このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

モニター窓Hゴムを簡単表現



*はじめに
私はもともと自由形というジャンルが好きです。
今までも自由形をいくつか手がけてきました。
お付き合いしている模型仲間との集まりの中で、「自由形を作ってみては?」という話が出たとき、
それは望むところだ!と思ったのです。

しかし・・・いざ作ろうと思うと、何をしていいのかわからないものですね。
過去に手を付けながらもまだ完成していないものを仕上げる、という手もありますが、
おもしろくない。。。

しばらく悩みながら、ジャンク箱を漁っていると・・・
昔車体まで組んでおきながら、なんか面倒になって放置していたGMのクモニ13を見つけたのです。

これを活用しよう、そう思ったら後は・・・いつもの「勢い」でした。

*車輌の構想
湘南顔が大流行していた昭和30年代初頭のこと。
ある地方私鉄で、国鉄払い下げの木造荷電の車体を更新しました。
この私鉄では荷物輸送に力を入れており、中小私鉄ながら17m級の大きな荷電を必要としたのです。
車体は流行の湘南顔を取り入れ、ウィンドウヘッダを省略した張り上げ屋根というスマートなもの。
しかし、荷室のドアは旧車から流用されたため、古めかしい木造ドアがついたのでした。

という構想の下、既に組んであったクモニ13のボディに、
鉄コレ第10弾の羽後交通の湘南顔を移植することにしました。

では、工作について、順を追ってご説明しましょう。
・・・とは言っても、新たな工法などは特にないので、簡単な説明にしておきます。

*車幅の変更
とは言っても、両者の車幅は違いすぎます。
GMのクモニ13はスケール換算で3000mmにも達する一方、羽後交通は2700mm弱、
1/150で2mm以上もの差になるのです。
そこで、お得意の「カラタケ割り」でクモニ13を縦に真っ二つ!!車幅を詰めました。
但し内寸を鉄コレの17m級動力に合わせる必要があるため、
板厚の薄い羽後交通より若干・・・0.4mmほど太くなりました。

*前面の移植
クモニ13の前面は、ニッパーでバキバキと切り取ってしまい、ヤスリで切断面を整形しました。
羽後交通の前面は、レザーソウで切り取った後、なるべく薄く仕上げます。
この両者をタミヤセメントで接着。
白キャップで仮止めしてから、緑キャップを流し込んで固定します。
さらに乾燥後、瞬間接着剤でガチガチに固めるという、最近の標準手法です。

先にも書いたとおり、車幅に若干の差があるので、
0.25mm厚のStripStyreneを貼り、パテを盛って整形しました。


前面を移植したところ。車幅がわずかに違います。

*クモニ13ディテールの削除
クモニ13には、雨樋、ウィンドウシル、ヘッダー、靴ズリ、パンタ台、配管などが表現されています。
これらを耐水ペーパーで全て削り落として、ツルツルに仕上げました。
ウィンドウシルは残してもいいのですが・・・
それだけ残して他を削るより、全部削った方が簡単です。

ディテールをなくすだけで国鉄臭が一気になくなるのは、おもしろいものですね。


ディテールを全て落としたクモニ13ボディ

*前面の仕上げ
パテを盛った前面は、耐水ペーパーや細密ヤスリで仕上げていきますが、
無塗装だと面の状態がわかりづらいので、途中でサフェを吹いてみます。
そして乱れのある部分を磨き、必要なら溶きパテを流し、また磨き、さらにサフェを吹く・・・
という作業を繰り返しました。

ヘッドライト、テールライト、手すり、運行番号表示窓なども、全て削り落としました。
ヘッドライトは、できればそのまま使いたかったのですが、
車体断面が合わずにヘッドライト上端が屋根高さより低くなってしまったため、
新たに作り直すことにしたのです。
ヘッドライトに使用したのは、 東横キハ1タイプ でも使用した、StripStyreneno2.4mmパイプ。
これを屋根高さに合わせた位置に穴を開けて差し込みました。

また、私鉄らしさをより強調するため、ボディの裾は丸めました。
これは側面下も同様です。


前面磨き中。オデコの曲面が仕上がったら、ヘッドライトを埋め込みます。

*ウィンドウシルと雨樋
先にも書いたとおり、ウィンドウシルは新たに表現します。
これは0.25mm×0.75mmのStripStyreneを貼ったもの。
言うまでもなく・・・定規をあてがいながら、曲がらないよう注意しました。

雨樋は、0.25mm×0.5mmのStripStyreneを使用します。
クモニ13とは打って変わってかなり屋根の上の方につけました。
これもいつものとおり、0.25mmの面を接着してから、削って高さを下げていきました。
これで0.25mm幅の雨樋ができます。
ただ、車体長方向にのみ貼ったので、雨樋というよりは水切りでしょうか。


雨樋とウィンドウシルを再現

*屋根上加工
自由形車両というものは、自分の裁量でどうにでもできるので、
難しい工作をする必要がないという気楽さがあります。
しかし一方、「難関をクリアしたときの満足感」を得ることはできません。
この荷電も、お気楽工作を続けながらも、モチベーションの維持に苦労しました。

しかし、屋根上工作は、いくらフリーとは言っても、
現実味を出すためにはある程度の作りこみが必要です。
ここで少し、やる気を向上させることができました。

まずはパンタ横のランボード。
1mm×0.25mmのStripStyreneを2枚重ねたものに、適当な足をつけてあります。
2枚重ねた理由は、単に0.5mm厚が手元になかったからです。
また、足は屋根の勾配に合わせて斜めにする必要があり、ちょっと気を遣いました。
このようなランボードを作ったのは初めてでしたが、なかなかうまくできたと思います。

パンタの位置は、鉄コレ17m旧型電車用の台車位置に合わせて決めました。
使用したパンタは、手元にあったGMのPS13旧製品ですが・・・
今となっては関節部が太くて非実感的だったので、
関節部分をヤスリで細くしてあります。

配管は適当ですが・・・
0.3mm真鍮線を用いて、自作避雷器に1本、パンタ横から前方に2本を引き回しました。
その自作避雷器は、1mm×1.5mmのStripStyreneを切り出したものです。

ベンチレータは、おなじみのKATOスハ43系用を使用しました。
最初に中央扉に合わせ、そこから等間隔に5つ並べてあります。

*靴ズリと標識灯
靴ズリは0.4mm×0.5mmのStripStyrene。
地方私鉄ということで車両限界が狭いことを想定し、大袈裟なものはつけませんでした。

また、前面助手席側には標識灯をつけました。
これは、手元にあった銀河の適当なパーツを用いたのですが(確か、新型電車用)、
運転席側に付けなかったのは、同じ位置に穴を開けるのが面倒だからという理由です。
こういうところが自由形の気楽さなんですね。

ここまでで、ボディ工作はほぼ完成となりました。
鉄コレ動力にGMバルクパーツの床下機器を貼り付けて、いよいよ塗装になります。


ボディがほぼ完成したところ。床下機器はGMのバルクパーツを切り出して貼り付けました

*パンタ台をつけてみる
ところが・・・パンタ台をいじりたくなってしまったのです。
あまりディテールに凝っていない車体なので。。。
そこで、富士川車両のパンタ台から、適当なものを選びました。
もちろん、GMのPS13に表現されているパンタ台は切り取ります。

でも、パンタを装着してみると・・・
パンタ台や配管もあって、ほとんど見えないんですよねぇ。。。


せっかくパンタ台を奢ったのに・・・目立たないんです

*塗装
しかし・・・ここで私はまた悩むことに・・・
どんな塗装をすればいいのか、考えていなかったのです。
「○○風」にはせず、あくまでもオリジナルにしたかったので。
さんざん悩んだ挙句、決めたのは、クレオスの艦底色を全体に塗り、
西武電車のような塗り分けで、腰部にクリームの太い帯を回す、ということでした。

クレオスの艦底色は、国鉄ぶどう色よりも赤く、近鉄マルーンよりも茶に近い、独特の色です。
この選択は正解で、あまり見たことのない雰囲気になりました。
クリームは・・・クレオスのキャラクターフレッシュ、白に近い色です。
ちょうど2.5mm幅のマスキングテープがあったので、
これをドア下端に合わせて塗り分けることにしました。

最初にキャラクターフレッシュを全体に吹き、
腰部をマスキングしてから、艦底色を吹きました。
クモニ13のドアはかなり凹んでいるので、ドア幅に合わせたマスキングテープを貼り、
さらにマスキングゾルで補強したのですが・・・それでも吹き込みは避けられませんでした。
なので後で面相筆で修正しています。

前面を西武のように斜めカットしたのは、円弧を描く塗り分けが面倒だったからに他なりません。
クリームを腰部だけにしたのも、同じ理由です。
でも、おかげで、オリジナリティ溢れる塗装になったのではないかと思います。

屋根はタミヤのジャーマングレー、
ベンチレータはライトグレーで、塗装後に貼り付けてアクセントとしました。
パンタ、床下はタミヤのマットブラックです。

また、サッシはアルミ化されていないということにして、車体同色にしてあります。
こういうところも、自由形ならではです。



塗装が完了。一気に雰囲気が出てきました。

*仕上げ
パンタ側前面にはジャンパー栓とホースを設けました。
運転席床下には2本、助手席側の標識灯下には大きめのを1本です。
助手席側のジャンパー栓は、KATOのキハ30系用ASSYパーツで、
取り付け後に艦底色を筆塗りしてあります。

ここでお約束・・・実は、軽い失敗をやらかしました。
ツヤツヤではなく、ちょっとくたびれた風情を出そうと思って全体に艶消しクリアを吹いたら・・・
思いっきりカプってしまったのです!
慌てて半艶クリアで修正を試みましたが、塗装面がややザラついた感じになってしまいました。
そこで・・・ハンブロールの艶消し黒に少し茶を入れ、シンナーで薄めたものを、
たっぷりと全体に塗り、ティッシュで拭き取るという方法で、全体をくすんだ感じに仕上げました。
塗装面の粗さはなくなりませんが、目立たなくはなったようです。。。

側面窓はGMキット付属の塩ビ板をゴム系接着剤で貼り付け、
前面窓には鉄コレ羽後交通のはめ込み窓を入れました。
前面窓がはめ込みになっているというのは、やはりいいものですね。
尚、前面窓のHゴムは、油性ペンで黒くしてあります。

さらに前面下には、プリンタで「荷」の文字を打ち出した紙を、適当に切って貼り付けました
最後に、1mmのアクリル光学繊維をはんだごてに近づけてレンズ状にしたものを、
ヘッドライトのパイプに透明ゴム系接着剤で固定します。

また、ボディが結構くすんだ感じになったので、
それに合わせて床下にはパステルをまぶし、サビと汚れを再現しておきました。


完成!

*完成しました
以上が、製作期間1ヶ月弱の、自由形荷電の記録です。
なかなか好印象の電車ができたと思っています。
早速模型仲間に見せたところ、「どこかに実在しそうな感じ」m、という感想がありました。
完全なフリーであるにもかかわらず、実在してもおかしくない、
これぞ私の目指していたものなので、嬉しかったです。

一方、「東武や京成の旧車に似てる」という意見もあり・・・
そういえばそうかもしれません。
・・・私の潜在意識の中にあったのかもしれませんね。







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