このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
 
                                猿

    
                                           岩の広場にやっとそろった三匹の子猿
                              
動物園へ猿の写真を撮りに出かける。ホームページ「浜名湖花博周辺を行く」で動物園を紹介はしたが、それほど行きたい場所ではない。ただ、来年は申年、年賀状に役立てばというくらいのものである。それで動物園にいても、猿の走り回っている姿だけを見ている。だが、どうしても写真にならない。赤い顔、赤い尻、人間に似ているだけ実物を撮るのは気がひける。猿は十二支の中でも損な動物である。つい人間と比較してしまうから不細工な姿ばかりが目につく。

写真をあきらめて帰りかかった時である。突然、三匹の子猿が競争するように下から岩場を登り始める。岩場は垂直であるが、その中の二匹はまもなく平らな広場にたどりつく。だが、最後の一匹は広場の手前で動けなくなる。そう言えばそいつは最初からノソノソしていた。先に登った二匹は、動けなくなって岩にしがみついている一匹を、上から見下ろしている。そのうちに上のやつが手を出したり引っ込めたりして、下のやつにちょっかいを出している。「やれやれ、猿社会も人間社会に似てきたか。いじめっていうやつ、猿真似とはよく言ったものだ。」なんて変に感心している。ところが次の瞬間である。驚いたことに、上の猿はなんと下の猿の手をつかむと上の広場にひっぱりあげたのである。手を出していたのはちょっかいを出すためではなく、助けるためだったのである。この時はさすが自分ながら人間の浅知恵にあいそがつきた。

勿論、その瞬間、いや、助けあげた後の写真を写し、めでたい年賀状にした。上の写真は、当然、「助け上げた後」の写真。助けあげる瞬間の写真が撮れなかったのは自業自得と深く反省している。

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