このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

                                                                     
                                                                  

    
                         海と崖のある浜

三月に入ったとはいえ、海はまだ冬である。冷たい強い風が吹き、浜の砂が顔を打つ。痛い。こんな中を歩いている人はいない。 だが、そんな海のほうが自然のままでいい。

だいぶ歩いたので、昼飯を食べる場所を探す。よくしたもので海側を少し離れ、北側の崖寄りに進むと風は急に静かになる。 このあたりの浜は起伏に富んでいるので、西風をさえぎる場所がどこかにある。

まもなく、窪みになっていて陽のよくあたる場所を見つける。崖の裂け目を伝ってきれいな水がちょろちょろと流れてくる。地形から言って谷からしみ出てくる水である。ムスビをほおばる。持ってきた魔法瓶のお
湯を飲む。寒い所を歩いた後なのでうまい。 一番楽しい時でもある。水が流れている所なので、ヨモギやタンポポが育っている。春の味が懐かしく、摘んでリュックに入れる。

再び歩き始める。坂道を上り 、山側に出、今度は山の中を歩く。 日当たりのいい所でツクシを見つける。これも春の味である。 この時期は歩きながら春に出会うのが楽しい。少し行くと沢になっている所にでる。
思った通りセリが育っている。枯れ草をかきわけて下までくだる。 いいセリである。最近はめったにいいセリを見ない。田んぼで見かけることもあるが、うまくない。それに農薬の心配もある。八百屋で見かけるセリはもっとまずい。

早い春との出会いに満足して、思わず空を仰ぐ。

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