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モニター窓Hゴムを簡単表現



  1. その1 :きっかけからボディ完成まで
  2. その2 :塗装と仕上げ、そして完成


その1 :きっかけからボディ完成まで
*きっかけ
それは・・・模型工作仲間のA氏が、
鉄コレ第3弾の小田急車体から、京成3000系を作成したことでした。
これを見た私は、「なるほど、この車体は使える!」そう思いました。
そしてふと、鉄コレ第10弾の羽後交通前面を移植すれば、京王2000系ができるのでは?
そう考えたのです。

そう思ったらもう、居ても立ってもいられなくなってしまうのが私です。
わざわざ開封品を買い揃えた小田急2200系をタネ車にしてしまうのはもったいので、
長男に交渉し、富士急5700系2連を譲り受けて(!)、製作を開始したのでした。
本当は2連+2連の4連としたいところでしたが、タネ車がないのではしかたありません。
基本編成が2連なので、これで妥協したのです。

羽後交通は前作の自由形荷電でも使用しましたが、
車体幅の狭い私鉄風湘南顔を1両から2つ取れる、
しかも不人気のため市場にまだ開封品の流通があり、値も安い、
ということで、実に重宝します。
今回もこの工作用に、新たに1両を買い求めたのでした。

「私鉄電車のアルバム」の写真を見ると、
京王2000系は正面窓がもう少し上下に大きいようなのですが・・・
まぁ、タイプってことで勘弁してもらいましょう。
東京生まれの私も、この電車にはほとんど縁がなかったので、
あまり記憶にないし、これといった思い入れもないし。。。

それでは、工作の手順にしたがってご説明しましょう。
まぁ、顔をすげ替えただけ、と言ってしまえばそれまでなんですがね。

*顔の挿げ替え
まず、タネ車となる小田急と羽後交通の車体をIPAに漬け、塗装を落としました。
いつも鉄コレ塗装は簡単に落ちるのに、このときは一部残ってしまいましたが・・・

そして、小田急顔を切り取ってしまいます。
切り取った顔のうち、ヘッドライトは再利用するつもりだったのですが、
それ以外は不要となるので、バキバキとニッパーで切り取ってしまいました。
切断面は乗務員扉のすぐ前方・・・1mmくらいのところで、きれいに仕上げておきます。

ここに・・・羽後交通から切り出した湘南顔を貼りますが・・・
このときは前面窓の高さに注意しました。
先にも書いたとおり京王2000系は運転席窓が上下の大きく、結構窓が下の方まであるのです。
そこで・・・前面をかなり下のほうに貼りました。
羽後交通前面が小田急ボディ裾より1mmほど出っ張る位置です。
貼り付けた後に前面裾を削り、車体に合わせます。
もちろんオデコの曲面は、パテを盛りつけて整形します。

また、羽後交通はプラの厚みが薄いため、小田急より0.4mmほど車幅が狭くなります。
そこでここにもパテを盛って、違和感なくつながるようにします。

そして忘れてならないのは、連結側妻面と側面との境界です。
タネ車の小田急ではびしっとエッジが立っていますが、京王2000系にはRがあるので、
耐水ペーパーでエッジを削り落とし、緩やかに繋がるように加工しました。
これだけのことでも、京王旧型車っぽくなってきます。

それから、ドアのプレス跡も埋めておきます。
ここは溶きパテを盛り、乾燥後に耐水ペーパーで磨きました。


小田急ボディに羽後交通前面を貼ってみた直後の写真。
オデコにはヘッドライトを設けるための穴を開けてあります。

*前面と屋根の整形
ヘッドライトは当初、小田急前面のものを再利用してみました。
カマボコ形のライトケースを切削加工し、楕円形にすることで、似せようとしたのです。
これを整形したオデコにはめ込み、周囲も整形していきました。
特に、かなり下の方に付けたために綺麗につながっていないオデコ部分は、
パテ盛り、修正、サフェ吹きを繰り返し、納得がいくまで仕上げていきました。
これでなんとか見られるようになったのですが・・・
しかし・・・模型仲間のK氏から、「京王2000のライトはもっと大きい」とアドバイスされ、
このヘッドライトはこの後すぐ、交換してしまうことになりました。。。

さて・・・小田急車体は二重屋根になっているので、車体側(内側)の屋根はくりぬいておきます。
そうしないと、屋根加工の際に面倒になります。
そして外屋根を車体に接着し、すべてのディテールを削りとってしまいました。
ベンチレータ跡には穴が開くので、ランナー引き伸ばし線で埋め、
屋根とボディの継ぎ目ともども、パテで綺麗に整形しておきました。

雨樋は削らなくともよさそうですが、
京王2000系の場合は屋根の全周にわたって雨樋があるようだったことと、
小田急よりも雨樋の位置が高いように感じたため、全て削り落としています。


1両目は前面整形がほぼ終わり、標識灯穴位置もマーキングしていますが、
2両目は前面を貼ったばかり。

*ヘッドライトを改善
鉄コレ小田急のライトケースの再使用で妥協するつもりだったのですが・・・
やっぱり言われてみれば、
ネットや私鉄電車のアルバムの画像を見れば見るほど、ライトの大きさが似ていない。
この車両は、極端すぎるほど大きな2連ライトが特徴なのですから。
そこで、TAVASAの「私鉄用ヘッドライト・大型」というパーツを購入してみました。

しかし、買ったはいいものの、これは真鍮の挽き物パーツです。
・・・どうやって整形・装着するか、かなり悩みました。
結局、パーツ2個をエポキシ接着剤で接着して2連に改造し、
接続部分にはエポキシ接着剤を充填して整形してみました。
これを、小田急のライトを取り外した部分に、仮に置いてみたところ・・・

おー!いいんでないかい!♪

この方が、ぐっと京王2000っぽくなります!
よっしゃー、パテで形を整えて接着だ!

ということになったのでした。

*雨樋と標識灯
腰部の標識灯用は、前面写真から位置を割り出し、穴を開けてみました。
しかしどうも、実物より下、かつ外側になってしまったようです。
これでは国鉄80系みたいな顔ジャン・・・
後で再度開け直しすることになってしまいました。

雨樋は、私としてはすっかり手馴れた方法で作りました。
StripStyreneの0.25mm×0.5mmを使い、0.25mmの面で接着した後、
削って高さを低くする、という方法です。
実物の屋根全体を写した写真がなかったので、一部想像を含んでいますが、
屋根全体をぐるりと囲むように、しかも四隅にはRをつけて貼りつけてあります。


ヘッドライトを置いてみたところ。雰囲気が出てきました!

*ヘッドライトを付ける
2連改造したヘッドライトは、瞬間接着剤で所定位置に取り付けました。
ヘッドライトの上面には、0.3mmプラ板を瞬間接着剤で貼りつけて平面を出してから、
徹底的に削って、形を整えていきました。
また、取り付け部にできた隙間には溶きパテを流し、耐水ペーパーで仕上げていきます。
屋根とライトとの接続部分も、出来る限りなめらかに繋がるよう、磨いていきました。
ある程度形が整ったらサフェを吹いて、面の乱れや傷を確認、
不十分な部分に溶きパテを盛って磨き、
またサフェを吹いて確認・・・ということを繰り返します。

こうやって仕上げていったのですが、
よっしゃ完璧だ!と思ったところで、2両のオデコの曲面が全く異なることに気づいてしまい・・・
雨樋の一部を削り落としてから、オデコを再度磨き直す・・・なんてこともありました(涙)


ヘッドライトが「らしく」なってきた頃。
標識灯穴をやや上、かつ内側に開け直しました。ドアステップも付いています。
でも、オデコの曲面が全く違う。。。

*ドアステップ
京王2000系は、京王線の車両限界が小さかった頃に入線したため、
後の5000系入線で拡大した限界にあわせ、ドアステップが取り付けられました。
これが目立つのが大きな特徴です。
そこで、車体にモールド表現されていた靴ずりを削りとって、
代わりにStripStyreneの0.5mm×0.75mmで表現してみました。
乗務員室扉のドアステップは乗客用扉のものよりやや出っ張りが短い、
という部分も表現しています。

*標識灯の穴開け直し
前回開けた穴の位置が実物とちょっと違うように感じたため、
いったんランナー引き伸ばし線で埋めてから、やや上、かつ内側に開け直しました。
この方が似ていると思います。

*テールライトの穴開け
標識灯よりさらに難しいのが、オデコ両側にあるテールライトです。
2両のオデコの曲面が揃っていないといけないし、
曲面上に取り付け穴を正確に開けなければならないのです。

その後なんとかオデコ曲面の修正を終え、2両の差がなくなったので、
まず目分量で油性ペンを使ってマーキングしてから、
ノギスで寸法を測定し、ポンチマークを付けて、ピンバイスで穴を開ける・・・
という方法で対処しました。
なんとか揃った位置に開けられることができたようです。


オデコの修正が終わり、2両の差はなくなりました。付近の雨樋は貼り直し加工の途中。
テールライトの位置もどうにか決まりました。

*屋根上の工作
屋根上は、結構いろいろな工作があるものです。
模型は上から眺めることが多いので、床下よりも屋根に力を入れたいところ。
そのわりに実物資料が乏しく・・・苦労するのも屋根なんですよね。。。

①パンタグラフとランボード

2000系の末期は、前パンのまま残ったデハ2050と後パンに改造されたデハ2000、
2連で2つの形態が楽しめたようです。
前パンの位置は、台車中心とぴったり合っている鉄コレのものをそのまま採用。
後パンは、それと前後対象となる位置に、新たに装着しました。

パンタ横のランボードは、プラ板とStripStyreneからの自作です。
正確な位置や寸法はわからないので、それらしく作りました。
足もちゃんと作ってあります。
自由形荷電で経験済みだったので、今回は比較的ラクに作ることができました。

②ベンチレータ
ベンチレータは、車両限界の関係からか、断面が台形になった特徴あるものです。
これを再現するのにはどうしたらよいか、適当なパーツもなく、途方に暮れてしまいました。
でも、無いものは仕方ない・・・簡略化して自作しました。

はい、1mm厚プラ板を適当な大きさに切り出し、屋根に並べただけです。
大きさと位置は写真から割り出したので、まぁ、雰囲気は出たのではないかと。
・・・断面は台形になっていませんが。

③配管
これも正確なものがわかる写真がないので、
前方上からの走行写真から、なんとか判別できた部分を、 「らしく」やっています。
前パン2050はφ0.3mmを1本、後パン2000はφ0.2mmを2本使い、
車体前方から妻面方向に延々と這わせたので、配管留めの数が多くて、かなり参りました。
単純な配管ですが、とても時間がかかりました。
尚、連結側妻面で床下に降りる部分は写真がないので、全くの想像です。
でも2両の配管形状が同じになるよう、留意しました。
また、デハ2000の運転席上も、不鮮明な写真しかなかったので、適当にやってあります。


パンタ、ランボード、ベンチレータ、配管・・・これらが揃って、ぐっと雰囲気が出てきました。
パンタはまだ仮のものですが。。。


その2 :塗装と仕上げ、そして完成
*台車の選択
ここまで、台車は種車小田急のものを仮に付けたままでした。
しかしさすがにこれは・・・実車と形が違いすぎます。
そこでGMの台車をいろいろと物色して・・・KH55タイプというものを選択しました。
少しだけ削って似せてみましたが、まぁ、似ていなくもないかなという、気休め程度です。

さて、鉄コレ床板にGM台車はキツキツになってしまい、装着できません。
そこで、StripStyreneの3.2mmパイプをボルスタに埋めて、
KATOの台車固定ピンで固定するという方法にしました。

*床下機器
デハ2000の方は、私鉄電車のアルバムに両側面の写真があったので、
GMのバルクパーツから、実車に似せて機器を配置してみました。
尚、こちらを動力としたので、機器はバラバラにして、裏面をスライスした上で、
ゴム系接着剤で固定しています。
特に留意したのは、国鉄のようなブロワ付きの主抵抗器。
形状が似ている103系用のものを切り出して並べました。

鉄コレ動力にGM床下機器を貼るときは、こうしていつも手間をかけなくてはなりません。
鉄コレに無加工で合う床下機器を、どこかが出してくれませんかね。

尚、デハ2050は、不鮮明な片側の写真しかなかったので・・・
鉄コレとGMの余った床下機器を適当に並べただけです。
まぁ、雰囲気は出たのではないでしょうか。

*前面の仕上げ
腰部標識灯には銀河の旧型車両用テールライト、
オデコのテールライトには同じく銀河の半流旧国用テールライトを装着しました。

オデコ部分はライトの埋込加減が難しく、注意が必要でした。
また、曲面に斜めに挿し込むため、どうしても隙間ができてしまいます。
ここも溶きパテを流して耐水ペーパーで整形しました。

*パンタ再び
GMの新しいPT42が手に入ったので、下半分の横枠と斜め枠を切り取って、
実車と同じ形に改造してから装着しました。
尚、富士川車両のパンタ台も使用しています。

*ボディ塗装
さて・・・ここまで触れてきませんでしたが、この車両の最大の懸案は、車体色です。
そのものズバリの色があるはずもなく、また、近似色もあるようなないような・・・
模型仲間のアドバイスでは、クレオスのルマングリーンはちょっと明るすぎ、
ガンダムカラーのザクグリーン2は少し渋すぎるということでした。

両方とも買った私は・・・ここでしばらく思案します。
そして考えました。

両者を少しずつ交互に吹いたらどうなるだろうか?

これは無謀な賭けだったのですが、
黄緑という色は隠蔽力が弱いということが幸いし、重ね塗りはうまくいきました。
互いの色が透けて見えるので、色合いを調節しながら交互に吹いていけたのです!

自分の記憶の中にある京王のライトグリーン・・・それを表すことができたと思っています。


2色を重ね塗りして表現した京王ライトグリーン。床下機器、台車、前面ライト類もできています。
連結器は仮にSHINKYOを装着

*前面サボとジャンパー栓
行き当たりばったりで、工作に計画性の無いのが私の特徴です。
塗装まで済ませたというのに、前面サボをここで作りました。
行き先サボは、0.3mmプラ板にStripStyreneで縁取りしたもの、
種別サボは0.3mmプラ板を切り出したものです。
寸法と位置は、実物の前面写真の比率から割り出しましたが、
まぁ雰囲気は出たのではないでしょうか。

ジャンパー栓も、実物写真を見ながら、それらしくまとめました。
手持ちのパーツをいろいろと流用しています。



そして再度ボディを塗装。
やはりルマングリーンとザクグリーン2を交互に吹いて、色調を調整しています。
尚、連結器はSHINKYOを使い、床下側に銀河の旧国用胴受けを付けてみたのですが・・・
連結器がデカイのと胴受けが引っ込みすぎだったので・・・この後交換しています。

*細部の塗り分けなど
車番、京王マーク、K.T.R.マークはGMのインレタ。
前面オデコの車番はちょうど湘南顔の折れ目にかかっていて、貼りづらかったです。。。
前面窓のHゴムには、ハンブロールのクリームを面相筆で塗りました。

屋根はタミヤのグレーバイオレットで塗ってから、
ベンチレータとパンタ横ランボードに、ハンブロールの明るい灰色を筆塗りしました。
濃いめの屋根と明るめのベンチレータのコントラストが素敵です。
パンタグラフはタミヤのシルバーメタル・・・すっかり私のパンタ標準色です。

ヘッドライト、標識灯、テールライトには付属のレンズを入れて、瞬間接着剤で固定しました。
尚、腰部標識灯が赤いのはおかしいので、装着後にタミヤエナメルの銀を筆で色差ししています。

ここまで来たら・・・すっかり京王顔に!
いやー、この顔、かなり似てませんか?
羽後交通から作ったとは思えない!
GMきっとのオマケにある京王顔より、よっぽど似ている!
・・・と、自画自賛です。有頂天です。

欲を言えば・・・2000系にしてはちょっとヘッドライトが小さかったようですが、
まぁボディは小田急なんだし、各部の寸法もいい加減だし、あくまで「タイプ」ですからね。。。


インレタを貼って前面を仕上げると・・・もうすっかり京王グリーン車!素晴らしい!

*床下塗装と仕上げ
床下には、クレオスの軍艦色1を塗りました。
台車やジャンパー栓にはメタルプライマーを吹いてから、灰色にしています。
軍艦色1はちょうど手元にあったから使ってみたのですが、
京王の床下には、手頃な色合いだと思います。

また、どうも気に入らなかった前面の連結器周りは・・・
鉄コレ第10弾の気動車からダミーカプラーを拝借して取り付けてみたところ、
おお!これでぴったし!
喜んだのはいいのですが、塗装するのを忘れています(笑)

*窓入れ
さぁ、完成までもう少しです。
有頂天になっている場合ではありません。

前面窓も側面窓も、鉄コレのタネ車のものが使えます。
どちらもはめ込み式なので、とても雰囲気がよくなります。
ただし・・・側面のドア窓はHゴムで・・・京王独特のクリーム色にしなくてはなりませんでした。
これが結構大変で・・・何度もはみ出しては修正しました。
どうしても綺麗にできなかったので、これが自分の実力だとあきらめ、妥協してしまいました。
それに鉄コレの銀サッシ印刷は意外と脆く・・・一部がかすれてしまったのも残念です。

まぁ・・・本当は2000系のサッシは、ボディ同色なんですけど。
これは綺麗に塗るのは無理だと、このままにしています。

*貫通幌
GMの広幅貫通幌を貼りました。
鉄コレ車体には少し大きいし形も異なるのですが・・・
手持ちのものを無理やり貼りつけています。

これがあるのとないのとでは、ずいぶん違いますからね。

GM製の幌

*ついに完成
できました!
塗装を落としてから完成まで、1ヶ月半かかりました。
思い入れの無い車両だったため、最初の頃、進捗が極めて遅かったのですが、
ヘッドライトを金属製に交換したあたりから、俄然スパートがかかりました。
以降はもう、勢いで・・・平日の夜にもシコシコと工作し、
翌日の仕事に影響がでてしまうこともしばしばでした。。。

今回は、車両の命ともいえる「顔」を、ほとんど自作した、
それがわりとうまくできた・・・というところがポイントが高く、
超お気に入りの車両になりました。

もちろん、よく見れば、相変わらず加工の傷があるとか・・・反省点はいろいろあります。
でもそれらは次に活かすことにして、
ひとまず京王2000系タイプの製作記を終えることにしましょう。

完成です!






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