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* * (2007/04/22)次世代の乗り物に乗る2 * *
* * (2007/04/22)次世代の乗り物に乗る1 * *
◎◎DMVの本格取材 〜乗車編〜◎◎ JR北海道では2007年4月14日から6月30日までの間、「試験的営業運行」としてDMVを始動させた。乗車形態としては団体貸切(1両まるごと)と個人(一人から)の二通りである。小生はミニオフ会?として団体貸切に参加させていただいた。この場をお借りして、参加された皆様に御礼申し上げる次第である。 乗車前に車両を若干説明することとする。運行に充当される車両は2両ある。鉄道車両でいう形式はそれぞれ「DMV911」「DMV912」としている。小生が見た限りでは通常の鉄道車両のような車体側面の表記(711系だと車体中央下部にある「クハ711−1」のような表記)は見られなかった。自動車としてのナンバー(自動車登録番号)は鉄道の形式に対応してそれぞれ「北見 230 あ 911」「北見 230 あ 912」と希望ナンバーを取得している。小生が乗車したのはDMV912である。 写真左:DMV912(2007/04/22) 写真右:DMV911の後面(2007/04/22) 後面写真の解説を。方向指示器等の灯火類の上にある三角形のしるし、何気なく見ていると全く気に留めないと思う。たまに大きなトレーラーについていることもある。別に装飾としてつけているのではなく、法律上の決まりごとである。「道路運送車両法」に関連して、その検査関係の詳細を定めたものに「道路運送車両の保安基準」というものがある。この赤枠の逆三角形はその保安基準において緩和が認められた車両が表示するしるしである。 また後面中央にある「NICHIJO」の文字はご存知の方も多いと思うが、株式会社日本除雪機製作所のロゴである。北海道は札幌に本社を位置し、除雪機メーカーではトップクラスである。排雪用モーターカー等の製作も行なっており、鉄道会社との関連も深い。DMVの油圧関係の分野では、この会社の力がかなり大きなものとなっている。 写真では見えない部分であるが、車体側面の表記には「貸切」や「網走バス」といったものもある。これは道路運送法で定められたものであり、緑のナンバーをつけた路線バスや観光バスにも必ず書かれているはずだ。 車内はマイクロバスそのもの。違うのは運転席付近が物々しいことになっていることだ。運転席は通常のマイクロバス装備に加え、鉄道関係の機器が並べられている。運転席横の席は撤去され、鉄道関係の機器が入った箱が設置されており、当然のことながら信号炎管も確認できた。その傍らには「道路運送法」関連で事業者の名称、自動車登録番号、バス運転者の氏名が掲示されている。 座席は普通のバス。車いすでの乗車も可能なようで、乗車位置にはスロープが配置されている。乗客の定員は12名、その他運転士の専用席が1席と客室乗務員は通路の補助席を使用する。またそれぞれの座席にはシートベルトがついており、乗車後の車内放送にて着用のお願いが行なわれる。 写真左:DMV912(2007/04/22) 写真右:DMV911の後面(2007/04/22) DMVに乗り込み発車を待つ。乗務員は鉄道運転士、バス運転士、案内役の客室乗務員と合計3人で運行することになる。運転士は浜小清水(乗車位置)→浜小清水(線路入口)=バス、浜小清水(線路入口)→藻琴(線路出口)=鉄道、藻琴(線路出口)→浜小清水(乗車位置)=バス、とそれぞれの運転士が担当なる。往復20kmほどの距離で運転士が2回も交代することになるが、現行の法制度上やむを得ない。 14時53分、定刻に発車となった。発車直後、車窓からは網走発知床斜里行きの4731D(キハ54系)が見える。やはりDMVとの大きさの違いが感じられる瞬間でもある。4731Dと交換する形でDMVの走行となる。浜小清水一つ目の遮断機で一旦停止、遮断機が開き線路の入口へと進み「DMV停車」と書かれた停車位置目標で再び停止する。ここでバス運転士から鉄道運転士へと交代となる。それと共にメインイベント?の鉄道車両への変身(いわゆる“モードチェンジ”)もここで行なわれる。 周囲には一目見ようと大勢のギャラリーが集まっているところだ。某キー局のカメラ(○くへ行きたい)も撮影していた。この日は一日中追いかけていたという情報も。その様子は5月下旬(北海道地区)に放送されている。 写真左:4731Dと交換?(2007/04/22) 写真右:浜小清水の線路進入(2007/04/22) 運転士がスイッチを扱うと車輪が出ると同時に、車体の前側が若干持ち上がる。衝撃はほとんどなく、実にスムーズである。今度は「O」と書かれた列車の停車位置目標まで進む。これが鉄道に変わった瞬間でもある。列車停目で停止し、ここで線路閉塞の手続きを行なう。 時間はかなりの余裕を持って設定されている。線路に入るまでの間は客室乗務員のお姉さんがDMVの解説をしている。乗車前にパンフレットが配られ、それを見ながらである。ちなみにお姉さんの解説の手引き?は手書きのようで、苦労の一端がうかがえるような気がする。 線路閉塞の手続きも済み、発車時刻となる。二つ目の遮断機が開き15時05分、浜小清水3番線を定時に発車。多くのギャラリーに見守られながら、線路出口の藻琴駅へと走り始めた。乗り心地は・・・やはり普通の鉄道車両と比べれば劣るであろう。車輪が小さいということで、線路のつなぎ目の衝撃が若干気になる。しかし乗車していること自体に全く問題はない。これで道路も走ることのできる乗り物であるというのはすばらしい。 写真左:浜小清水3番線(2007/04/22) 写真右:浜小清水→原生花園(2007/04/22) 北浜通過の際には警備員の姿も見えた。無人駅に警備員といえば、1年前のふるさと銀河線を思い出してしまう。運行最終日は全ての駅に警備員が配置されていた。やはり見学者が多いための処置なのだろう。駅に限らず沿線での撮影は十分に留意してもらいたい。DMVと撮影者との間で事故が起きた、なんてことになるとDMVの今後にも影響が出てしまうことになる。 写真左:原生花園通過(2007/04/22) 写真右:北浜通過(2007/04/22) まもなく藻琴に接近。駅手前の分岐点では係員が待機していた。「DMV停止」の停目で停止し、車輪を戻す作業に入る。作業完了後、藻琴一つ目の遮断機が開き線路を出る。線路からはずれたところにある「O」の列車停目までが鉄道運転士の担当である。DMV停目から列車停目まではバスでの走行であるが、列車停目までが鉄道の扱いであり、鉄道運転士がハンドルを握る。 写真左:鉄道運転士がスイッチを扱い車輪を上げる(2007/04/22) 写真右:藻琴駅前の交差点(2007/04/22) 藻琴駅前の交差点を左折し、浜小清水までは国道244号線を走る。もちろん普通の貸切バスと同様に、道路交通法に従って走る。最高速度は60キロメートル毎時、その他特に制限のあるところはそれに従う。車体の色が黄と黒の警戒色ということもあり、道路を走っていてもかなり目立つ。鉄道もそうだったが、道路にもギャラリーが多い。今話題の乗り物ということもあって、DMVを見ようとしている方々が相当数あるようだ。これはこれで良い効果だと思う。 写真左:DMV(道路)より知床連山(2007/04/22) 写真右:キャンプ場踏切手前(2007/04/22) 鉄路を通ってきた北浜、原生花園の駅前を颯爽と通過し、浜小清水へと順調に走っていく。浜小清水手前では駅の裏にある乗降場に向かうため、線路を横断しなければならない。踏切事故防止キャンペーンを行なっている中心的な事業者であり、もちろん踏切手前では一時停止を遵守。砂利道を走り、浜小清水駅には若干早めに到着した。 時間にして1時間、線路と道路をひたすら走るだけであるが存分に楽しめた。乗車するだけであれば楽しむ、で終わってしまうが、実用化に向けてはかなりの問題点が見えたような気がする。 車両でいうと乗車定員が普通の路線バスに比べ圧倒的に少ない。よくDMV対列車で費用の比較をしているが、比較すること自体が全くの間違いである。輸送能力が全く違う車両を比較してDMV有利、なんていう計算を公表するのはおかしい。交通機関に詳しくない方々を誤った方向へ誘導しているのではないか。 地上設備や運行上の取扱いも改善点が多い。というよりは法律の整備が全く追いついていない。乗務員が二人必要、線路閉塞も時間を要する、踏切や軌道短絡の改良、自動車と鉄道の二つの検査が必要などなど。従来は鉄道とバスは全く別物で、相互乗り入れなんていうことは全く考えられなかった。法律もそれぞれ独立したものである。今軌陸両用、水陸両用で運行できるような法制度が整備中とのことだが、この試験的営業運行も十分に活用して問題点を洗い出してもらいたい。 批判的なことばかり言っているが、DMVには頑張ってほしい。JR北海道は特に閑散路線を抱えており、活用方法を十分に模索し、鉄路の存続を切に望む。鉄道に乗ることを趣味としている小生にとって、鉄道に替わるバスの活躍というのは決して容認はできない。けれども両方がなくなってしまってはどうしようもない。鉄道とバスとの共存の道は地域ぐるみで考える必要があると思う。 7月以降の運行計画も決まり、現在募集中である。全体的にまだ空席もあるようだ。皆さんも一度乗車してみてはいかが。そして交通機関とは何か、ということを考えるきっかけになれば幸いである。 |
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