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独逸軍艦 機関部データ集

第2章 主缶


ドイツ艦艇の共通事項として、缶室は機械室寄り、つまり艦尾寄りから第1、第2、・・・と数えることに要注意です。また、この結果、煙突も艦尾寄りから第1、第2、・・・と数えることになります。
理由は、船体の肋骨を艦尾に近いほうから付番していたためと推測されます。ドイツでは砲塔の呼び名が上から見て時計回りにA, B, C,・・・であるのと同様、その国々の慣例と思われます。



小型巡洋艦 ハンブルクSMS Hamburg。3缶室に主缶を艦尾側より4基・4基・2基搭載したブレーメン級の1艦。


2-2.主缶の配置


2-2-1. 戦艦

NameFNbAbF
1234123
Kaiser Friedrich III,
Kaiser Wilhelm II
C8+4CCCCSS-66-
CCCCSS
Kaiser Wilhelm der Grosse6+4CCCSdS-64-
CCCSdS
Kaiser Barbarossa6+4CCCTTT-66-
CCCTTT
Kaiser Karl der Grosse6+2+2CCCSS-64-
CCCSS
Wittelsbach,
Zaehringen,
Schwaben
C6+6CCCS S
S S
S
S
-66-
CCC
Wettin,
Mecklenburg
6+6C C
C C
C C
T T
T T
T
T
-66-
BraunschweigC6+8C C
C C
C C
S S
S S
S S
S S
-644
Deutschland
HannoverC12S S
S S
S S
S S
S S
S S
-444
NassauC12S S
S S
S S
S S
S S
S S
-84-
HelgolandC15S SS SS-366
S SS SS
S SS SS
KaiserM16S S-SSS79-
S S-S SS
S SSS SS
KoenigC+O12+3S SS SS-69-
S SS SS
S SS SS
BayernC+O11+3S SS SS-68-
S SSS
S SS SS
ScharnhorstO12W W
W W
W W
W W
W W
W W
-12--
BismarckO12W WW W--12--
W WW W
W WW W

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
F: 使用燃料、C: 石炭専焼、 M: 炭油混焼、O: 重油専焼
Nb: 主缶数
Ab: 主缶配置、1〜4: 缶室番号(艦尾より)、Cは円缶、Tはソーニクロフト式、Sはシュルツ・ソーニクロフト式、Wはヴァーグナー式、小文字dは両面焚、無印は片面焚、2段または3段記載は中央縦隔壁1列または2列を示す
F: 煙路導設、1〜3: 煙突番号(艦尾より)および対応の主缶数

<解説>
カイザー・フリートリヒ3世級では缶室に中央縦隔壁を設けていましたが、片舷浸水時は船体が傾斜し、転覆、喪失の危険性が有るため、次のヴィッテルスバッハ級からは缶室の中央縦隔壁を廃止する傾向が現れています。

ドイチュラント級の2番艦ハノーファー以降は、全缶シュルツ・ソーニクロフト式となり、1缶室内に主缶を4基ずつ配し、煙路導設は1缶室ずつに3等分しています。

ナッサウ級は、ドイチュラント級(2番艦以降)と同様の主缶配置としながらも、煙路導設は艦尾寄り2缶室分をまとめて第1煙突に導設していましたので、第1煙突の断面積は第2煙突のほぼ2倍となっています。

次のヘルゴラント級は、2列の縦隔壁によって各缶室を左中右の3分割とし、煙突中心は横隔壁の真上とし、煙路導設は第1煙突のみ第1缶室の艦尾寄り3缶、他の2本は横隔壁を挟む6缶ずつとしていました。このため、第1煙突の断面積は他の2本のほぼ半分で、断面形状も第1煙突のみ縦長の小判形、他の2本が円形となっていました。

次のカイザー級は、前級で採用された缶室の左中右3分割を継承しましたが、左舷E砲塔(梯形配置)の弾火薬庫を設けるため、第2缶室は幅方向に狭くなっています。カイザー級の改良版ケーニヒ級は全砲塔が中心線配置となり、中央砲塔は1基のみとなったため、第1缶室と第2缶室の間に中央砲塔の弾火薬庫を設けています。

ちなみに、缶室の左中右3分割は、バイエルン級やビスマルク級にも継承されていますが、シャルンホルスト級は船体幅が小のため、左中右3分割とせず1缶室当り主缶4基ずつの配置を採用しています。


2-2-2. 大型巡洋艦/巡洋戦艦/重巡洋艦

NameFNbAbF
1234561234
Kaiserin AugustaC8Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
---332-
Victoria Louise,
Vineta
C12D D
D D
D D
D D
D D
D D
---444-
Hertha12Bv Bv
Bv Bv
Bv Bv
Bv Bv
Bv Bv
Bv Bv
---444-
Hansa18BvBvBvBvBvBvBvBvBv---666-
BvBvBvBvBvBvBvBvBv
Freya12Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
---444-
Fuerst BismarckC4+8C CC CT T---48--
C CC CT T
Prinz HeinrichC14DDDDDDD----68--
DDDDDDD
Prinz AdalbertC14D D
D D
D D
D D
D DD
D DD
---446-
RoonC16D D
D D
D D
D D
D D
D D
D D
D D
--4444
ScharnhorstC18S S
S S
S S
S S
S S
S S
S S
S S
S
S
-4446
BluecherC18S S
S S
S S
S S
S S
S S
S S
S S
S
S
-810--
Von der Tann
MoltkeC24S SS SS S
S S
S S
S S
S S
S S
--1212--
S SS S
S SS S
SeydlitzC27S SS SS SS S
S S
S S
S
S
S
-1215--
S SS SS S
S SS SS S
DerfflingerC+O14+4SS SS SS SSdSd108--
SS SS SS SSdSd
HindenburgC+O14+4SS SSdS SS SSd810--
SS SSdS SS SSd
(Mackensen)C+O24+8SSSS
SS
-SS
SS
SS
SS
SS1220--
SSSS
SS
-SS
SS
SS
SS
SS
(Elsatz Yorck)C+O24+8SSSS
SS
-SS
SS
SS
SS
SS32---
SSSS
SS
-SS
SS
SS
SS
SS
BluecherO12W W
W W
W W
W W
W W
W W
---12---

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
F: 使用燃料、C: 石炭専焼、 O: 重油専焼
Nb: 主缶数
Ab: 主缶配置、1〜6: 缶室番号(艦尾より)、Cは円缶、Dはデュール式、Bはベルヴィール式、Niはニクローズ式、Tはソーニクロフト式、Sはシュルツ・ソーニクロフト式、Wはヴァーグナー式、LMはラ・モント式、小文字dは両面焚、無印は片面焚、2段または3段記載は中央縦隔壁1列または2列を示す
F: 煙路導設、1〜4: 煙突番号(艦尾より)および対応の主缶数

<解説>
カイゼリン・アウグスタは、両面焚円缶を縦1列に並べ、焚口を両翼炭庫wing bunkerに対向させていました。焚口を舷側に向けた缶をドイツでは横向き缶querstehende Kesselと称しています。

ヴィクトリア・ルイゼ級は、中央縦隔壁付きの3缶室に主缶を等数配し、煙路導設は各缶室ごとに分けていましたので、煙突は3本とも同一断面です。

続くフュルスト・ビスマルクは、艦尾寄りの第1・第2缶室に横向き円缶、艦首寄りの第3缶室に小径水管缶の横向きソーニクロフト式を1缶室4基ずつ配し、煙路導設は第1缶室は単独、第2・第3缶室は集合としていましたので、艦首寄りの第2煙突の断面積は第1煙突のほぼ2倍、断面形状も円形(第1煙突は楕円形)となっていました。円缶との混載は、当時水管缶の信頼性になお疑問が持たれていたためです。

次のプリンツ・ハインリッヒでは、缶室を前後2室とし、缶は大径水管缶のデュール式に統一されましたが、前後2室への搭載数が異なるため、煙突の断面形状に関しては上記のフュルスト・ビスマルクと同様となっています。

プリンツ・アダルベルト級からは缶室の中央縦隔壁を廃しています。同級も第1・第2缶室と第3缶室への搭載数が異なるため、第1・第2煙突が楕円形断面、第3煙突が円形断面となっています。

ローン級は、4缶室に主缶を4基ずつ配し、煙路導設は各缶室ごとに分けていましたので、煙突は4本とも同一断面積の縦長小判形です。次のシャルンホルスト級は、ローン級に1缶室と主缶2基を追加し、煙路導設は艦首寄りの第4煙突のみ主缶6基に対応させたため、断面積は他の3本のほぼ1.5倍、断面形状も円形(他の3本は楕円形)となりました。

ドイツ最後の装甲巡洋艦ブリュッヒャーと、最初の巡洋戦艦フォン・デア・タンは、ともに煙突を2本に集約していますが、主缶配置はシャルンホルスト級と同一です。なお、ブリュッヒャーの計画段階では、缶室ごとの5本煙突とする案も存在しました。

フォン・デア・タンからザイドリッツまでは、中央2砲塔のため、機械室と第1缶室間にはE(左舷)砲塔弾薬庫、第2・第3缶室間にはB(右舷)砲塔弾薬庫が在ります。なお、モルトケ級とザイドリッツは、船体幅の増大に伴って一部に缶室の左中右3分割を採用しました。前者の第1・第2缶室と、後者の第1〜第3缶室は2列の縦隔壁を有しています。

次のデアフリンガー級とヒンデンブルクでは缶室の左中右3分割を廃し、第1〜第6缶室に中央縦隔壁を設け、大型の重油専焼両面缶は1缶室に1基としています。石炭専焼片面缶は、フォン・デア・タンと同様、水胴4本・汽胴2本を有するものです。

未成に終わったマッケンゼン級とヨルク代艦級は、ともに主缶を全部水胴3本・汽胴1本の片面焚に戻していますが、これは戦時における製造容易化のためと考えられます。両級の重油専焼缶の配置は未詳ですが、前後両端缶室への配置と推定します。

ブリュッヒャー級は、1缶室当り主缶4基ずつの配置に戻っており、歴史は繰り返されるといった感が有ります。


2-2-3. 小型巡洋艦/軽巡洋艦

NameFNbAbF
1234561234
GreiffC6Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
---222-
IreneC4Cd
Cd
Cd
Cd
----22--
GefionC6Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
Cd
---222-
GazelleC8Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
Ni Ni
----44--
Niobe8T T
T T
T T
T T
----44--
Nymphe4+1Sd
Sd
Sd S
Sd
----23--
Thetis9S S
S S
S SS
S S
----45--
BremenC10S S
S S
S S
S S
S
S
---442-
Luebeck
KoenigsbergC11S S
S S
S S
S S
S S
S
---443-
NuernbergC11S
S
S
S
S
S
S
S
SS
S
-443-
DresdenC12S
S
S S
S S
S S
S S
S
S
--444-
KolbergC15S S
S S
S S
S S
S S
S S
SS
S
--645-
MagdeburgC16S
S
S S
S S
S S
S S
S S
S S
S
S
-4444
KarlsruheC+O12+2S
S
S S
S S
S S
S S
S
S
Sd
Sd
-4442
GraudentzC+O10+2S
S
S S
S S
S S
S S
Sd
Sd
--444-
Wiesbaden
FrankfurtC+O10+2S
S
S S
S S
S S
S S
Sd
Sd
--462-
PillauC+O6+4Yd
Yd
Yd
Yd
Y
Y
Y
Y
Y
Y
-226-
BrummerC+O2+4SSSSSS222-
KoenigsbergC+O10+2S
S
S S
S S
S S
S S
Sd
Sd
--444-
CoelnC+O8+6S
S
S S
S S
S
S
S S
S S
S
S
-464-
EmdenC+O4+6S S
S S
S
S
S
S
S
S
--46--
KoenigsbergO6Sd
Sd
Sd
Sd
SdSd--42--
LeipzigO8Sd
Sd
Sd
Sd
Sd
Sd
---6---

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
F: 使用燃料、C: 石炭専焼、 O: 重油専焼
Nb: 主缶数
Ab: 主缶配置、1〜5: 缶室番号(艦尾より)、Cは円缶、Niはニクローズ式、Tはソーニクロフト式、Sはシュルツ・ソーニクロフト式、Yはヤーロー式、小文字dは両面焚、無印は片面焚、2段記載は中央縦隔壁有りを示す
F: 煙路導設、1〜4: 煙突番号(艦尾より)および対応の主缶数

<解説>
グライフとゲフィオンは、同時期の大型巡洋艦カイゼリン・アウグスタから主缶2基を、またイレーネは主缶4基を削減したような感じで、同じ設計思想によったものと考えられます。

ガツェレ級以降は、船体の大型化に伴って、水管缶を横2列に並べるのを原則としていました。

ブレーメン級は、艦首寄りの第3煙突のみ2缶、他の2本は4缶ずつの煙路導設としていたため、第3煙突の断面積は他の2本のほぼ半分で、断面形状も第3煙突のみ縦長の小判形、他の2本が円形となっていました。

ケーニヒスベルク級は、第1・第2缶室間に魚雷発射菅室を有するため、ネームシップのケーニヒスベルクを除き、第1・第2煙突の間隔が広くなっています。また、ニュルンベルクのみは缶室を4室としています。

ドレスデン級とマグデブルク級は、煙突中心を横隔壁の真上とし、煙路導設は横隔壁を挟む4缶ずつとしていたため、煙突の断面積は全部同一となっていました。カールスルーエ級は、第1〜第3煙突が上記と同様、第4煙突のみ第5缶室(両面焚重油専焼缶)に対応しています。

グラウデンツ級は、カールスルーエ級の第4缶室を廃したものと見てよく、煙路導設は第1・第2煙突が上記と同様で、第3煙突のみが第3缶室の艦首寄り2缶と第4缶室の両面焚重油専焼缶の両方に対応しています。断面形状は第3煙突のみ円形、他の2本が縦長の小判形となっていました。

ヴィースバーデン級は、缶室配置はグラウデンツ級と同様ですが、フランクフルトのみは煙路導設が異なっており、第1煙突が第1缶室と第2缶室後部2基、第2煙突が第2缶室前部2基と第3缶室、第3煙突が第4缶室の両面焚重油専焼缶に対応しています。煙突の断面積は第2煙突が他の2本の約1.5倍、断面形状は第2煙突のみ円形、他の2本が縦長の小判形となっていました。細−太−細と前後対称なので、外観的には安定した印象を受けますが、のちのケーニヒスベルク級ではグラウデンツ級と同様の煙路導設に戻りました。

ブルンマー級は、ドイツ小型巡洋艦では他に例の無い6缶室とし、各室に片面焚きの主缶を1基ずつ配しています。1缶の伝熱面積は933m2と、フォン・デア・タンの650m2(火床3分割)と比べても大きく、詳細が知りたいものです。


2-2-4. 駆逐艦

NameFNbAbF
1234123
S90-107,
S114-119
C3TTT-12-
G108-113C3SSS-12-
S120-123,
S125-131
C3SSS-12-
S124NoNoNo
G132-136C3SSS-12-
G137C4SSSS22-
S138-149C422-
V150-161C4SSSS22-
V162-164C+O3+1SSSS22-
S165-168C+O3+1SSSS22-
G169-172C+O3+1SSSS22-
G173C+O3+1SdSSS22-
G174-175C+O3+1SSSS22-
S176-179C+O3+122-
V180-191C+O3+1SSSS22-
G192-197C+O3+122-
V1-6C+O3+1SS SS-22-
G7-12C+O3+1SSSS22-
S13-24C+O3+1SS SS-22-
V25-30O3SSS-12-
S31-36,
S49-52,
S53-66
O3SSS-12-
G37-40,
V43-48
O2+1SSSd-21-
G41-42,
V67-84,
G85-96,
V125-130,
S131-139,
H145-147
O1+2SdSdS-12-
B97-98,
V99-100,
B109-112
O4SdSdSdSd121
G101-104O3SdSdSd-111
V105-108O3SSS-12-
S113,
V116
O4SdSdSdSd22-
Moewe,
Grief
O1+2SSdSd-12-
WolfO3SdSdSd-12-
T1-21O4WWWW22-
T22-36O422-
Z1-8,
Z17-43
O6W
W
W
W
W
W
-6--
Z9-16Bn
Bn
Bn
Bn
Bn
Bn

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
F: 使用燃料、C: 石炭専焼、 O: 重油専焼
Nb: 主缶数
Ab: 主缶配置、1〜4: 缶室番号(艦尾より)、Tはソーニクロフト式、Sはシュルツ・ソーニクロフト式、Noはノルマン式、Wはヴァーグナー式、Bnはベンソン式、小文字dは両面焚、無印は片面焚を示す
F: 煙路導設、1〜3: 煙突番号(艦尾より)および対応の主缶数

<解説>
駆逐艦は船体が小型のため、ほとんどのものが主缶を縦1列に並べていましたが、Z1級からは船体の大型化に伴って主缶を横2列に並べています。


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