このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

TOMIXロコにKATOカプラーアダプターを装着



*はじめに・・・昔話から
もうあまり記憶に残っていないのですが、小学生時代に購入した科学教材社刊「Nゲージ」には、
関水(現・KATO)のオハ31系を改造してオハフ30を作る、というような記事が載っていたと思います。
オハ31系は、旧C50と一緒に日本初のNゲージ製品として世に出て以来、今でも生産が続いています。
しかし製品はオハ31、オハニ30、オロ30の3車種しかなく、編成の最後尾はいつもオハニにせざるを得ません。
そこで・・・オハの客室部分とオハニの車掌室部分を切り継ぎ、オハフ30にしようというものでした。
ポイントは、「切って繋ぐだけでヤスリがけや塗装はしない」ということ。
工作力も知識も全くなかった小学生には、そんなことができるのか!と、
とにかく驚嘆の記事だったように記憶しています。

しかし当時の私は客車には全く興味がなく、ましてや戦前のダブルルーフ客車など、
改造する前に、手に入れる気にもならず、いつしかそのことは忘れていました。

オハ31とオハニ30(これは改造しなかった'70年代のロット)

そんな私も40歳を超え、次第にオハ31系も欲しくなってきました。
中古模型ショップやネットオークションで'70年代、'80年代、'90年代のロットを少しずつ買い集め、
いつの間にか結構な勢力になったのです。
それとともに「Nゲージ」の記事のことをふと思い出し、
その改造を、いつかやりたいと思うようになりました。

*タネ車を入手、早速分解
改造する気にはなっても、せっかく買い集めたものを使うのはもったいないと思っていた2007年、
とある中古模型ショップで、箱ナシのジャンク品として、
'80年代生産のオハとオハニが格安で売られているのを発見。
2両買っても1両の新品定価に満たないほどの安さ!・・・購入したその日に、早速工作にかかりました。

まずは分解です。
旧103系、キハ20系などもそうですが、このような古いKATO製品は、とにかく分解が面倒です。
屋根と床板は窓ガラスパーツにきつくはめ込まれ、これらがボディをがっちりと挟み込んでいます。
全く、後で分解することなど、考慮されていない設計なのです。

分解するには、妻面の貫通扉から細いドライバーを差し込み、無理矢理屋根を持ち上げるしかありません。
このとき、貫通路付近を傷めやすいので要注意です。
特にこのオハ31系は車体長が短い(17m)ということもあってか、ちょっとやそこらの力ではびくともせず・・・し持ち上がった屋根に爪を入れ、爪楊枝を挿したりしてみましたが・・・うまくいきませんでした。
結局、力任せに押し上げることで、無理矢理外しました。
その結果、屋根板のエッジ部分や窓ガラスパーツを少し傷めてしまいました・・・

やっとの思いで分解した2両


*切断位置を考える
参考にしたのは、機芸出版社刊「 陸蒸気からひかりまで 」です。
そのイラストを見ると、若干窓位置は異なりますが、
オハのトイレと反対側の車端部を切り、オハニ30の車掌室部分を移植すれば、
ほぼオハフ30になることがわかりました。

但し、オハ側客室の「細い窓柱」とオハニ側車掌室の「太い窓柱」、
これを足さないと、車体長が若干(1mmくらい)短くなってしまいます。
どちらにもリベット表現があるので、これらを足すと・・・ここだけリベットが2列になってしまうのです。
今回の加工では塗装はしないつもりなので、ヤスリがけしてリベットを消すことはできません。
車体長が短くなるのを妥協し、(客室側の細い窓枠を使わず)屋根や床板も短く加工する方法もありますが、
屋根や床板も無加工にしたかったため、それもできません。
結局、切り継ぎ位置だけリベットが2列になってしまうことを我慢し、切断位置を決めたのでした。

*切断、接合面の仕上げ、そして接着

オハの客室とオハニの車掌室を切り出し、仕上げている最中。

切断には、模型用のレザーソーを用いました。
仕上げシロとして、1mmほど余裕を持たせて切断しています。
切断できたら、本来の位置までヤスリがけして仕上げていきます。
車体のリベットが目安となって、ヤスリがけはやりやすいと思います。
最初は目の粗い180番で削ってゆき、400番で仕上げました。
直角、平行、水平に注意し、少し削っては目視し、張り合わせてみて、くれぐれも削りすぎには注意します。
慎重にやれば、なんとかぴったりと合わせることができると思います。

尚、この製品は、ボディと車内が一体になっていて、床板表現もあります。
この部分も綺麗に仕上げればよいのですが、面倒なので・・・
床は側板よりも奥まった部分まで切り欠いてしまいました。
どうせ小さな窓では、室内などほとんど見えませんし。

接合面が仕上がったら、少量の瞬間接着剤で仮止めし、
位置を確認したら、裏面に瞬間接着剤を流して、完全に固定しました。
オハとオハニは金型が異なるので、雨どいやシル・ヘッダーの形状が完全に一致はしていないし、
ここだけリベットが2列になっていますが・・・
接合面の仕上げがうまくいけば、製品の塗装そのままで、ほとんど違和感なく継ぐことができました。

尚、今回は接合箇所には補強はしませんでしたが、
屋根、窓ガラス、床板は切り継ぎしていないで使用するので、強度的にもこれで充分だと思います。


左写真:裏から瞬間接着剤を流して固定。床板は簡略化のため、ぴたり合わせるのはやめました。
右写真:肉眼では、接合位置はほとんどわかりません。

*屋根と床板の固定方法の改善
分解のときに難儀した屋根と床板の固定部分のツメは、両側面に3箇所ずつあり、かなり強固です。
改造した車体を同じように組み上げると、次回分解の際に側板の接合部が取れてしまうでしょう。
なので、床板固定のツメは、中央の左右1箇所だけにしました。
これで窓ガラスと床板が充分に固定できます。


左写真:床板固定用のツメは、車体中央の左右1箇所だけ残します。
右写真:このように窓ガラス板と固定されます。

続いて屋根です。
これも厳密に言えば、ベンチレータの位置が実車とは異なるのですが・・・
切り継ぎは大変だし、うまくできてても効果が少ないので、そのまま使うことにしました。
但し、やはり分解を考慮して固定用のツメは全て削り取り、ボディにはめ込むだけにしました。
車体長がうまくできていれば、「きゅっ」という感じではまるので、これでも充分に固定され、分解も容易です。

屋根は、左右片側3箇所のツメをずべて削り取ります

*組み上げと仕上げ
さぁ、組み上げてみましょう。
まるで製品そのままであるかのような・・・オハフ30が現れるはずです。
赤帯は「車掌」という文字近くまであるんじゃないか?とか、
車体表記がオハ31のまんまじゃん!・・・そういったことはどうでもいいのです。
完成品を簡単な加工で別車種に仕上げる、ここに意味があるのです。

スバラシイ!
もう、編成に組み込んで走らせ、眺めるしか、ありませんでした。

ただ・・・遠目でもちょっと注意して見ると、接合箇所がわかってしまいました。
車体はグレーの樹脂で出来ているので、接合箇所にほんのちょっとでもメクレがあると、
そこが白っぽく見えてしまうようです。
そこで、茶色いパステル(粘っこいタイプ)を傷口にすり込むとともに、
ボディの他の箇所にもすり込んでみると・・・
おおお!ほとんどわからなくなりました!

再度・・・スバラシイ!

もう、編成を組んで延々と走らせ、眺めるしかないでしょう!
ロコはもちろん、C50かC11です。
この車輌がなければできなかった貨車数両+オハ+オハフという混合列車なんて、とにかく最高です!



*終わりに
案ずるよりも、まずやってみること、それをまさに実感した今回の工作。
分解開始からパステル仕上げまでに要した時間は、たったの1時間ちょっとでした。
2両使って1両を作るのは確かにもったいないことではありますが、
オハ31系は元々定価が数百円という安い製品なので、あまり抵抗がないのもいいですね。
もう1両、作ってみようかな。。。

それとともに、やはり気になってきたのは、屋根の色です。
旧型客車の屋根は、濃いグレー・・・というより、錆色の混じった黒のはず。
製品はなぜか、決まって明るいグレーなのが、納得できません。
今後他の31系ともども、屋根色を変えようかと思っています。

・・・気が向けば、車体表記もオハフにするかな(笑)









このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください