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昭和55年(1980年)、阪急宝塚線開通70周年に合わせて記念乗車券が発売されましたが、この記念乗車券のケースの中には箕面有馬電気軌道開業当初の定期券と乗車券の復刻版が付録として入っていました。この復刻版の様式が阪急電車最初の定期券とされています。
復刻版は収集家のあいだで話題になりましたので、このホームページをご覧になられた方のなかにはご存知の方も多いと思いますが、この復刻版と同じ様式の定期券で実際に使用された券を所有しておりませんので、画像はありません。
この様式の定期券に興味がありましたら、以下の書籍に写真が載っていますので、ご覧ください。
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「75年のあゆみ <写真編>」 1982年 阪急電鉄編集・発行 P230
「HANKYU MAROON WORLD 阪急電車のすべて」 1999年 阪急電鉄コミュニケーション事業部発行 P97 |
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明治44年(1911年)から使用されていた定期券です。大正7年(1918年)に箕面有馬電気軌道から阪神急行電鉄に社名が変更になりましたが、この定期券は大正9年頃まで流用されていたようです。この様式は10年近く使われ続けたために現存するものが多く、時代のわりにはそれほど珍しいものではありません。
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上の定期券は明治44年(1911年)に発行された、普通定期券3区12ヶ月券です。
当時は財布に入るように折りたたみ式になっていたため、画像左の右側が表面、左側が裏面となっており、破れないように折りたたみ面にはテープが貼ってありました。
表面には箕面有馬電気軌道の社章と普通定期券の文字。その下に3区券を表す3の文字と、12ヶ月の期間が印刷されています。裏面には箕面有馬電気軌道の社章があり、その周りを1月から12月の数字が円形に配置されています。
折りたたみの内側にあたる面の左側には、定期券の利用者氏名、年齢、期間、区間、発行日を記入する欄があります。
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上の定期券は大正6年(1917年)に発行された、学生定期券3区12ヶ月券です。
折りたたみ外側の面は緑色、内側の面は朱色で印刷されていて、普通定期券と区別できるようになっています。
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箕面有馬電気軌道のこの様式の定期券には「日本精版印刷合資会社」製と「大阪活版製造所」製の2種類があり、その違いは左上の通りです。「日本精版印刷合資会社」製の普通定期券には、氏名欄の横に職業の文字も印刷されていました。(右上)
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| また、この様式の定期券は、乗車期間(使用期間)によって大きさが異なりました。
12ヶ月の定期券の場合、折りたたみ面で破れる可能性があるため、あらかじめ券面にテープを貼っていましたが、短期間で破れる心配のない定期券にはテープは貼っていませんでした。
左に12ヶ月の定期券と1ヶ月の定期券の下の部分を並べています。
左上の12ヶ月の定期券は中央部にテープを貼る分の空白があるために、その分幅が広く印刷されており、反対に左下の1ヶ月定期にはテープを貼る部分が必要ないために空白を無くして印刷しています。
そのため、12ヶ月定期に比べて1ヶ月定期はひと回り小さなサイズとなっています。 |
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