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アメリカ西海岸訪問記その3


3月7日(金)
この日は南カリフォルニア大学(以下USC)を見た後、ハリウッドに行く予定である。使うのは地下鉄とあって、少しわくわくする。

ワッフルを焼いて朝食を取った後、出発。まず郵便局に寄って、Yがはがきを出す。昨日Yが切手を買っていたのを思い出し、私もここで切手を買った。ハリーポッターのだけを買おうと思ったが、「ハリーのだけお願いします」という英語力が無かったのと、折角の記念だと思い、35ドル出して当時売っていたすべての記念切手を買う。

その後いよいよ地下鉄に乗るため、7thストリート駅構内へ。駅構内は薄暗く、ホームレスが寝ている場所もあった。
TAPカードというICカードにお金をチャージする。私は忘れたので買うことに。まごついているとおじさんが助けてくれる。どこから来たか聞かれたのでジャパンと答えると、「コンニチワ!」と知っている日本語を返してくれる。おじさんのお蔭で1日乗車券分(5ドル)が入ったTAPカードが無事発行された。

しかしYのほうは違った。10ドル札を入れると、機会はそれを吸い込んだものの、上手くチャージしてくれない。困っていると今度は若い長身のお兄さんが助けに来てくれた。しかし若いのと、強そうなのと、なんて言っていいかわかんねぇ、というので手を借りるのに尻込みしていると「せっかく人が助けてやっているのに」という感じの事を言われているようで、ちょっと険悪な雰囲気になった。
結局そのお兄さんの手は借りることは無く、Yのなけなしの10ドル札は文字通りロサンゼルス郡都市圏交通局(LACMTA)に吸い取られたのだった。お兄さんよ、Yよ、役に立てずすまねぇ。

そうしたハプニングもありながら、なんとかホームに降りる。この駅は乗り換え駅で、路線が幾つかあるので迷わないようにしなければならない。幸い路線ごとに色が分けられていて、USCの最寄りであるJefferson/USC駅はエキスポラインと呼ばれライトブルーの色が付されていた。車両は黄色帯なのだが。路面電車っぽい2両編成が2つつらなっていた。

←駅では緊張していたので、無事列車に乗りやっと撮った写真がこれ

軽いアナウンスの後、発車。発車メロディなんていう洒落たものは無い。
車内はそんなに混んでおらず、自転車を持ち込む兄ちゃんがいた。
列車はすぐに地上に出て、路面電車のような区間を走る。駅も路面電車のような簡易なものである。なるほど、これがLRTか。
いちおう専用軌道のようなところを走り、ハイウェイの下をトンネルでくぐって大きく右に曲がったところで目的の駅に着く。15分ほどであった。


↑貫通路なんてものは無い。                              ↑シングルアームパンタ


↑JeffersonではなくExpoで降りちゃったてへぺろ                 ↑むかしはこんなんでしたよ〜という説明が何とホームに

ホームには大麻の吸い殻のような燃えかすが転がっており、渋い。USC周辺は治安がよろしくなく、ギャングの抗争の流れ弾でアメフト部員が死んだこともあったそうである。そそくさと駅の写真を撮ると、USCキャンパス内に入る。
キャンパスは私学だけあってとてもきれいで、お洒落な煉瓦調の建物が並ぶ。




USCはUCLAと違い、コンパクトな感じであった。皆自転車で移動するようで、駐輪スペースに自転車がたくさんあった。マウンテンバイクタイプが多い。
そんな自転車の中をシマリスのような小動物がちょろちょろと走っていた。もしかしたらアライグマやスカンクなのかもしれないが、すばしっこ過ぎて写真には納まらない。
とりあえず売店のある建物に入る。
Yは職業柄か、アメリカの健康食品に興味があったようで、ここにあった薬局でグルコサミンを買い求めていた。文系ながら「経口摂取では意味が無いのでは?」と聞くと、「そういうこと言わないの」とたしなめられた。理系らしからぬ対応に困惑するも、悪い気はしない。


↑キャンパスには噴水まである。シャレオツ。                     ↑もちろん?芝生も完備。

そしてここUSCでは、Yが将来に備えて医学部(メディカルスクール)を見たがっていたので、それを探す。
するとどうやら、キャンパスが違うらしい。日本の大半の医学部と同じく、大学病院に併設されているがゆえに、他の学部と隔絶しているようだ。
キャンパス間バスに乗って、LA市東部にあるUSCメディカルキャンパスに向かう。


↑この赤いバスがそう。料金はかからない。                     ↑途中通るユニオンステーション

バスはほぼ満席といった感じで、2人がけの席に身を寄せ合って座る。相変わらず椅子が固い。日本の市営バスや京王バスとは雲泥の差である。

30分ほど走ってLAの鉄道の中心駅ユニオン駅に着く。どうやらスクールバスとしての役割もあるようで、ここで少し客が入れ替わる。そこからさらに20分ほどで、愛知・長久手の造成地のような場所に瀟洒なビル群が見え、それがUSCメディカルであった。


↑病院入口っぽい                                     ↑美術館かオフィスのようだが大学である

キャンパスマップなどはなく、とりあえず病院らしき建物に入る。小さな売店があったのでそこでUSCグッズを買う。


↑USCの紋章                                       ↑病院の理念

Yがおばさんにメディカルスクールの位置を聞く。親切に教えてくれたが、病院の職員らしくキャンパスの細かい配置までは分からなかった。
とりあえず示された方向に行くと、がんセンターの看板などが見え、そこを抜けると中庭があり、学食とスタバがあった。


↑中庭。寝ころぶ学生がいた。                             ↑USCの文字に刈られた草

近くの建物には薬学部の表記などもあり、ここが医学系の教育の総本山らしい。良い時間なので昼食を採る。
チキンブリトーとスタバのラテを買い、フィッシュアンドチップスをYと分ける。。注文時に名前を聞かれたが、やはり日本名は聞き取りにくいらしく、謎の人名が書かれていた。


午後はハリウッドに行く予定なので、乗ってきたバスでユニオン駅に戻り、地下鉄に乗る。車社会LAの鉄道駅らしく、ターミナルのはずなのに人が少ない。
建物はきれいで、警官も巡回していたからそこまでの危険は感じなかった。夜はまた違うのかもしれないが。


↑駅の看板                                         ↑エスカレーターの上にある絵


↑改札口にはK-9ユニットらしい保安官助手が警戒に立つ(ワッペンがLAPDではなかった) ↑券売機はこちら

路線ごとに改札口が違うようで、乗り継ぎなんかはどうなるんだろうか。


↑ホームに降りる階段の上から。天井が高い。御堂筋の一部の駅のよう。  ↑ホームの様子


↑日本にもあるよね出口の案内。                           ↑写真付きで分かりやすい!

「世界の地下鉄」(ぎょうせい)によれば、ロサンゼルス地下鉄はLosAngeles County Metropolitan Transportation Authority(LA郡都市交通局)が運営し、開業は何と1993年!余談だが映画「ヒート」のオープニングはこの開業前の地下鉄試運転の映像が使われている。
2次大戦前には存在した路面電車はGMの車普及を目論んだ買収工作によって姿を消し、LAが渋滞と排気ガスの街になったのは有名な話。
80年11月にようやく地下鉄建設の住民投票が可決され、90年代の開業に至ったそうである。
なおGMはその買収工作を問題視され、1947年には独禁法違反を問われたものの、「GMが買収したバス会社にGM社製バスの使用を強いた」部分のみがシャーマン法に触れただけというのもあり、その役員への罰金額はわずか1ドル(法人としても5000ドル)だったという…。

そんなLA地下鉄も今では5路線(うち3路線はUSCに行くときに乗ったようなLRT型)、延伸工事も行われており、LA市民の車社会脱却への強い意思が感じられる。


↑入線。アナウンスは無かったような…                       ↑ハリウッド映画とかで観ますよね、こういうの。

ホームを共用しているようで、レッドラインとパープルラインが交互にやってくる。ゆえに1本見送った。
レッドラインに無事乗車する。車内はそこそこ混んでいる。薄暗く、警戒感を強めているとLAPDの警官が乗車してきた。通勤途中らしい。これで車内も安全だ…とホッとしていると、知り合いに遭遇したらしく、握ったこぶしを突き合わせるギャング式挨拶をするなどとてもくだけた雰囲気であった。ゆえにあまりホッと出来ない…。

ハリウッドへは9駅もあった。しかもハリウッドだけで3駅あるので、降りる駅を間違えないようにとここでも緊張していた。


↑ハリウッド・ハイランド駅で降りた。駅は近未来SFかメン・イン・ブラックのオフィスのようである。


                          ↑駅前。観光地らしく土産物店が軒を連ねる。↑

とりあえずチャイニーズシアターへと向かう。途中大きなショッピングモールの中に総合案内所を見つけ、英語で案内マップを所望すると流暢な日本語で日本語版の案内マップが手渡され、拍子抜けした。

このショッピングモールからはあの有名なハリウッドサインが見えるようで、観光客が競って写真を撮っていた。新婚旅行らしい日本人もいる。

←やっと望遠してこれぐらい…

モールからチャイニーズシアターへは、日本人ガイドを雇ったらしい同胞の後を付いていく。道中やたらCDを配ってくるHIPHOPの兄ちゃんがいたのだが、そのガイド曰く「受け取ってはいけません」だそうである。Yが被害にあいかけて、その光景を見た後にガイドが注意していたのでYはご立腹であった。なお押し売りっぽい被害にあったのはここぐらいで、やはり観光地は逆に危ないという認識を新たにした。なおここにいるHIPHOPの兄ちゃんは自分たちで作った曲を売りこんでおり、CDを聞いて後から気に入ったらネットでそのアーティストの曲が買えるという仕組みのようである。しかし人によっては「受け取ったな。金を払え」という貝木泥舟のような輩もいる模様で…。
また有名人のそっくりさんやトイストーリーのきぐるみを着た人達も寄ってきてなかなかカオスであった。

そうして辿り着いたチャイニーズシアターはそんなに広くなく、中華風の建物の下に著名人の手形がびっしり敷き詰められている。


↑別に寺院ではない                                   ↑こんな感じ


↑これはマイケルジャクソン                               ↑ハリーポッターもありました

知っている俳優の物を見つけたりして喜んでいると、ごつい警備のおっさんが「プレミアが始まるから出てってね」という感じで人払いを始め、十分見ることが出来ないまま退散した。

↑ちゃくちゃくと進められる準備                             ↑これがレッドカーペット…!

そのままモールへと退却し、しばらくうろついた後、地下鉄で7thストリートまで戻って、ホテルに帰ったのだった。この日はホテル近くのファミマにも行ったりしてみたところ、さぬきうどんが売っていたりしていてなかなか日本を感じることが出来た。chikinとかかれたカップヌードルを買いホテルで食べたが、何故かカレー味がしてあまりおいしくなかったので半分残してしまった。なおドラッグストアにも立ち寄り、これまたアメリカの小説でおなじみダクトテープを購入。
客室係に壊されたっぽいスーツケースの取っ手を応急処置したのだった。ちなみにこのダクトテープ、日本に持って帰ってきたけど布ガムテープより耐久性もあって外にも使えるので便利である。



↑カップヌードル                      ↑壊れた取っ手。                     ↑ダクトテープ

テレビを付け、ニュースなどを見ていると「サンタモニカで銃撃事件、2人負傷」というヘッドラインが流れる。昨日夕食に遭遇した女子グループが翌日サンタモニカに行くなどと話していたのだが、Yが「これはもしや○○(管理人の名前)さんを怒らせたあの人たちじゃないですかぁ?」とからかってくる。面白い奴だ。


↑部屋のテレビ。ブラウン管現役である。                       ↑gleeのスー先生が出てた


つづく

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