このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
終着駅への旅(鳥羽・伊勢奥津編)
平成14年3月17日、午前7時50分、名古屋発鳥羽行き快速「みえ51号」は定刻通り名古屋を出発した。この列車は、二両編成で、前の車輌の半分が指定席という変わった編成になっている。私が座っているのは指定席だが仕切りもなく、自由席と変わりない。指定席に乗っている人は半分も居らず、寂しい限りである。これよりあとに9時10分発の快速「みえ1号」があるのだが、予約状況を見たら満席であった。この列車が土曜・休日のみ運転であり、あまり知られていないからなのかもしれないが。あまりにPR不足である。車掌が「毎度ご乗車ありがとうございます。これより切符を拝見させていただきます。」と言い、帽子を取って頭を下げる。なかなか気分がよい。「青空ワイドフリーパス」(指定された区間でのJRの普通・快速列車乗り降り自由の切符。3570円。)と指定券を見せ、伊勢鉄道線(河原田から津を結ぶ第三セクター)の切符を買う。 なぜ伊勢鉄道線の切符が要るのかといえば、この列車はショートカットのために遠回りの関西本線を避けて、四日市と津を短絡する伊勢鉄道線を通るのである。その為、JR線経由の切符ではこの区間が通れないので別に切符がいるのである。
列車は快調に飛ばす。最初の停車駅である桑名を過ぎると、四日市コンビナートらしきものが見えはじめる。四日市の手前にある貨物ターミナルにはタンク車がたくさん停まっていた。四日市を出て2駅ほど進み、河原田駅にさしかかると、列車は先ほど説明した伊勢鉄道線の高架上を進む。だんだん関西本線が遠ざかっていく。そしてついに森の中へと吸い込まれていった。列車は複線高架の上を行く。この辺りには「鈴鹿サーキット稲生」という駅があり、快速「みえ」も臨時停車する時がある。しかし、周りは水田ばかりで、こんな所にサーキットがあるのだろうかと思う。中瀬古駅を過ぎ、単線になった線路を進み、8時40分、津に到着。この駅は日本一短い駅名の駅だということで有名である。津を発車すると近鉄と並行しながら松阪駅へと向かう。この列車は紀勢本線という非電化単線の線路上を走っている。列車本数も少ない。それに対して隣は標準軌で複線電化の日本最大の私鉄である近畿日本鉄道で、特急、急行、準急、普通などいろいろな列車が頻繁に走っている。これではJRにはあまり勝ち目がないように見える。そんな強豪を横目で見ながら8時55分、松阪に到着。この駅からは名松線が分岐しており、この線に乗ることが目的でこの旅行を計画したのだが、参宮線(伊勢市と鳥羽を結ぶ)に乗っていなかったのでひとまずは素通りする。松阪を出ると、並行していた近鉄が離れてゆき、風景も田舎らしくなる。10分ほどで多気駅に到着。紀勢本線と参宮線の分岐駅である。向い側のホームには新宮行きの気動車が停車している。9時6分、発車。いよいよまだ乗っていなかった参宮線の線路上を行く。風景はあまり変わらないが、伊勢市駅に近づくにつれて、だんだん家が建て込んでくる。伊勢市駅で再び近鉄と合流した後は、また近鉄とはなれて進み、二見浦駅あたりから海が見えてくる。そして臨時駅の「池の浦シーサイド」を過ぎると海上に突き出た築堤上を走る。築堤の両岸には船が係留してあり、変な感覚に陥る。再び近鉄が近づいてくると終点の鳥羽駅である。9時32分の到着。
↑鳥羽駅ホーム。後ろは近鉄。 ↑鳥羽駅に到着した快速「みえ」。乗客の変動は少なかった。
列車から降り、写真を撮ってから駅舎に入る。中は広く、土産物屋が2階にあったが、人がほとんどいなかった。
←鳥羽駅の写真。近鉄とJRの力関係がはっきり分かる。
駅前に出る。次に乗る列車は10時31分発の快速「みえ8号」なので、まだ時間があり、その間に周囲を散策する。数分歩くと海にでる。そして更に10分ほど歩くとミキモト真珠島や遊覧船発着場があった。駅へと戻り、近鉄側の駅舎へ向かう。そこは観光客で騒がしく、JR側とは大違いである。快速「みえ」の運転により少しは乗客を取り戻したらしいが、これではやはり勝ち目がないだろう。土産物を物色していると、時間が来たので何も買わずにJR側の駅に向かう。JR側では数十人の観光客が車内におり、快速「みえ8号」の発車を待っていた。
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