このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


                  
 夏の藪山

         
                                                     来た道を振り返ると
               
夏の藪山を歩く。人がいなくて静かだし、思い切り汗をかくのも好きである。それで、メインの道ではないが、冬にはよく通るわき道を選んで入る。だが、入ってみて嫌な予感がする。クモの巣がやたら多い。夏の藪山は何回も歩いているので覚悟はしていたが、少し多すぎる。それに草の茂り方も異常である。 今年のとてつもない猛暑のせいかもしれない。少々歩き疲れた頃、すぐ先の道の脇にマムシを見つけぎょっとする。
               
夏歩く時はゆっくり、丁寧に前方を見ながら歩く。クモだけでなくヘビが多いからである。シマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシの類はよくみるが、 幸いなことに 今までめったにマムシには出会わなかった。それだけに今回は緊張した。もっとも先日はトグロをまいているマムシに出会い、肝を冷やしたが、その時は広い林道、それにかまくびをトグロの中にうめて眠っていた?ようなので、1メートルばかり離れて通り抜けた。だが、今は狭い道のすぐ脇である。さすが歩けない 。それで相手が通り過ぎていくのを待つ。マムシは、動かない。 頭の部分が草に隠れて見えないのが一層不気味である。そのままじっとしているのに耐えられなくなる。意を決して脇を抜けることにする。よく見ると子持ちのマムシのようである。 子持ちのマムシはこわい。冷や汗が出る。情けないが神に祈るような気持でそっと抜ける。無事!ほっとする。だが、ほっとしたのもつかのま、右手でカサリと音がする。ビクリとする。と、すぐ前を別のマムシがよぎる。今日はやたらマムシについている。いや、この頃は、と言ったほうがよいかもしれない。

やっと頂上の開けた道に着く。メインの山道である。そして、やっと今来た道をふりかえる余裕ができた。「もう、いい加減、こんな山歩きはやめたほうがいい」と、思わずつぶやく。人の通らない藪山の夏である。何かあっても助けは期待できない。下手をすると、[山で死んでいた。」なんて新聞にでるかもしれない。さすがそんな記事はごめんである。

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