このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
6月のはじめ、そろそろ梅雨という頃、このコウボウムギの群生の中を歩 いていた。そして、思わずしゃがみこんで「ウーム」と、うなってしまった。 コウボウムギは雌雄異体である。咲き始めの頃から、 雌は、雄に対し圧倒的に優勢な姿を誇ってはいたが、この時期の雄、雌の違いには思わず目をおおいたくなるものがあった。雌が濃い緑色の堂々とした
コウボウムギ
雌=左手前、緑色の大きいもの 雄=まわりの茶色の小さいもの
春から夏にかけて浜辺を歩くのは楽しい。波の音はのどかで、浜砂にむらがる草花は、わずかな水分を求めて長い根をはり、けなげに咲いている。その中でもコウボウムギの群生は見事である。 それにハマヒ
ルガオのピンク、ハマエンドウの紫、ハマニガナの黄、ハマボウフウの白が加わると、浜のガーデンは完成する。
体躯を砂の上で誇っているのに対し、雄は茶色のひしゃげた姿となってその姿を砂の上に横たえている。辛うじて立っているものも、その姿はしょぼくれていて情けない。ためしに雄の穂の部分に触ってみると、さらさらと崩れ、風に舞っていってしまった。雌の方は穂に触るのも痛いくらいしっかりしている。無理に中を割って開けてみると、その一つ一つに、青い実が しっかり実っている。 ひからびた雄、つややかな雌、厳しい自然界の掟に、思わずため息がでた。
人間社会も、女性の力が強くなって、男性族にとっては、眉をひそめるたくなることも多いだろうが、案外、人間界も、自然の摂理に従うようになってきたのかもしれない。
コウボウムギの雌雄の姿が、最近の女性と男性の姿と重なって「うーむ」と、しゃがみこんでしまった次第である。
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