このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

               
                           奥の院

    
                                               砥鹿神社奥の院(岩戸神社)

寺や神社の奥の院は山の中に多い。人が集まる本堂や拝殿と違って粗末なものであるが、ひとの目を気にせず、澄んだ気持ちで参拝できるのがよい。また、そこを訪れる人達の信仰心は厚い。

本宮山は愛知県にも静岡県にもあるが、それぞれに奥の院がある。一つは砥鹿神社の岩戸神社、もう一つは小国神社の奥磐戸神社。あまり名前が似ているので聞いてみたら、同じ頃(約1300年前)、 同じような理由で両神社ともできたという。

砥鹿神社の岩戸神社を訪れた時のことである。細くて急な岩の階段を降りて行くと、下でかすかな人声が聞こえてくる。近づいてみると狭い岩場に跪いて、老夫婦が一心に祈っている。ロ ー ウソクには火さえ灯っている。急な階段、冷たい岩場、老夫婦の祈りから二人の悩みと苦しさが伝わってくるようで、それ以上近づけなかった。そして、そのままそっと引き返 した。

京都の鞍馬寺の山奥深い所でも、これとよく似た光景を目にした。一人の男が、やはり灯明をあげて大きな声で祈っていた。しかし、その時は何か鬼気せまる恐ろしさを感じて、あわてて遠く離れた所で引 き返した。まわりが木々に覆われいて、暗かったせいかもしれない。

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