1.作り始めたきっかけと・・・ボディ整形まで
*作り始めた理由
模型仲間と、数ヶ月に1回の運転会(というより、その後の模型談義)を楽しむようになった私、
次回の運転会のお題が「非電化」に決まった後・・・どのような車輌を製作するか、
決めかねていました。
そんなとき、お仲間のK氏が、
「東急マニアなんだから、東横キハ1を作らなきゃ!」とはやし立てたのです。
まさか・・・彼も、私が本気にするとは思っていなかったのでしょう。
しかし、なんとなく、「そういうものに挑戦するのもいいかも」、そう思ってしまったのでした。
しかも、作るなら「東横時代」でしょ。
ということで・・・期限付きの無謀な挑戦が始まったのでした。
こういうとき、「なんとかなるでしょ」という楽観的性格の私は、有利です(笑)
*資料がない。。。
しかし、いざ作り始めようとしても、実車の知識はまるでありません。
見たことも乗ったこともなく、図面もない。。。
ネットで検索して、かろうじて見つけた5枚の写真が、唯一の頼りになりました。
しかも・・・他社に譲渡された後の姿ばかり。
わかったのは、3枚ドア、ドア間の窓は6枚、乗務員扉はなく、代わりに細い窓と三角窓、
前面は2枚窓・・・といったところです。
その程度の知識しかないのに作ろうなんて、やっぱり無謀でしょうか?
でも、情報がないことを逆手にとれば、
情報がないのだから如何様にでも作れるし、
できたものに対して、細かい文句を言える人もいない・・・そう考えれば気が楽です。
実寸にこだわらない、「キハ1タイプ」として作ることにしたのでした。
ネットで拾ったキハ1の写真はこれが「全て」。
右上の不鮮明なものが、唯一東横電鉄時代の写真です。
*ベースは旧国キット
早速、秋葉原の模型屋で、使えそうなキットを物色しました。
窓配置が似ている(3ドア、ドア間6枚窓)という理由だけで、選んだのはGMのクモハ51キット。
乗務員扉の後ろの小窓も使えそうです。
窓寸法は異なるでしょうが、そんなことわからないので、これでいいのです。
但し、両運のキハ1には、小窓が2つ必要になるので、キットを2両分、調達しました。
*側板の製作は切り継ぎ地獄。流線形前面はブロックで?
黒マジックの部分が切り継ぎした部分。削り具合を見るため、私はよくこうします。
前面をブロックで作ろうと、試作したパーツも・・・
まずは側板を作ります。
窓配置が似ているとは言え、20m車体を17m車体にしなくてはなりません。
キハ1の写真を見ると、ドアと窓の間の柱はかなり細くなっています。
そこで・・・クモハ51の側板を、ドア両側で切断し、柱幅を詰めていきました。
切断箇所はドアの縁部分なので、継ぎ目は目立ちません。
工作を少しでも容易にしようと、ドアと窓の間は1mmとしました。
しかし、片面で6箇所もの切り継ぎが必要となり・・・
1枚つくるだけでmp、疲れ果ててしまいました。先が思いやられますね。。。
でも、できた側面に数ミリずつの流線形前頭部をつければ、
結果として・・・ちょうど17m級の長さになることがわかりました。
その流線形前頭部は難題です。
写真5枚では正確な形がわからず・・・
とりあえず1mmプラ板を貼り重ねたブロックを作り、それを削ってみることにしました。
しかし・・・プラのブロックは硬く、綺麗な面を出した流線形を作ることは、至難の業です。
ましてや、同じ形を2つ作るなんて・・・
やはり、予想できたことですが、ここで早くも大きな壁にぶちあたってしまったのでした。
*天の助け、TMS'74年12月号
ここで、まさしく「天の助け」が!
模型仲間のA氏が、「TMS '74年12月号に製作記と図面がありますよ」
これはラッキー!
私も、製作記が昔のTMSに載っていた記憶はあったのですが、
それが何年何月号なのかはわからなかったし、図面まで載っていたという記憶はありませんでした。
しかも、私が保管している'74年です!
早速見てみると・・・ありました!
関東鉄道時代の姿ではありますが、製作記と図面は、大きな情報となったのです。
*前面の製作法を変更
ブロック方式では綺麗にできる自信がなかったので、製作法を変えてみました。
TMSの図面をもとに、前頭部の床を1mmプラ板で作り、
そこに0.3mmプラ板を巻きつけるようにして造形する、というものです。
上部は傾斜しているので、巻きつけたプラ板に切り込みを入れて、曲げて行きます。
また、裏面には1mmプラ板を貼って補強するとともに、前面窓の取り付けベースとしました。
これでなんとか、前面流線形の腰部ができたのでした。
前面窓は、これもクモハ51キットの、連結面寄りの2連窓を使いました。
写真や製作記を見ても、2段窓が2枚になっていたからです。
(後に、就役時はそうでないことが判明しましたが・・・)
この窓周辺だけを切り出し、腰部に貼っておきます。
やや傾けた状態で。。。
*車体幅を決定し、屋根を作る
鉄コレの17m級動力が、ピッタリ収まるよう、ボディ内側の寸法を決めました。
それに合わせて屋根幅も詰めます。
いわゆるカラタケ割りで屋根を縦に切り、幅をつめました。
*いよいよ車体を組む
2枚の側板と屋根を、「コ型」に組みます。
接着は、タミヤの白キャップで点付けした後、緑キャップを流し込むという方法です。
またここで、車体裾が歪まないよう、
屋根幅にぴったり合わせた短い仮の床板を作り、車体中央に接着しておきました。
つまり「ロ型」にしたわけです。
続いて、先に作った腰部を、現物あわせで側板に接着します。
前面裾には短いスカートがあるので、その部分が側板下を延長するように接着したので、
イモ付けのわりには、結構しっかりと付いてくれました。
接着剤は、継ぎ目の隙間補填も考慮し、タミヤセメントの白キャップを主に使いました。
腰部が付いたら、側面との間、さらには屋根板との間に、適当なプラ材を接着しました。
とにかく現物合わせで間を埋めるようにタミヤセメントで接着した後、
裏から瞬間接着剤をたっぷりと流し込んでおきます。
ここは後でかなり削ることになりますから、
瞬間接着剤が乾いた後も、さらにたくさん流し込んでおきました。
全く同じように、もう片側の前面も成型すると・・・
おおお!意外とどうにかなるもんですね!
似ているかどうかは別として・・・流線形の両運車が形を現してきたのです!
左写真;なんとか成型できた片面のついたボディと、製作途中の反対側前面。
右写真:流線形両運車の形ができてきたぞ!
*シル、ヘッダー、雨樋は削り落とす
ボディの形ができてきたら、続いて、ウィンドウシル、ヘッダー、雨樋を削り落とします。
キハ1にはヘッダー、雨樋がないし、継ぎ目を綺麗に消すためにも、
キットのモールドは落としてしまった方が、加工がラクだからです。
車体裾が歪まないように、仮に接着してある床板の効果は抜群で、
片面6箇所を切り継いだ側板、カラタケ割りしている屋根板、継ぎはぎの前面という、
強度的に不安なボディにもかかわらず、
シル、ヘッダー、雨樋削りを行っても、びくともしませんでした。
ただ、この先本当にきれいな「キハ1らしい」前面に仕上げられるのか、
三角窓はどうするのか、塗装は何色にするべきなのか・・・など、
この時点で、まだまだ課題は山積していました。
無事に期限までに完成するのか、この時点では全く自信がなかったのです。
2.とにかく前面を整形・・・なんとか形に
*前面を削る、削りまくる
前面はまだ完璧とは言えないものの、次第に形はできてきました。
参考となる図面はあっても・・・立体を見たことはないので、
自分の勘を頼りに、削りだしていきます。
前後左右、いろいろな角度から眺め、左右対称となるように気をつけます。
また、前後の前面が同じ形になるようにも気をつけます。
もちろん、実物写真や模型製作例の写真を見ながら、雰囲気が似ることを心がけました。
知り合いから、戦前(昭和11年)の東横線での活躍シーンを収めた動画がネットにあることを、
紹介してもらったのも大きかったです。
特に・・・前から見た雰囲気が、大いに参考になりました。
二段窓だとばかり思っていた(関東鉄道時代はそうなっていた)前面窓が、
実は・・・湘南顔のような大きな2枚窓だったことも、この動画で判明したのです。
そこで、窓部分も大きく変更することになりました。
このような切削作業は、図面どおりとか寸法がどうのこうのというのは全く関係ないですね。
複雑な曲面を完璧な寸法で再現することなど、到底不可能なのですから。
見た感じに違和感がないよう、とにかく自分の感覚を信じて作業するしかないと思います。
*ドアの交換
前面は完成していませんが、
側面の磨き(シル、ヘッダー、雨樋の削りと継ぎ目消し)はうまくいったので、
ここでちょっと「冒険」をしました。
ドアの両端で(片面6箇所もの)切り継ぎをしたボディは、
屋根板と仮の床板で補強されているとは言え、強度的に不安があるのは事実です。
しかし・・・ドアをくり貫いて、エッチング製のパーツをはめ込もうと考えたのです。
そのため、継ぎ目の部分には、
タミヤセメントの白キャップ(どろどろタイプ)をたんまりと流しました。
白キャップにはスチロール樹脂が含まれているため、
隙間がある場合には、そこを充填、かつ溶着してくれるからです。
瞬間接着剤は衝撃に弱く、工作途中で「パキッ」と取れてしまう危険があるので、
ここには使用しませんでした。
念のための補強が済んだら、ドアをくり貫きます。
1mmほどのドリルで穴をたくさん開け、それをデザインナイフでつないで切り取る、
といういつもの方法です。
しかし、ドアの両側が切り継ぎ箇所なので、慎重に工作しました。
・・・というか、所詮切り継ぎした箇所は取れやすいので、加工もラクだったのですけどね。
意外と苦労したのは、用いたエッチングパーツ(メーカー名失念)と、
GMキットドアの大きさが微妙に異なったことでした。
パーツの方が微妙に大きかったので、単にドアをくり貫くだけでは収まらず・・・
パーツに合わせる必要があったのです。
しかし、苦労した甲斐はありました。
キットのプレスドアとは異なり、木製ドア表現が、素晴らしい雰囲気を出してくれたのですから。
*屋根布押さえとテールライト
続いて、ドアのすぐ上(1mmくらい上)に、屋根布押さえを貼りました。
これは0.25mm×0.5mmのStripStyreneを用いており、
0.25mmの面を貼りつけてから、削って高さを下げるという、いつものやり方です。
ドアのすぐ上に屋根布押さえがあり、そこよりも上が全て屋根になるのはこの車輌の特徴。
なので、曲がらないよう、ステンレス定規をあてがいながら、慎重に貼りました。
そして腰部にあるテールライト。
実物は意外と複雑な形状をしているようですが・・・再現は面倒なので、
1.0mm×0.5mmのStripStyreneを貼ってから、軽く整形して、それらしくしています。
このテールライトが付いたことで、また東横キハ1らしさが出てきたように思いました。
これでこそキハ1、という感じです。
またこのとき、スカートの形状も整え、前面ヘッドライト位置に、穴も開けておきました。
ドア交換すると実感的!
*動力を入れてみる
さぁ、ここで動力を入れてみましょう。
使用したのは、鉄コレの17m級旧型電車用です。
予定通り・・・いや偶然、
適当に切り継いで適当に前面をつけた車体が17m級になったので、
動力の長さもピッタシです。
ただ、前面がすぼまっているため、そのままでは入らず、
車端部の床板をカットして、現物合わせで入れました。
高さを決めるためには、窓下あたりの裏側に、1.0mm×1.0mmを貼りました。
これも現物合わせで、見た目がよいと思われた高さにしました。
また、動力の固定には、車体側板裾の裏に、プラの小片(0.5mm×0.4mm)を貼ります。
動力を組み込んでみました。だいぶ雰囲気が出てきましたね。
しかしスカートと台車は干渉しそうです。。。
動力が入ると、一気に気分は盛り上がります。
この状態でエンドレスを試走・・・おおお!感激です!
ちょっと前まで影も形もなかったキハ1が、今や目の前を動いているのですから!
どこも模型化などしないであろう、複雑な形状をしたマイナーなガソリンカー。
それを、似ても似つかぬ形式から無理矢理作ってしまう、
そんな天邪鬼な点がまた、私を満足させてくれます。
はい、ここでお約束・・・走行させてばかりで、作業は停滞してしまうことになりました。
しかし、なんとか前面の形は出てきたわけだし、
焦らずにゆっくりと・・・満足のいく形が出てくるまで、削っていくことにしたのでした。
そう・・・まだ「何かが違う」、そう思えていたのです。
この時点ではその違いを具体的には掴めていなかったのですが、印象が違う。
それを掴めるまでは、もう少し時間がかかりました。
あまりノンビリしていると、期限(次回運転会)までに間に合わなくなってしまう・・・
そういう心配も、心の中にはあったのです。
結構いいんでないかい!
3.執念で前面の整形を完了・・・ついに完成
*ついに前面の形状の違いを把握
なんとなく雰囲気が似ていない・・・その原因がようやくわかりました。
TMSの図面を眺めていて、ごく基本的な違いに気付いたのです。
実物は前面の裾から上方にまず垂直に立ち上がり、大きな弧を描いて屋根に繋がっています。
裾の下にあるスカートは少し後退しています。
つまり、裾部分が一番出っ張っています。
それに対して私の作例は、スカートが一番前に出ていて、そこから上方に向かってカーブしていました。
裾付近が垂直に立ち上がっていないので・・・
極端に言えば、新幹線300系のような造形になっていたのです。
これに気付いて以降、さらにひたすら整形を繰り返しました。
正面窓下を垂直になるように削り、それに合わせて側面への接続部分も削ります。
スカートは内側に巻き込むような形に仕上げていきました。
もちろん、前面の左右が対象に見えるように留意し、
かつ両方の前面の印象が同じになるよう、感覚のみの作業を続けたのでした。
この結果、ようやく納得のいく形になったのでした。
でも、削りすぎてプラ板がなくなり、穴が開いてしまったところも出てきました。
そんなところには裏面から瞬間接着剤を充填しているので、
瞬間接着剤だけで造形された部分もあります(笑)
前面窓の大きさや位置にも気を遣いました。
クモハ51の側面窓を使ったものの、大きさも形も全然違ったし、
いい加減な工作の結果、車体中央についてなかったり・・・
出来る限り修正をしておきました。
これらが終わったら、次は、面の仕上げです。
サフェを吹いて、傷や乱れがあったら溶きパテで補修し、磨きをかける・・・それをくりかえしました。
特に前面のの曲面は慎重に・・・納得いくまで作業を繰り返していったのです。
*ディテール追加
面が仕上がったら、ディテール追加です。
窓下のウィンドウシルは0.25mm×0.75mmのStripStyreneを貼りました。
ドア上の水切りは屋根布押さえと同じ方法で製作しました。
ここで試しに、運転席横の三角窓を開けてみました。
なにしろ現物あわせで作った前頭部ですから、窓の形も大きさも、現物あわせです。
エンピツを使ってフリーハンドで位置をけがき、ピンバイスで穴を開けてから、
デザインナイフで切り拡げていきました。
前頭部の整形で相当に削った部分だったため、プラがぺラペラになっていて、
加工はとてもラクでした。
そしてベンチレータは、TOMIXのキハ58用というのを見つけたので使ってみました。
いわゆる「半ガラ」というやつですが・・・とてもモールドがシャープだったんです。
しかし・・・図体が大きすぎましたね。
ベンチレータがやたらと目立つので、すぐに却下、あらためてGMのパーツに交換しました。
ディテールはショボくなりましたが、大きさが適切なので、雰囲気は断然よくなりました。
さらにヘッドライトは、StripStyreneのφ2.4mmパイプを差込んでいます。
ちゃんとしたパーツを使わなかったのは、加工がラクだという理由からで・・・
でも穴が小さいので、この先苦労してしまったのです。
左写真:TOMIXキハ58用の半ガラは図体が大きい。。。
右写真:GMの半ガラに交換したら、ピッタリでした。
ちなみに台車は、鉄コレ動力に付属していたDT21を仮に取り付けてみました。
すると・・・心配したとおり、いきなりスカートに干渉してしまいます。
そこで、台車のスカートに当たる部分を切り取ってしまいました。
かなり乱暴な方法ですが、停車時は目立たないし、走行中は気付きません。
ちゃんとした台車に交換した際にも、同じ方法を用いろことにしました。
さらにカプラーは、SHINKYOを仮に付けてみましたが、ちょっと大きすぎる感じがするので、
これはダミーカプラーに交換することにしました。
カプラーはSHINKYO、台車はDT21を加工して、仮に装着
*さぁ塗装
実物の色はよくわからないんですよね。
当時の動画も白黒で、ウィンドウシルを含めて腰周りが青、
上半分がクリームということしかわからないのです。
かといって、スカ色塗りわけと同じにはしたくないし・・・
ということで、腰周りには、近鉄特急の紺、上半分をスカ色クリームにしてみました。
これが似た色なのかどうかはわかりませんが、結果としてはよかったです。
スカ色とは違った雰囲気になったのですから。
最初に紺を吹き、腰周りをマスキングしてから、クリームを吹き、
さらにボディをマスキングして、屋根にはクレオスの軍艦色1を吹きました。
ドアはドア幅に切ったマスキングテープを貼り、さらに全体をマスキングして、
吹き込みのないように配慮しています。
下回りは、塗装前に床下機器も簡単に再現しました。
GMキニ05のバルクパーツから、使えそうな機器を並べ、
一部プラ材で自作もして、雰囲気が出るようにしておきます。
ここでもTMSの図面が大いに役立ちました。
というか、これ(床下機器の配置図)がなかったら、できませんでした。
床下機器ができたら台車とモーターをマスキングして、タミヤのマットブラックを吹きました。
ボディには半艶クリア、屋根と床下には艶消しクリアを吹いておきます。
いつも塗装段階で何かしらのトラブルを起こす私ですが・・・
このキハ1はそういうこともなく、比較的綺麗に塗れたと思います。
でも、下地の仕上げがいまひとつのところがあり・・・傷や乱れが散見されます。
こういったところはやっぱりまだ未熟なんですね。
次回作への反省点です。
左写真:塗装が済みました!なんかとってもいいんじゃない?
右写真:床下機器もそれらしくしてあります。
*窓入れ
まずは三角窓・・・ここはペラペラになっているし、裏は瞬間接着剤でごわごわだし・・・
どうするか悩んだ末、はめ込みにすることにしました。
本物は他の側面窓同様にサッシがあるのですが、
それはとても再現できないと、スッパリ諦めました。
三角窓の大きさと形を整え、透明プラ板を切り出してはめ込みます。
透明プラ板は割れやすいので、ヤスリは使わず、
デザインナイフで少しずつ削り、現物あわせしていきます。
4つの窓は微妙に大きさも形も異なりますが、そこは仕方ありません。
ピッタリはまったら、少量のタミヤセメント(流し込みタイプ)で固定しました。
次は前面窓・・・これも基本的には同じです。
1枚ずつ現物あわせで仕上げ、はめ込んでからタミヤセメントで固定しました。
本物は窓上辺にRがついているのですが、加工の容易さを優先して、省略してあります。
しかも、前面窓の曲面を強調しすぎて、平面窓がちょっとはみ出し加減です(苦笑)
ま・・・仕方ないですね。
側面窓はGMキットについていた塩ビ板で、ゴム系接着剤で固定しました。
面倒な窓入れが終わると、ここでかなり安心してしまいますが・・・もう少し、完成を急ぎましょう。
三角窓と前面窓ははめ込み表現!
*いよいよ仕上げ
まずはヘッドライトです。
プラパイプを用いたので加工はラクだったのですが・・・内径が細い。
細密丸ヤスリでできるだけ拡げてみましたが、あまり拡げると破壊しかねません。
中途半端に穴を大きくした結果、市販品のレンズサイズが合わなくなってしまいました。
そこで、1mmのアクリル光学繊維の先端をハンダごてに近づけて溶かし、
レンズ状にするという方法を用いました。
数個作って、形や大きさが合ったものを選び、透明ゴム系接着剤で固定しました。
透明度が高いので、キラキラしています。
なかなかいい感じなのではないでしょうか。
テールライトは、なにぶん小さなもの。
しかも複雑な形状をしたライトケースにあるので、レンズをはめ込むのはあきらめました。
ハンブロールの赤を色さし用の先の尖った綿棒につけ、押し当てて表現しました。
ナンバーは、ネット上の動画で正面下の方にあるのを確認しました。
さらに本屋で偶然見つけた本に側面写真があり、
それによれば・・・運転席横の下の方にもあることを確認できたので、
適当なインレタの余りから「4」を選んで貼りました。
そして腰周りだけ、インレタ剥がれ防止のため、もう一度半艶クリアを吹いておきました。
大きすぎると感じたカプラーは、GMキットの余剰パーツにあったダミーに交換、
黒く塗ってから貼り付けました。
この方が実物の雰囲気が出ているようです。
行先表示板は、0.13mm厚のSheetStyreneを切り出して貼ったもの。
何も書いていませんが、雰囲気は出たので、まぁいいでしょう。
また、ドアや窓には薄墨を流し、サッシの凹凸が目立つようにしてあります。
最後に・・・鉄コレ第10弾に合わせて発売された気動車用16m動力から台車を拝借し、
ここで使った電車用17m動力のものと交換しました。
これで、本来の台車がやっとついたのです。
それとともに、このキハ1タイプは完成となったのでした。
*終わりに
作り始めたときには・・・まさか本当に最後までできるとは、自分でも思っていませんでした。
何しろ、ろくなデータもなく、全くのいきあたりばったりだったし。
ところが、なんだか出来てしまいました。
しかも、自分で言うのもなんですが、意外と雰囲気も出ているのではないかと。
(実物を知らないので、似ているかどうかはわかりませんが)
作ろうという思い、そして執念さえあれば、なんとかなるものなのですね。
運転会に間に合わせなくてはいけないという、期限があったのも奏功しました。
そして、さまざまなデータを供給(?)してくれた、仲間の協力にも感謝しています。
もちろん、仕上げが粗いとかいう不満点は、相変わらず多々ありますが・・・
そういったことは反省点として、また新たな工作に臨みたいと思います。
世界でひとつしかない、この東横キハ1タイプは、
今日も我が(お座敷)鉄道を快走しているのです。
終わり
完成した姿。もちろん、運転会でも大活躍でした。