このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

KATO製旧動力電機のスカート固定化





KATO(関水金属)の電機は、カップギア動力時代には、前面のスカートが台車に固定されていて、
カプラーと一緒にカーブで首を振る構造でした。通称「首振りスカート」です。
運転第一のNゲージ、実物よりもかなり急な曲線を通過させるための妥協だったのでしょうが、
これでは実感的とは程遠く、その後のTOMIXや永大が、カプラーは台車に固定しながら、
スカートは車体に固定するという方式を選択すると、
KATO製品の玩具っぽさが際立ってしまっていたものです。
(TOMIXなど他社製品は、カプラー部分のスカートを大きく欠き取っているので、
それも別の面でやはり玩具っぽいと言えますが・・・)

しかも、KATOのスカートはスケールより小さめに作られていました。
想像するに・・・・首振りスカートは車体との間にクリアランスが必要なので、上下寸法が短くなります。
そこで左右寸法も少し小さくして、スカートの形状のバランスを確保したのではないでしょうか。
しかしそのため、直線上にたたずんだ姿を正面から見ても・・・
スカートが小さくアンバランスで、玩具っぽさを強調してしまっていました。


左がスカートを固定されたフライホィール動力機、右が首振りスカートのカップギア動力機。
カップギア動力機のスカートの左右寸法が小さく、頭でっかちに見えます。

その後KATOが動力をフライホィール搭載にモデルチェンジした際、
この構造は見直され、スカートを車体に固定するとともに、カプラーのみが首を振る構造にしたのです。
スカートのサイズもスケールどおり、実感的になりました。
その差は上の写真のように、両車を比較すれば一目瞭然です。

そこで、最新ASSYパーツを使った、カップギア動力機のスカートを固定することを考えました。
最も簡単で、効果が大きいのは、やはりEF65でしょう。
製品の息が長いので、首振りスカートの製品もたくさん出回っているし、
一般色、特急色、1000番台と、あらゆるタイプのASSYパーツが簡単に手に入るからです。


ASSYパーツはこのような形態となっていて、「カプラーセット」と呼ばれています。
(写真はEF60特急色用なので、クイックヘッドマーク用のマグネットが付属)、
1両ぶん(2個)一組で売られています。

これを固定するのにはどうしたらよいか・・・・
ASSYパーツとロコを手に取り、眺めながら、いろいろと考えました。

最初に考えたのは、このASSYパーツがそのまま使えるよう、動力のダイカストを切削することです。
しかし・・・これはかなり大変な加工を必要とします。
そこまでやると、1両やったら嫌になってしまうのは目に見えています。
たくさんの電機を簡単、確実に加工できる方法じゃなくては、私としては意味がありません。

次に考えたのは、スカート部分だけを活かして、ダイカスト部分に接着しようか、ということでした。
しかし・・・スカートのパーツは、例によって接着剤の効かない素材です。
もし仮に固定できたとしても、左右分割式のダイカストにまたがって固定してしまうと、
分解メンテナンスが困難になってしまいます。
この案もすぐに却下しました。

次に考えたのは、同じくスカート部分だけを使い、ボディに接着することです。
しかし、ASSYパーツを見ると、ボディに接着できるような部分が見当たりません。
これでは接着面積が小さすぎて、頑丈に固定するなど、到底不可能です。

方法が思いつかず、しばらく製品を眺めていた私、ふとあることに気づきました。
ボディ前端とダイカストの間を見ると・・・・
前面窓の透明パーツが、何故かボディ裾まで延長されているのです。
ボディとダイカストの間に、ぴっちりとはまり込んでいる感じです。

「この窓パーツの代わりにスカートを差し込むことはできないだろうか!?」

これは、まさにひらめきでした!
ASSYパーツを見ると、スカート上部には垂直に延長されている部分があるではないですか!

「これだ!」
後はもう・・・・勢いです。


運転席表現の部分は使わないので、カッターやニッパーを使って、
バキバキバキッと切り取ってしまいます。
左写真は廃棄処分になる運転台部分・・・・ちょっともったいない気もしますが。

また、使用するスカート部分は、右写真のように前面上方の部分を残しておきます。
ここを「差し込んで」固定するという魂胆です。
なお、側方はボディと干渉したので、スカート上部のフチに合わせ、平らに仕上げました。


理由はよくわかりませんが、前面窓ガラスパーツは車体裾ギリギリにまで延長しているので、
加工したスカートパーツを差し込むスペースを作るために、
車体裾から2mmくらいの位置でカットしてみました。
写真の作例は初めての加工だったため、窓ガラスパーツを取り外してからカッターで丁寧に切りましたが、
この部分は仕上げる必要が無いので、
窓ガラスをボディに装着したまま、カッターで適当にスジをつけ、ヤットコで折り取ることも可能です。
後で加工した電機は、そのようにたものが結構あります。。。
(尚、車体、台車の外し方は「 初期EF65とラストEF70の台車交換 」に詳しく書きました)


次に、台車を加工します。
動力台車に固定されていたカプラーとスカートは不要になるので、カットします。
台車を取り外し、カッターで適当に切り込みを入れてから、ヤットコでつまんで折れば、簡単でした。
ここもきれいに仕上げる必要はありませんが、
切り残した部分が固定スカートと干渉しないよう、気を付けます。


台車の加工が済んだら、前面ガラス加工の済んだボディと組み合わせてみます。
ボディ前端とダイカスト前端との間に、思惑通り、「隙間」ができているのが見えます。
ここに、先ほど加工したASSYスカート上部を差し込んでみると・・・・
最初はかなりきつい感じですが、きっちりとはまってくれました!!
しかもきつく入るので、両面テープなどの補助は一切必要なく、差し込むだけでOKでした。

「やったー!!」

自分にしては、上出来で、しかもグッドアイデアな加工法を思いついたものです。
試しにもう1両、同じ加工をしてみたところ、10分くらいで完了させることができました。
・・・・量産性も充分です。

以後、フライホィール動力機のスカート交換をしたり、
TOMIX機、マイクロエース機、永大機にKATO製スカートを取り付けたり、
首振りスカートそのものを加工して固定化したり、
さまざまなことをすることになりましたが、
全てはこの方法が基本となっており、「挟みこむ」だけの固定方法を採用しています。


製品オリジナルスカート(左)と最新ASSYパーツ固定化後(右)を比較してみます。
この2つ・・・製造ロットがかなり違い、テールランプに差異がありますが、ボディは共通です。
スカートの加工だけで、ここまで雰囲気を変えることができるのです。






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