースターとして、そして実はリニューアル前から数えると同園では最も古い、東洋娯楽機としても最初期のコースターにあたります。現在の円形レールに差し替えられたのは80年代。チャンネルレール時代はレールの色は青で巻き上げ後の旋回は無く、サードドロップに当たる所で昔の奈良ドリームランドのボブスレーのように着水していたようです。現在でも巻き上げまでのレールの下には以前のレールの面影が見られます。
なお、チャンネル→円形レールの差し替えを行った事例としては他にナガシマスパーランドのジェットコースターがあります。

残念ながら2011年5月を持って営業終了する事になってしまいました。こういった特殊なコースレイアウトを持つコースターが無くなる事は非常に残念ですが、跡地利用には何やら期待してもいいような噂ですので、コースターファン的に嬉しい知らせがあることを願いたいと思います。

ちなみに、以前は南知多ビーチランドにコースこそ異なりますが同型で同名のコースターがありました。

☆BEST乗車☆
時期:夏の午後
天候:晴天
車両:最後尾?
体制:水面ターン時はちょっと踏ん張って

☆コースレイアウト☆

園内入ってやや左の奥。地形を生かしたコースターにたどり着くまでの過程でもう既にかなりの斜面を下った先にに、SLコースターのその駅舎はあります。



もう何の予備知識もなく見たら、「なんだただちょっと駅舎の上一周するだけのミニコースターかよ」なんて見切っちゃわれそうなくらいコースの全貌はわかりません。↑の写真では進行方向は奥なので、手前の階段は出口、奥の列を成してる方が入り口になります。



ちょっと行って駅舎を正面から見てみるとこんな感じ。歩いてくる方向的にあまり見られることがなさそうですが駅舎の中央には一応エンブレム的なものがあります。左側のロゴ看板は後付けかもしれませんね。

例によってトーゴ中期作品らしく乗り降りが別のホームなのでコースターの規模を考えればとても大きな駅舎です。
大体階段の下までで1運転分、5〜10分くらいの待ち時間になります。



さぁこちらがSLコースターたる名前の所以である所の車両ですが、残念ながら他の多くのSLを模したコースターのようにSL部にも人が乗れるとか、視界を邪魔しないよう小さめに作ってるなんてことは一切なく、かわいい車両ですが正直先頭でも視界が開けることはなく、邪魔といえば邪魔ですw

通常営業時は↑の1と書かれたピンク色の車両と2と書かれた緑色の車両があり、後述しますが、末期にはこの先頭車両が金色に塗り替えられるというイベントもありました。



さぁ、やっぱりここはよみうりランドなので、座席配置は完全強制指定。その昔、午前中大雨でガラガラのときにスタッフの方に「最後尾乗っていいですか?」って聞いたら「ないしょだよ」って言って乗せてもらえた事もありましたが、初々しい小学生ならともかく、邪心丸出しの男子高校生がそんなこと言っても受け入れてもらえるはずがないのでそこは大人しく従いましょう。

ちなみにこの遊園地では回数券で乗る場合1枚300円のアトラクション券を、つまりアトラクション料金は300円、600円、900円の3種に分けられるのですが、わんデットが300円、MOMOnGAが600円であることを考えるとどうもこれも600円なのは割高に感じられるのですが、いかがなもんでしょう。



先頭の話をしましたがでは肝心の座席部はどうなのかというと、これがトーゴとしては珍しい腰の逆U字バーのみ。冷静に考えてみると標準的なトーゴ機でショルダーがない車両というのもこれと、FUJIYAMAとディオス(向ヶ丘遊園)くらいしかなく意外に貴重な存在だったのではないでしょうか。背もたれはちょっと高めですけどね。
ラストはここの側面にもちょっとだけ金が塗られてましたね。

4×5の20人乗り、先頭のも数えれば6両編成か。ホームが片側ゆえ奥に柵があるのもトーゴらしさ。
安全バーは降ろすときはフリーに降りてくるので何段階か判りませんがギア式で、まぁ対象を考えれ当然ですがちょっと狭いです。

さぁ、意識してもしなくてもスタートするとすぐ落下です。そのことを知らない友達とかが同行してたらどうか気づかせないままにしときましょうw



↑とか、以前は結構近くまで行って見れたんですけどね。
このあたりのコースはリニューアル前の「ジェットシューター」時代からのチャンネルレールの上に円形のレールを敷いてるのでレールデザインがちょっと異なります。



末期にはスタート時に白煙が上がり、ファーストを降り切る位まではあの、パルケエスパーニャの「闘牛コースターマタドール」なんかでも使われてるバニラっぽい感じの匂いがしました。

そのまま上昇してくんですが、ここの微妙に右にそれて行くレールの曲線が個人的には結構好きです。



で、いきなりのファーストドロップでインパクトのあるスタートを見せたコースターですが、残念ながらここで一度完全にブレーキ。しっかりゼロまで落とします。
速度調整のためだし仕方ないかなとずっと割り切ってきたのですが、営業終了後に「ここのブレーキは解除できる」と言う噂を聞いて唖然としましたw解除状態で乗ってみたかった(泣)

また、以前はこのあたりでポーッと汽笛を鳴らしていたとか。先頭車両はそんな設備を積んでたのかぁ。

左に曲がってセカンドドロップ。いよいよ水上コースに入っていきます。



セカンド自体はちょっとした落下なのでなんてことないです。ブレーキされてなかったら引きづり込まれたりしたのかも知れませんが、通常走行時は最後尾でも特にそういう感覚はありませんでした。



さぁ続くサードドロップからが最大の見せ場、左に少し折れながらの水面すれすれまでのドロップ。
リニューアル前はここと、ラストの旋回で着水していたらしく、ここの最下点だけコースを着水しないように少し上げたように下の旧レールがなくなっています。



少しホップして左回りの旋回へ。



例えば↑の写真でも、最下点から上昇する途中のレールは下の土台がなく、しかし支柱のデザインが異質なのがわかります。支柱本体の上部で一度平坦(チャンネルレールが置かれていたであろう)状態になりながらも、その上に更に現在の円形の支柱が生えています。
そしてその先の旋回に入ってからはさっきまでどおりの旧レール土台が復活していますしね。



レール中央の太い一本がないと、随分貧相に見えるというかスペースワープか何かのレールのようですね。
レールのくだりが長くなりましたがこのあたりはコース中で最もスピード感があり、古さゆえ多少のガタつきはありますが爽快な部分です。





少し直進。願わくば小キャメルバックが1つ欲しかった所。



そしてまた左に180度旋回をするわけですが、話によるとこのカーブからは完全に水を跳ねながら進み、水による摩擦のブレーキで止めていたとか。資料が見つからないので断定はできませんが、そうだとしたらかなり斬新な、横浜や奈良のボブスレーより更に着水を活用したコースだったのだなぁと思います。
そうしたコースを更に進化させ、途中から本当にウォータースライダーにしてしまったのが向ヶ丘遊園のアドベンチャーコースターでしょうか。そして現在では日本にはありませんがコースター兼ウォーターライドのコースターで大型のものができていると思うと、やはりトーゴというメーカーのアイディアは斬新で先進的なものであったのだなと実感します。



一応トーゴらしくホップを入れてブレーキ。ホップは以前からあったと聞きますがもしウォーターブレーキが本当ならホップするだけの余力があったのか謎です。
リニューアル後はウォーターブレーキはもちろんないので、ブレーキ区間が速度に見合っただけ取られていないのでしょうかなかなかの急ブレーキで一旦停車。のんびりと巻き上げに向かいます。

ちなみに、このあたりには昔から大蛇が住むという都市伝説があり、ラストのイベントとしてこのあたりに本当に大蛇のオブジェを設置してしまったのはさすがと言うか、遊園地側の愛を感じますね。他にも4つほど色々な生き物が配置してあったようですが、自分はそれともう1つしか発見できませんでした・・



これもこのコースターの特徴といってしまえばそれまでなんですが、やはりいい感じにスピードに乗ってきての巻き上げというのは非常にだるいものがあり、前のブレーキで停車させずに上がれる所まで上がってチェーンに引っ掛けるとか、せめてもう少し巻き上げが速ければ不満も減るんですが、この後のコースがほとんど何もないのと相まって完全に「終わってしまっている」のが残念です。

ちなみに公式HPには最高高度は30mと書いてあり、さすがにそんなにないだろうと思っていたのですが、こうして巻き上げの全貌を見ると確かに結構上がってるんですね。だったら高さじゃなくて高低差だろうという突っ込みは今更かな。

もう興奮も冷め切ってるかもですが、一応あとちょっとだけあります。ここからがリニューアル後に追加されたコースです。



駅舎の位置より5mくらい余分に登ってじゃあ何をするのかと思えばちょっと無理な動きで駅舎の上を1週するだけ。まぁ、ないより嬉しいですがもう一回池の上回って来ちゃう位の気合が欲しかった。



割と広々走ってきた前半に対してちまちま走るのであまり気持ちよくないです。ずっと駅舎より下を走ってきたので実際並んでる人とかに見えるパートってここ位のもんだったりします。
ラスト、もういっちょホップが入ってブレーキ、左に180度曲がって後車側ホームへと戻ります。

繰り返しになりますが、このような歴史ある、個性的なコースターが無くなってしまう事は非常に残念ですが、1988年からバンデットと同じだけの間、リニューアル前も含めればほぼ半世紀にわたって活躍した老舗の、そしてある意味バンデット以上に地形を利用した非常に珍しいコースレイアウトで人々の心に強く残ったものだと思います。惰性で終わらせようとするパークが多い中、営業終了間際で盛り上げようと車両を塗り替えたり仕掛けを加えたり非常に愛のある対応がされていたと思います。非常に、いいラストでした。

今後こうしたコースのコースターが生まれる事はまず無いでしょうから、過去にも未来にも、オンリーワンのSLコースターとして忘れずにいられればと思います。スタッフの方に今後も車両を展示しておくなどできないかとお伺いしたところ、思ったより好感触だったので期待していいかもしれません。

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