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田中あすか副部長について

<はじめに>
 この人については、書こうか書くまいか、かなりの議論があった(私の脳内で)。
愚言集では、既に安藤美姫についておかしいぐらいの論述があるので、今更有名人について論評することを控える理由もないのかもしれない。
しかし、「田中あすか」(以下あすか先輩、副部長とも)については、実在しないという大きなハードルがあった。なんとアニメキャラなのである…!


いわゆる萌えアニメを嫌い、それを喜んで鑑賞する連中を見下していた中学〜大学3年ごろまでの私を知る人間からは想像もつかないかもしれないが、20代後半にもなって私は深夜アニメの虜である。
こうなったのも「四畳半神話大系」のアニメ観賞で深夜アニメへの心理的障壁が取り除かれたところに、周囲の流れに乗る形で「けいおん!」を観賞したからである。
人間転落する時は早いもので、「けいおん!」後は「とある」シリーズにはまり、関西に転居する頃には立派な「アニヲタ」が誕生していた。
関西転居後は毎シーズン、深夜アニメをチェックし、本数はそれほど見ていないものの、毎シーズン1〜3作品は通しで観るようになった。もちろんOP曲やED曲が気に入れば買い、itunesのプレイリストには「animation」のカテゴリが作られている。声優の講演会にも 行った 。一時期は大学院にポスターを張り、つい先日はがれおちるまでは、あすか先輩が麗しい後ろ姿を魅せるポスターが自室に鎮座していた。

←なかなか落差の激しい取り合わせになった

私の中学高校は一般のそれとは異なり、アニメやガンダムやエロゲのオタクが大量に生息していたのだが、そうした環境では堕落しなかったのに、今となってここまで墜ちるとは思わなかった。墜ちる時期が遅きに失した感はある。

(墜ちるだの転落だの書いていて、ネガティブな印象を受けるかもしれないが、個人的にオタクはサブカルと言われるだけあって、日陰でこっそり楽しむもの、世間さまから後ろ指さされても仕方のない趣味、と理解しているのでこういう書き方になる。鉄道も同じで、かの宮脇俊三先生が「児戯に類する行為」と自嘲気味に仰ることから、悪目立ちせぬよう隠れてやるのが嗜みなのだろうと思っている。)

そうしてアニヲタにはなったものの、いわゆる「嫁」という言い方をして特定キャラに激しく入れ込むという行為は今までしてこなかった。「けいおん!」では一応「真鍋和」生徒会長のフィギュアを手に入れたりしたものの、けいおん!が映画も終わってしまった今は押し入れの中で処理に困っている。そもそも「けいおん!」では田井中律もキャラ的にお気に入りであった。
「嫁」キャラをお持ちの方々は、画像収集に始まり、「嫁」を待ちうけにする、グッズを集める、twitterアイコンやユーザー名に採用する、誕生日を祝う、などするらしい。人によっては車を「痛く」するだろう。
私はこれまで、そんな風に入れ込むキャラクターが出てこなかった。

それが今年の4月から「響け!ユーフォニアム」を観賞したところ、あすか先輩に見事にやられてしまったのである。

よく似合うめがね、黒髪、スタイル抜群、成績もよく、社交的で明るくひょうきんなところもある…私の好みを的確に撃ち抜いてきたのである。もちろん声も素晴らしい。

それから私は専用のフォルダを作って彼女の画像を集める、通販であすか先輩キーホルダーを買う、上述の通り京アニショップでポスターを買って自室に張るなど「嫁」キャラを持った時のような行動をするようになった。


なぜここまで入れ込むようになったのだろうか。京アニだけでも、眼鏡で黒髪だったりスタイルのいいキャラは一作品に1人はいるはずである。

考えるに、あすか先輩がある程度現実にいそうなキャラクターを持っていたからではなかろうか。

浮世を忘れるために見るはずのアニメでリアリティを求めるのもおかしな話かもしれないが。

あまり現実に寄せすぎると「あんたこのレベルの人と付き合えると思っとるんか?」という風に現実の方が襲いかかってくるので、アニメを楽しむ時は現実に引きなおすなという戒めはあるけれども。


さてそんなこんなで画像を集めたり、ポスターを張ったりすると愛着が湧いてくるもので。

「あーあすか先輩とデートしたいな〜。」と考えるようにもなってくる。

もはや頭おかしい人である(しかしまあ想像する分には問題無かろう。100年以上前の英国人だってホームズの死に喪服を着て歩いたのだし)

と、想像する時に問題なのが自分の作中での立ち位置である。人がどうやって「嫁」キャラとのデートを想像して楽しんでいるかは分かるはずもないが、とりあえず私は自分を作品世界に落とし込むようにはしている。
そこで大変なのがいかにあすか先輩とお知り合いになり、関係を深めていくかという部分の構築である。

「そんなめんどくさい、さっさとデートのとこだけ想像したらええやん」という向きもあろう。

しかしやはりそこは、交際するまでも楽しみたいというのがありまして。

で、あすか先輩は作品中では高三なので、同級生ポジションで行くのか、後輩として行くのか(相手にしてくれなさそうな雰囲気はある)、府条例抵触を覚悟で北宇治OBの大学生ポジションに落とし込むか、まず年齢だけでも3通りの立場が考えられる。

そして吹奏楽部員の立場にするか、単なる同級生にするか、はたまた他校の人間にするかでもいろいろ変わってくる。特に吹部所属にすると北宇治は大災禍(ザ・メイルストロム)を経験し…もとい大量に部員が辞めた事件があるので、ここの詳細が明らかでないとなかなか難しいものがある。あとわたしに楽器経験がピアノくらいしかないので想像が大変である(@_@)
同級生設定はどうか。アニメではクラスの事は殆ど書かれていないので、クラス内でどういった感じなのかがつかめずこれも想像に頼るしかない。
他校設定ともなると、どこでどう知りあうかで一苦労する。塾にも通っていなさそうなので小中の同級生になるしかないのか…。

現在関西在住なのでデートの行き先についてはさほど苦労しないのが救いである。

ともあれ彼女についての詳細を知るにはアニメでは不足、と感じた私は12月初頭にとうとう原作を購入したのだった。


<原作を読んでから>

 注:以下はアニメ「響け!ユーフォニアム」(以下アニメ1期と表記)、武田綾乃「響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」(以下2と表記)「響け!ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」(以下3と表記)を視聴、読了した時点での話であり、その後原作や短編集を読んで改訂する可能性もあるのでご留意いただきたい。なおwordで一気に書き上げてから載せています。

 さて、原作を1週間程度かけて読破した。2より3の方が話の密度も踏まえると面白かった。主人公黄前久美子とあすか先輩の関係性はアニメ化の折には感涙必至だろう。アニメ1期ではあまり深入りして書かれなかった黄前姉のエピソードをどう料理するかも楽しみである。

 原作では主人公以外が皆関西弁になっていたのが驚きだったが、慣れると宇治市を舞台にしていることからも関西弁の方がよいような気がしてくる。とくにあすか先輩に関しては、アニメ1期で感じた面倒見の良い先輩という部分がだいぶ抜け、厳しさが強まる効果をもたらしているように思えた。2ではコテコテ関西人が出てくるのだが、アニメでどう処理するのですかね。

 ところでこの劇場版、「うまくなりたい!」と久美子ちゃんが必死に譜面読んで練習するさまをキービジュアルにしており、青春路線を打ち出して宣伝しているようである。原作も小説でいたって真面目なのだが、最初は「けいおん」よろしく4人組の女の子の日常吹部アニメと誤解させるような宣伝を打っていた。このことから京アニがいかに「けいおん」の呪縛にとらわれているかがわかって興味深い。もし当初から真面目青春路線を敷いていれば、今頃はNHKでラブライブではなく本作が流されていたかもしれない。μ’s大人気だから難しいかもしれないけど。ちなみに4人で行動する場面、ほとんどないです。葉月ちゃんなぞ麗奈に「さん」付けである上、敬語使わんばかりの勢いだしなぁ。

 おっと、あすか先輩について語る場なのに3段落を単なる感想に費やしてしまった。戻ろう。

 田中あすか先輩についてそのバックボーンが明かされるのは主に3の方である。3のメインキャストと言って差し支えないくらい、彼女の存在が3では強調される。

【家庭環境】

 彼女はいわゆる母子家庭である。2歳のころに両親が離婚し、母親と宇治市内の古い1戸建てに暮らしている。

 この点アニメ1期で彼女の居室(和室6畳)が映し出されたのを根拠にボロアパートと早々に決めつけたネット民は糾弾されなければならない。

 離婚した父親がプロのユーフォニアム奏者(wikiによれば全国で15人、 「ユーフォニアム奏者リンク」 によれば24人、という最高裁判事並みにレアな存在である。大使も含む認証官のほうがまだ人数が多いはず…。)であり、小学1年生の時に彼からユーフォニアムが送られてきたのをきっかけに、吹奏楽への道を歩みだしたという。その父親は進藤正和という名前で、これが芸名でなければ離婚後にどちらかの側の姓が旧姓に戻った(復氏した)ことになる。
 離婚は穏当なものではなかったらしく、あすか先輩の母は元夫を快く思っていないようなので、離婚後に遠藤姓を継続して利用する(民法767条2項。要離婚後3カ月以内の届け出)つもりは毛頭なかっただろうが。
 3のネタバレになるが、あすか母は強烈な(自分の価値観を人に押し付ける、先輩曰く「束縛が激しい」)性格で、作中分かるだけでも2度娘を殴っている。平手打ちだが、頬が傍目にもわかるほど腫れ上がっているので、診断書を取って宇治署へ行けば傷害罪(刑法204条)で届けが出せるだろう。初犯で家庭内だから起訴猶予かせいぜい罰金刑と思われるが。

【先輩を法的に救おう】

 ところで北宇治の腑抜け教頭と滝先生はあすか先輩が殴られているのを現認しながら何らの対応もとっていない。許せん。
 
 このことは公立高校の教員として何か法的責任が生じるのではないか。
 
 まず、あすか先輩は大人びているが、殴られた時点では17歳の高校生であるから、児童に当たる(児童虐待防止法(以下法とする)2条柱書)。
 そして学校教員には法5条1項によって児童虐待の早期発見が求められており、また国民一般には法6条1項では発見時の児童相談所への通告が義務付けられていることから、当然教員には児童虐待を現認した場合に通報する法的義務があると言える。

 あすか母は職員室において、あすか先輩の頬を殴っている。頬が腫れ上がっていることから、あすか先輩の生理的機能を害しているといえ、この行為は傷害罪(刑法204条)が成立する。当然ながら、傷害罪が成立するような行為は民法822条の懲戒権の適用外である。そしてこのようにあすか先輩という児童の身体に外傷を負わせる行為は法2条1号に該当し、虐待である。

 腑抜け教頭は目の前で虐待を現認したにもかかわらず、児童相談所に連絡することなく、逆に滝先生に小言を言うなどして過ごしている。これは上述の義務違反を構成する。違反についての罰則はないが、府立高校の教員ゆえ地方公務員法教育公務員特例法に基づいて懲戒処分を受けることになろう。2010年には都立高校で痣のある生徒がいたのに校長が通報を怠って問題になり、教委が指導したというのに呑気なものである。

 あすか先輩がその場で周囲を制し、母親を宥めて連れ帰ったという事情があるからといって、上述した法的義務がなくなるわけでもない。被虐待児童には虐待者を庇う傾向などもあることから、その場での対処が困難であったにせよ、事後において積極的に専門家である児童相談所と連携し、母と娘から別々に事情を聞くなどすれば、1カ月弱のちに再び殴られる事態は避けられたのではないかと考えられる。

 そうすると、やはり北宇治の腐抜け教頭と滝先生は児童虐待を現認したにもかかわらず通報を怠ったとして、懲戒処分を受けることになる(受けてほしい)。
 また、これは民事の話だが、北宇治高校の児童を保護するという安全配慮義務違反を理由に、高校と教頭らに対し債務不履行に基づく侵害賠償請求をすることや、教頭と滝先生の過失により児相の介入を受けられず再び殴られるに至ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求をすることも可能であろう。北宇治高校は府立なので国賠も考えられるところである。

北宇治高校は府立高校ゆえ、賠償請求は府を相手に国家賠償法に基づいて行われることになる。
国賠法1条1項は「公権力の行使に当たる公務員」が「職務を行うについて(職務行為関連性)」「故意又は過失によって」「違法に他人に損害を加えた」ときの地方公共団体の賠償責任を規定する。
最判昭和62年2月6日は「公権力の行使」に公立学校における教師の教育活動も含むとしている。そして教頭と滝は公立である府立北宇治高校の教員である。そうするとこの2人は「公権力の行使に当たる公務員」といえる。
また、あすか先輩が平手打ちを受けたのは、職員室において、部活動の継続を教員、保護者、生徒の三者で話し合う場面であったことから、教員としての進路指導という職務の最中と認定できる。よって職務行為関連性も肯定される。
そして前述の通り教員には児童虐待防止法に基づく虐待の通告義務が肯定できるところ、この義務を怠っているから、少なくとも過失については肯定できる。
上記義務は法的義務であるから、違法性についてもこれを肯定することができる。
そして、あすか先輩は虐待への対応が適切に行われなかったことで1カ月弱のちに再び殴られたほか、部活動への参加も十分に達せられなかったことから、身体上・精神上に損害が生じていると言える。
以上から、国賠法1条1項の各要件が充足されるので府は国賠法上の賠償責任を負うことになる。

今回の場合教員に課せられた虐待防止の義務を怠っていることは明白と考えられるので、これを国賠法上の違法と評価すればわざわざ安全配慮義務を持ちだす必要はなかろう。
先輩は府を訴える前に母親をなんとかしたほうがよい気もするが…。

なお教頭や顧問への個人賠償責任の追及については、最高裁が昭和30年4月19日に公務員の個人責任を否定する判断を示していることから、認められないと考えられる(但し故意または重過失がある場合に限って個人責任を肯定した下級審裁判例はある)。よって上「民事の話云々」の記載は誤っているので訂正する。法学部卒なのに情けない。。

賠償金額については、数万円から数十万円が限界かと思われる(ので和解の可能性もある)。平手打ちだし、結果的に部活に参加できているからね…。
与太話だが、生命侵害や税務訴訟を除いた、損害が抽象的な国賠請求(接見妨害とか手続的違法、立法不作為などを争う場合)では、賠償認容額で裁判所の怒り度がわかるという噂がある。数千円〜数万円の認容(在外日本人選挙権確認訴訟で5000円(請求は5万円だった)、)なら「違法」と認定してあげただけ。数十万円で「まあ責任あるよね」。百万円の大台に乗ると「てめぇぜってえ許さねぇからな」(長官銃撃国賠訴訟で100万円の認容、1審では「我が国の刑事司法制度を根底からゆるがす重大な違法性を有する行為」と述べ謝罪文交付も命じるなど判決文からも司法が行政に軽んじられたことへの怒りが伝わる。(なお請求は5000万円))とか。もっとも認容額は被害が回復している状況とかも考慮するので、本当に眉つばレベルの話ではある。

 法的な話を離れると、虐待となればあすか先輩は十中八九里親家庭に送られることになり、新しい環境で慣れない中コンクールの本番を迎えるのは、それはそれであまりよくないのではないかとも思える。しかし、もし久美子がいなかったら、あるいは模試で30位以内の成績を取ることが出来なかったら、コンクールそのものに出られなかった可能性が高い。ここはやはり、腑抜け教頭に動いてもらうべきだったのだろう。先述した都立高の件では最初に虐待の痕跡を見てから3カ月後に再び見つけた際に、業を煮やした担任が独自に児相へ通報して生徒が助けられたそうであるから、腑抜けが動かないなら滝先生が独自に動くべきだった(そうしなかったので滝先生も同罪と言えば同罪である)。ところで担任の先生は何をしているのですかね…。職員室で生徒が殴られたのに教員が誰も動かない北宇治、MBSの憤懣本舗あたりで晒されるがいいや。産経関西でもええで。あと左派系地方紙京都新聞とか王道を行く朝日新聞大阪本社、共同通信もいいねぇ。中日の特報欄では関西だと誰も読まないのでNGで。

【貧乏キャラ?】

 あすか先輩は模試で全国30番を1度取れる程度に優秀なのだが、「半数が専門学校か就職」の北宇治に在籍し、「家から近いからこの高校を選んだ」という。このことから教育にあまりお金をかけられないことが推察され、ゆえにネット上では上記のような決めつけが横行するくらいには貧乏キャラとして扱われている(例によって援助交際をしているというクソみたいな風評を巻き散らかす輩もおり、ほんとうにひどい。名誉棄損だろ。)

 では本当のところはどうか。彼女は母と2人で宇治市内の戸建てに住んでおり、その古さからは持ち家と推察される。祖父母の援助があるか、また進藤正和はきちんと養育費を払っているか(注1)にもよるが、あすか先輩の母親は遅くまで働いているそうなので、余裕がないのは間違いない。
 あすか先輩は朝4時起きだという話が2に出てくるが、新聞配達のバイトでもしているのかと思えば働いている描写はないので、収入源は母親の労働である。母親を40代と仮定すると、その平均年収は高卒非正規ならば約230万円、大卒正規雇用で6〜700万と大きな差があり、格差社会くそくらえという気分になるが、230万円ならば持ち家といえどかなり厳しい状況である。プロのユーフォニアム奏者と知り合い、結婚するくらいであることと、フルタイムで働く描写からは、大卒正規雇用の可能性も十分あるが。

(注1: 日経報道 によれば厚労省調査で「離婚母子家庭で養育費を受けている割合は1983年の11.3%から98年は20.8%まで増えたが、その後は横ばいで2011年は19.7%だった」そうなので、不払の可能性が高い。北米なら警察案件なのだが。遠藤さん、ユーフォ送るんもええけど金もちゃんと送るんやで…)


【なにゆえ北宇治に?】

 ここまで書いていて矛盾を感じた。あすか先輩の母親は「いい大学に行って、いい人と結婚して幸せになるべし」という昭和女子なお考えの持ち主である(ゆえにあすか先輩退部の危機!、となるのだが)

 では、いい大学に行かせる意思を持っているのに、いい高校に行かせる意思はないのだろうか。2010年以降ならば公立高校の学費は無償であり、私立でも就学支援金が得られるはず。宇治市ならば市南部の私立洛南(近鉄の東寺駅から歩けそう。06年から共学化)が近く、府立堀川(地下鉄の四条駅が最寄り。京阪の祇園四条から歩けなくもない)辺りでも十分通学圏内だろう。より近い深草にはスーパーサイエンスハイスクール指定校であらせられる京都教育大学付属高校もあり、それがなぜ近いだけの北宇治に通わせたのか不明である(なお北宇治高校自体は六地蔵駅が最寄りである。)
 これらに挙げたような高校ならば、部活は高校2年の冬で引退か、高3夏が限界で、あれほど揉めることもなかっただろうに、この点は母親の選択ミスである。それを棚に上げて娘を殴るとかまあ言語道断ですわ。

 これら進学校にあすか先輩が通ったとしてどうなるか。たぶん同じ能力の方々が大量にいて、それはそれで北宇治のように天下が取れず苦しんだかもしれない。しかし全国模試30番ならそうした進学校でも上の方に居られる(30番はそんなに簡単ではない。関西だけでも灘とか東大寺とかあるんやし…)ので、話が通じやすく案外楽しんだ可能性もある。

 くそどうでもいい余談だが、筆者は中部圏の進学校出身である。そこでは高校2年からA群B群と成績別文理別のクラス編成がされており(作中の吹部のようだ…)、上位のクラスではあすか先輩並みの能力者で1クラスが編成されているのを目の当たりにした。田中あすか×30とかいくらなんでもこわい。筆者は2年連続文系B群だったので上位A群クラスがどんな雰囲気だったかはよくわからないが、きっと皆さん理知的で穏やかだったのでしょう。なおそこでさる教師から、「一定レベル以上の大学に進むべし。そうしないと君らはきっと周囲と話が合わず苦労するから。」と言われた。彼は(規模が)マンモスで有名なN大に文系で進んだ先輩らが後悔している話(「漢字でしゃべるな」と言われたらしい。後年N大の方と知り合ったが、普通に優秀そうだったのでいったい何だったのかという気持ちはある)を傍証にしていたが、まあこの辺りは人によるだろうとも思う。あすか先輩の北宇治での様子を見ると、周囲と話が合わないというのは感じない。自分に引き直せば、話の合わない奴はどこにでもいるし、合うやつも探せばいる(が上位の方が数としては多い)、が実感ではある。

 ところであすか先輩は「歩くwikipedia」(これはwikipediaが何たるかを知っている人間には「お前は根拠不確かな話と声優とアニメばっかに詳しいな」という侮辱にしか聞こえないのだが)とあだ名されている。学校には上位に行けば行くほど「歩く辞書」が転がっているので、この点からするとやはり先に挙げた各学校に行った方が生き生きしたかもしれない。私もあすか先輩と生き生きとした会話が楽しみたかった。

 もっともあすか先輩は周りとなれ合うタイプではなさそうだから、そうした上位校でも結局は今と変わらないポジションだった可能性も高い。
 作中分かるだけでもあすか先輩のもっとも親しいと目される人間は中世古香織で、その次は小笠原晴香部長か。斎藤葵とはそこまで親しくないといった印象を受ける。あれだけ吹奏楽部に人間がいながら本当に親しいのは2人だけで、卒業式もクラスの”親衛隊”から逃れている描写があるとすれば、社交的でありつつも自分をさらけ出すのはごく一部、というスタンスなのだろう。家にまで招かれた分、黄前久美子は後輩ながらあすか先輩と中世古香織並みには親しくなったと言え、久美子が飲酒可能な年齢になればあすか先輩と居酒屋でサシ呑みしていてもおかしくはない。久美子には「よい先輩を持ったね…」と言いたいしあすか先輩には「よい後輩をお持ちですなぁ。」と言いたい。そして私もサシ呑みしたい。
 
 なお異性関係については描写が殆どなく(あったらあったで多数の死者が出ていただろうが)、描写がないから想像し放題、ともいえるし、北宇治の男どもが一切相手にされていないという推定を働かせることもできる。一般に女子の方が、心身ともに発育が早く、中高の間は同世代の男が幼くアホに見える(もしかしたらその後も)から相手にされなくても仕方ないね。北宇治だし。なかなか真面目で性格もよく責任感あって優しい秀一君は稀有な例かもしれない。そんな秀一を捕まえた久美子は偉いし、葉月ちゃんが好きになってしまうのも仕方がない。

【異性関係】
「響け!ユーフォニアム」の番外編である短編集「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」を読んだ。中身の半分は既に宝島社のサイトに掲載されていたものである。それゆえ、あすか先輩の進学経緯などは既知の話であったが、気になったのは吹奏楽部男子勢の中でのあすか先輩の評価である。
139ページから始まる「背伸び」という話では、吹奏楽部内で少数派である男子たちの会話がある。
ここで話の視点は久美子の幼馴染である秀一君。「モテたい願望」が強い2年滝野とその子分で1年瀧川の救いようのないくらい知性の低い会話(秀一君曰く「馬鹿」)が冒頭から数頁続くのだが、ここ注目すべきは次の2つのせりふである。

瀧川「中世古先輩って超美人っすよね!田中先輩もやばいっすけど」

滝野「マジで中世古-田中ペアはやめとけ。あのレベルは相当の男やないと、告白しただけでほかの女子から袋叩きにされるパターンや」
(p143より)

本人に冷たくあしらわれる、というのではなく(所謂親衛隊であろう)周囲の女子が忖度して潰しにかかるだろう、という認識をされている辺りであすか先輩の北宇治内での立ち位置がうかがわれる。北宇治女子は指定暴力団なのか(l困惑)。あすか先輩が使用者責任問われたり、袋叩き(暴行)の共謀共同正犯認定でぶち込まれちゃうヤバいヤバい。

中世古先輩とセットで考えられているところから、あすか先輩がよく中世古先輩と一緒にいるところが目撃でもされているのだろうか。

彼らがそもそも証言者として信用に足るかどうかは疑問符がかなり付くが、あすか先輩を北宇治の男どもがどのように見ているかという点については、資料としての価値が無くもない。

そして、あすか先輩がおそらくは北宇治の男どもを気にも留めていないだろうことは、アニメで恋人の有無を尋ねられた際「私の恋人はユーフォニアムさんただ1人」と述べていることからも容易に推測できる。そもそも学年トップを誇る彼女の成績では、同じ学校の男子が阿保に見えて仕方が無いだろう。

なお「ユーフォニアムが恋人」というのは、彼女の父親がユーフォニアム奏者であることを考慮に入れて考えると、真面目な吹奏楽部員の鏡と言えそうな「楽器が恋人」という表現が、それ以上の意味を持ってくる。

駒場出のドイツ留学中の研究者がtwitterで本作を「エディプスコンプレックス」と一蹴していたのはこの辺りに由来するのだろう。
まだ見ぬ高名な父親に、自分の演奏を認められたいという願望が恋愛感情と言えるかはわからないが、厳しい母親に耐えてでも父親を想起させる楽器にしがみ付くのはそう評価されてもおかしくはないか。

父親をフルネームかつ呼び捨てで呼んでいたので、心酔している印象ではなかったのだが、これは久美子の前で強がっていたともとれる。

こうした繊細な事情を受け止めきるレベルの男子がいれば、あすか先輩の心が動かされる可能性はある。

中世古先輩がどこまで彼女の事情を知っているかは不明だが、久美子をしてかなりかかってようやく内面まで踏み込めた、という具合なのであすか先輩を射止める道の険しいことよ…

さて、北宇治の男子が阿保に見えて仕方が無かろうと先述した。中世古先輩の成績がどのくらいかは不明だが、仮に自分が飛びぬけて美人で成績もよい場合、どこで男子を探すか、という点で1つ思いつく行動がある。

東名阪の大都市圏にあるその都市トップの男子校では、文化祭が近隣の女子校からの来訪者で溢れるという。

なかには自校の男子に飽き足らず出張ってくる共学の女子もいるとか。

中世古先輩やあすか先輩、北宇治男子に愛想を尽かし、連れだって京都トップの私立男子校に赴き、頭もよく金満なイケメン男子を物色しているのではなかろうか。

もちろん中高時代の関係が続くのは稀有であるから、その後を見据えてという行動ではない(どうせ東大に行けば東女日女が、京大に行けば京女が出張ってくるのでそれらと戦わなければならないし)。しかし貴重な青春のパートナーを低レベル男子の中から不美人投票で選ぶくらいなら、チャンスを増やす行動に出るのではなかろうか。

付言するに、男子校にいても、こうしたクルージングの恩恵を受けられる層というのはカースト上位の「運動部・イケメン・会話上手・金持ち中の金持ち」に限られている。観測範囲では「運動部・なかなかのイケメン・押しの強さ・会話力」の総合評価という感じだったが(金持ちなのは誰も彼もそうなのであまり差が出ない。親が金持ちでも当人に裁量が無ければ財布は素寒貧であるし)。

どんどん内容に夢が無くなって行きますなぁ…。

<アニメ2期スタート後>

響け!ユーフォニアム、劇場版に続いて2期の製作も決定し、2016年10月から無事に放映が開始された。

劇場版は、消えるエジョフならぬ消える斉藤葵が生じていることと、本筋に関係ないエピソードが削られている以外は1期と変化なく、むしろ程よくまとめられておりました。
よく観たら瀧昇がマジョリタリアニズム(多数決主義)に陥っていたのではなく、あすか先輩の提案によって多数決で目標:全国が決定されたことが判明!なんてこったい…
そして音響と画が大変高品質になり、演奏シーンが多数追加されていたので大満足。
特典クリアファイルとして3年生の3人が写る物が手に入ったので最高である。

そんな劇場版の余韻をかみしめつつ、秋の放映開始を心待ちにしていた。

するとどうだろう、第1回は1時間拡大スペシャル!素晴らしい!

そこでわくわくしながら録画を再生すると、最初の場面にはノートを持ち茫然とたたずむ黄前久美子…

これってもしかして…

私たち…

入れ替わって(ry

もとい、3巻のラストを想起させる場面ではないか!

ここで、原作3巻のうち、2巻を2期で、3巻を3期もしくは劇場版でという流れは潰えたことになり、1クールで2〜3巻を一気に進めることが判明したのだった。

2巻は関西大会までで、中身が盛り上がりに少し欠ける部分があったので1クールにするのは厳しいだろうという想定があった。
ゆえに「やはりか…」という気分ではあるが、ちょっと寂しかったのも事実。
あすか先輩に会えるのが残り2カ月だけなんて…(T_T)

しかし、2〜3巻を1クールにまとめるということで、作品にメリハリが出てきて、これまで(4話まで視聴済み)のところ全編見どころしかない、という具合なので最高でもある。

ところで今期のあすか先輩、話があるという後輩に対して「もしかして恋の話??」と茶化して返す場面が2つあるのだが、あなた1期で「恋愛にクソほどの興味も持たない」態度でいたんでは…と思ってしまう。
人の恋愛話を上辺は聞いて楽しむが、一切興味を持たないということなのかもしれない。
しかし返答が判で押したかのように「恋愛の話題?」と言うの、脚本家が男だからか、発想が貧困に思える。あすか先輩が頭良くない人に見えてしまい、つらい。。

先輩が北宇治レベルまで落として下さっているのかもしれないが、現実で茶化すにしても「恋の話?^^」というのは筋が悪いように思える。

普通に「何々?どしたー?」みたいに聞いてくれたらええんやろうに。

とまあ男子校出身者があれこれ首をひねっても、脚本家以下の発想しか出てこなさそうなのでこのくらいにしておこう…。

ひとまず日記に書いたエルロイあらすじ改変で、原作2巻の内容を示しておきますね↓

「2016年、夏——傘木希美の復帰に揺れる吹部。希美の過去を追う若き1年生久美子。復帰を妨害し大会突破を狙う副部長あすか、希美復帰に怯えるオーボエのみぞれ。策謀と欲望の迷宮で翻弄される3人の少女たちは、暗い道の果てに何を見るのか?」

暗い道(廊下)

ここには出せなかったけど実際には吉川優子大活躍だったという

ところで、この傘木希美、アニメではスタイル良く描かれていましたね。京アニよ、2話のプール回、会話シーンなのに水着の胸にピントが合っててけしからんぞw

このプール回、あすか先輩の水着姿が拝めるという素晴らしい体験が出来たので幸せです。中世古とお揃いという指摘が一部でされていた模様。

6話では待望の文化祭!

冒頭の演奏会ではタクトを振るあすか先輩が楽しめました。挨拶までこなして…小笠原部長の立場無くなるよ…

そして、魔女っ子あすか先輩最高や!!

晴香部長もいるなんて、占いに通い詰めたいあのクラス…

あと高坂麗奈の「ウエイトレスさん?」が地味に良かった。高坂さんの評価が持ち直した。

明らかに1期<2期になってるのは何だろう、キャラが増えて脇の話が充実したからかな?

1期では買わなかったTRUEのOPも買ってしまったよ。


なお筆者はPCの壁紙を当然あすか先輩にしているのだが、そのPCにジュースをこぼしてしまったため、点検のために日本橋のド○パラへ持ち込むことになった。

裏ぶたを外し、ざっと点検してもらったところ、さいわい中までジュースが浸透していなかったようだというのが分かりひと安心。

そして元に戻した後、起動チェックのため電源を入れ、ログイン。

見目麗しいあすか先輩のバースデードレス画像(by京アニショップ)が鎮座する画面が表示され、気まずい空気が漂ってしまった…。

そこで「壁紙変えてくるべきでした…///」と言うと

何と店員が「僕も今期見てるんで大丈夫です(^o^)」返してくるではないか!

そこで少しだけユーフォトークを楽しむことができたのだった…。さすが西のヲタク街に立地するPC店。

その店の好感度が一気に上昇した瞬間だった。

さて、物語はいよいよ佳境。アニメ8話では上述した児童虐待シーンが改変されずに出てきました。母親ゆるさねぇ…傍観した滝&教頭ゆるさねぇ…

なおあまりに腹が立ったので文部科学大臣メッセージを雑コラで作ってしまったのは内緒。

9話ではあすか先輩宅が登場。予想を裏切る大豪邸になっていて、ますます「なんでこの子が北宇治に?」という気持ちが強くなった。

あとあすか先輩のデスクの上にはなぜか六法全書が。我が方の人間を志すのは嬉しくもあるが、京府医とか医学部志望の方がいいのでは…と思ったりもした。

そういえばあすか先輩が文庫本を読むシーンはきちんと挿入されていたので嬉しかったです。想像通りカバーかけて読んでました。しかし厚みがそんなに無かった…。むむむ。

靴ひもを結ぶ香織先輩を見下ろす顔は怖かったですが、原作にそんな描写あったかねぇ。

そんなユーフォも最終話まで見ました。退部してしまおうとするあすか先輩を引きとめる久美子ちゃん、素晴らしかったですねぇ。黒沢ともよさんの自然な名演技、アニメ史に残る出来でしょう。

肝心の全国大会は、演奏シーンバッサリカットという斬新な演出でした。まあ、あれはあれで全体の流れで見ればいいのかもしれない。サントラにはちゃんと全国大会の音源が入っているので、いずれ劇場版で使われることを期待しよう。横山秀夫「64」を彷彿とさせる(自分の中限定)あすか父と滝先生のトイレでの邂逅は描写されず、ちょっと残念。。

ロクヨンが出てきたので恒例のあらすじ改編。

「ユーフォニアム奏者で姉が帰省中の低音パート・黄前久美子。田中あすかと希美復帰問題で揉める中、“昭和64年”に起きた北宇治史上最悪の部員大量退部事件への警察庁長官視察が決定する。だが希美からは拒否され、中川からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

田中あすかとの軋轢、希美をめぐる中川と吉川の全面戦争。その狭間で北宇治が抱える爆弾を突き止めた久美子は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕した北宇治高校吹奏楽部をさらに揺るがす事件が—。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。」

前にやったドンウィンズロウのほうが改変しやすかったな。警察庁長官はあえて残しました。文科大臣ですらないので管轄違いも甚だしいw

ちなみに全国大会の会場は名古屋・神宮前近くの名古屋国際会議場だったので、地元民としては大変うれしい。京阪バスで亀山ジャンクションを通る描写もあり、ユーフォが大変身近に感じられる。

全国後の部の様子も描かれ、最高の最終回でした。あすか×久美子を思わせる描写は尊い…
原作では秀一とくっつきますが、アニメ版でそんな進展するほど絡んでなかったからまあこの改変は止むなしと言えよう。なおtwitterでは「アニメ版ではあすかエンド、小説版では秀一エンド、ゲーム版では姉エンドといろいろ選べるんでしょ知ってるんだ!」というファンの叫びが見られました。

ユーフォはヤマハと提携し、演奏練習アプリを開発。ver2からあすか先輩直々のご指導を受けられるとの情報を耳にしたので楽器もないのに早速ダウンロードし、ユーフォ仕様の教本まで買ってしまいました。これは春から楽器を始めんといかんかもねぇ…

つづく


こんなへんてこな文章を読んでくださってありがとうございました。お帰りはこちら⇒  戻る

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