このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください







*最初に
ここ数年の私の活動は、中古品の修理を行う位で、
GMのキットを購入しても仕事のストレスからか・・・落ち着いた工作が出来なくなっていました。
しかも年々老眼と乱視は酷くなる一方で、
「このままでは、いざやろうとした時に出来なくなるよ!」とLM328iに脅される始末・・・
言われる以上に自分の体は自分が承知しているので、
ここは一念発起、今までの仕掛の仕上げをしてみる事にしました。

まずは「 やっぱ学研! 」の記事で最後に紹介した、
20数年ほど前からの仕掛品である・・・学研製EF60の2輌の仕上げを試みることにしました。

この2輌のEF60は、本をただせばそれぞれ20年前に
一般色は一般流通で購入、特急色は百貨店の模型売り場で投売りされていた物です。

やっぱ学研! 」の記事で説明した様に、正面窓ガラスがどうしても我慢出来ず、
確か一般色の方だったか・・・
KATO製のEF65の正面窓周りにマスキングゾルを塗り重ね、
剥がしたマスキングゾルを「型」としてエポキシ接着剤で窓周りを表現しています。
その完成後、レジンコピーをして、もう一輌の前面にも貼り付けました。

当時自画自賛の車体は、塗装を剥がされていてもこれで大満足だったため、
長きに渡り放置されておりました。。。


左:Hゴム周りをKATO旧製品のEF65の窓廻りをマスキングゾルでコピーし、
 エポキシ接着剤で表現した学研EF60・・・今回の工作で一般色になる予定。
右:上記の正面をウレタンで型取りし、レジンでコピーした正面を貼り付けたもう1輌。
 今回ぶどう2号色になる予定。

そして2004年。。。
ネットオークションで「TOMIX製の動力ながら車体が綺麗な学研製車体を纏ったEF60美品」
2輌を落札します。

しかし、TOMIX製の車体が学研製の車体に対して1.5mm短いためか、
動力の左右のダイカストを固定するスカートの爪は削られ
スカート位置を前方向にずらそうと試みられたのか、
スカート自体が前後方向に固定されていないどころか
本来の目的であるダイカストの押さえもなっていて走りも良く無かったのです。
そこで今回加工対象にしている2輌の学研オリジナルの動力を、
その2つの車体と交換してしまっていました。


*TOMIX旧製品EF65PFスプリングウォーム動力を、学研製EF60に使用する
その後また長いブランクがあったわけですが、
まずはTOMIX旧動力の修理からの再開となりました。
ネットオークション落札時の成り行きで使用することになったYOMIX製動力は、
1000番代用であるため・・・台車の砂箱の向きが実機とは異なりますが、
学研製も永大製PF1000番代用を使用しているので、
学研製オリジナルと台車の形状は変わる事がありません。
今の水準からすれば砂箱もEF60用に変更したいのですが、
材質も加工しにくいものなので、これで良しとしましょう・・・か。

・左右の動力ダイカストを固定するスカートパーツの爪の再製方法と位置

対象となるパーツはかなり弾力のある軟質プラで整形されており、接着剤は一切効きません。
そして・・・その位置はどうするか。。。
新しい爪は、軟質プラに「心棒」を立てて、再製した爪をその心棒に貼り付ける様にしまし
た。つまり・・・
・スカートパーツに貫通しないよう、爪になる箇所に1mmの穴を斜めに空ける
・空けた穴にプラモデル用の流し込みタイプの接着剤を溜める
・ランナー引き伸ばし線を押し込み圧着し、溶着させる
・心棒となったランナー引き伸ばし線を表面に少し残しカット
・0.5mm厚のプラ板を帯状にカットし、心棒となったランナー引き伸ばし線に、
 プラモデル用流し込みタイプの接着剤で圧・溶着させ、新しく再製した爪としました。


爪を再製中の、左右の動力ダイカストを固定するスカートパーツ。
左から
1番目:0.5mmのドリルの刃の反対側を焼き空ける箇所を溶かし
2番目:1.2mmの穴を空け流し込みタイプの接着剤を溜め
3番目:ランナー引き伸ばし線を押し込み圧着し溶着・切断
4番目:帯状にカットした0.5mm厚のプラ板を爪として貼り付け。

再製した爪の位置は、スカートと学研製車体正面が面一に(つまり元の位置より約0.75mm前)に
なるように・・・とも考えましたが
左右の動力ダイカストを押さえる力が弱いと、動力の調子を良くすることができなくなるため、
TOMIX旧製品どおりの位置としました。
PFのスカートをEF60用に加工するにしても、接着できる素材ではありませんので、
修理再製後、動力にはめ込み不要なスカートは削除しました。


再製した動力ダイカストを固定するスカートパーツの爪は、製品の通りの場所!
スカートは削除してしまいました!!

*車体の加工
もう20数年前の製品の為、如何に当時の学研製品の窓廻りを改造したからとは言え
さすがに・・・所々が現在の製品に対して見劣りしてしまいます。

そこで工作の方針として。。。
・正面のHゴムを加工したものを・・・・・・・・・・・・・一般色
・正面にそのレジンコピーのパーツを使用したものを ・・・ぶどう2号色
にする事に決定。

2輌共、最近の製品の中に入れても見劣りしないように。。。
①正面レジンコピー機のパーツ付け合せの修整
②テールライトの交換
③高圧引込線の表現の交換と新製。
④避雷器の位置の修整
⑤ホイッスルと信号炎管の交換
⑥正面手摺りの別パーツ化
⑦車高の調整とスカート
⑧塗装

と言う計画で、2輌の加工をを同時進行させたのでした。

①正面レジンコピー機のパーツ付け合せの修整
なるべく継ぎ跡を残さない様、きれいなぶどう色2号一色にまとめようと、
とにかく継ぎ目を修正しました。

過去に瞬間接着剤で貼り付けた自作レジン正面は、
お世辞にも側面とツライチに接着されているとは言い難く、
段差を容認して継ぎ目を修正しても正面両端のRが崩れそうだったので、
過去の接着を剥がしながら一度レジン正面パーツを切り離し
側面・屋根部部分が側面と滑らかに繋がるよう、接着し直しました。

また、この時点で製品オリジナルボディで気に入らなかったモールドを、2輌共に削除しました。
・反射板が表現された標識灯
・その両脇の手摺
・高圧引込線
・ホイッスル
・信号炎管
・避雷器、及びその台座(位置が少し後退気味)

尚、窓下手摺は位置が少々低いですが、モールドのままとしました。

また、正面の銀帯の厚みは、少し薄くしました。
塗装工程上の為か手摺類と同じ高さとなっており、非常にゴツゴツとした印象を受けるので。
セロハンテープをシンボルラインの淵に沿って貼りセロテープの厚みほどまでに薄く切削しています。
ここはメタルテープを張る予定なので、
テープの厚みが加わった際に窓下の手摺より高くならないようにした、
というのがのが本音ですけど。。。

ここまで来ると完成の姿が想像でき、最近の癖で・・・ついつい眺めてしまいそうになりますが
ここは完成させる固い意志を持って、切削してしまったディテールの再生に入りました!!

えいえい!オ〜!!

②テールライトの交換
両機共に反射板が取り外された小判型テールライトにすることに決定したので、
銀河製のパーツを使います。
但し銀河製パーツを取り付けたのは正面レジンコピー機の1輌だけとし、
もう1輌へは・・・経費節減の為、後で紹介する・・・

パンパカパ〜ン!!今回のハイライト!

「エポキシ接着剤での表現」としました。(って、既にネタはばらしていますけど)

③高圧引込み線の表現の交換と新製。
④避雷器の位置の修整


旧い製品を現在の製品と同水準に近付けるためには、
現在の製品のディテールを移植するのが、手っ取り早い方法でしょう!
そこで登場願ったのは、KATOさんのEF60。
さすがにNの世界に新世紀になってから登場させたこのロコには風格があり、
個々の表現が素晴らしい!

しかしながらあまりにもスタイリッシュでカッチョエエし、
全長が伸びて・・・実機を知る者としては印象がずれちゃった。
この評価は前の記事に書いたとおりですが、
今回は個々の表現のディテールを移植させて頂きます。。。
個人的に楽しむのでお許し下さいねっ。

移植と言ってもディテールを切り取って使用するのはもったいないし、
レジンで複製を作るのも、経済的にはやっぱり辛い。

そこで!!
過去に正面のHゴムを加工した工法・・・
マスキングゾルで型取りエポキシ接着剤で整形する!工法で
各ディテールを表現しました。
使用するのは、MR.HOBBYクレオス社製MR.マスキングゾル改」とエポキシ接着剤です。

高圧引込み線を例に取ると..、

【位置決めと土俵作り】
・コピー部分のディテール(KATO製EF60の高圧引込み線)に
 マスキングゾルを少々塗り重ねる。
・マスキングゾルが乾燥後、成型移植側(加工中の学研製EF60)に仮止めし
 ディテールを表現する箇所を決定する。
・なるべく表現するディテールの大きさに近い穴を開ける。
・開けた穴の裏側を、その穴の2回り大きなサイズののドリルの刃で皿もみする。
位置決めが終わったら時点で、使ったマスキングゾルは不要となる。

【型作り】
・コピー部分のディテール(KATO製EF60の高圧引込み線)に気泡が入らぬように
 マスキングゾルを薄く塗り、乾燥後気泡が入っていない事を確認したら再度厚
塗りする。
・何度か重ね塗りし適度な厚さを保ったら剥がして型とする。
・移植する側の車体の余計なディテールでマスキングゾルの型が浮いてしまわないよう、
 なるべく移植箇所に密着するよう、マスキングゾルの型の余計な箇所をカットする。


KATO製ボディから、ディテールを型取り中。
写真では、パンタ台とパンタに繋がる高圧配線・避雷器の台を型取ってます。

【成型】
・少量の塗料を混ぜて着色したエポキシ接着剤のA・B液をよく混ぜる。
・位置決めの際に開けた穴の裏側にセロハンテープを貼っておく。
・出来上がるディテールの心棒とする為、爪楊枝等を位置決め時に開けた穴に押し込む。
・型としたマスキングゾルのディテール部分に気泡が入らないように
 混ぜたエポキシ接着剤を流し込み、成型する場所に軽く圧着。

強い力で圧着させると潰れたディテールが出来上がるので注意です!
エポキシ接着剤は良く混ぜておかないと大変な事になります。
また、車体裏側にセロハンテープを貼っておかないと
ディテールとなるエポキシ接着剤が流れ出てしまい、
人の入っていない着ぐるみのようなペコペコ凹むディテールが出来上がり・・・愉快です。

【型の剥離】
30年前に売られていたマスキングゾルにはグンゼ製とタカラ製があり、
グンゼ製は硬化後も水に溶けませんでした。
対してタカラ製は水に溶けてしまうので、当時はグンゼ製を使用し、
剥離するときは入浴時に湯船に放置しておくと
気持ち良いほど「パカッ」とマスキングゾルが剥離し、エポキシのディテールが現れたものです。

現在売られているクレオスの「マスキングゾル改」は、残念ながら硬化後に水に溶ける性質です。
久しぶりにこの工法を実施した時、湯船に漬けるやいきなり溶けだし、
慌てて取り出し絶望したのですがが・・・逆にその溶解スピードに注目しました!
つまり・・・

・少々熱めのお湯に入れマスキングゾルを指の腹で軽く擦る。

剥離というより型の溶解です。
風呂桶に少々熱めのお湯を入れて擦っていると、綺麗なディテールが
車体に初めから成型されていたかの様に現れてくれたのです!!

・爪楊枝などで、出来上がったディテールの廻りに薄く残るエポキシ接着剤を取り除く
・デザインナイフなどで、ディテールの境界線をストレートに整える。
・裏から瞬間接着剤を長し、表現したディテールを固着する。
 高圧配線の先端などはカッターの先を利用して、微量の瞬間接着剤で固着する。
・まだ粘ったように残ったエポキシ接着剤があっても、
 3日程の放置でカリカリ擦り取れるようになります。

左上:エポキシ系接着剤を撹拌。引き込み線の碍子がある為白を混ぜてます。
   パンタ台の箇所は塗装が剥げても目立たぬようボディ色を混ぜました。
右上:圧着中。
左下:型を溶解
左右:余計なエポキシを爪楊枝で取り除き、この後デザインナイフで更に仕上げを整えました。

*補足・・・上手く行くコツ
・型が密着するようにする
 上記写真左上では高圧引込み線をマスキングゾルで成型した型をカットしています。
 これは、KATO製と学研製とで、リベットが表現されている屋上パネルの、
 厚さ、リベットの形状、位置の違いによる、成型時の浮き上がりを防止するためです。


高圧引込み線だけが密着するように、リベットの表現された屋上パネル(屋根板)の部分をカット。
・・・って完全にカットされてない!
 
 またパンタ台の位置決めは、ランボードの内側を使用すると、簡単にできます。
 しかし今回の作例のようにランボードの内側を目一杯残してしまうと、
 エポキシが硬化するまでに、型を持ち上げてしまうようです。
 型のディテールの凹みの周りに切り込みを入れるとか、
 型の四隅のみ残すとかして、車体密着するような工夫が必要です。

・位置決めは一発で
 エポキシを塗りつけた型を車体に置く際は、ほぼ一発で位置決めしないといけません。
 置きなおしたり大きく移動させると、
 エポキシの量が減って、出来上がったディテールがもろくなります。
 なので、置き場所がずれた場合は、型を持ち上げてエポキシ接着剤を型に充填し、
 再度一発で置きなおす必要があります。

・エポキシの着色
 エポキシを着色しておくと、成型後の細かな欠けや気泡を発見しやすくなります。
 また、エポキシはABSより若干塗装の食い付きが悪いようなので、
 塗装が剥げた時にも目立たぬよう、塗装色より濃い色を若干混ぜています。
 塗料の量はほんの少しでよく、多すぎるとエポキシの硬化が遅くなります。

エポキシ系接着剤はプラスチックを溶かす事が無く、
もし失敗しても剥がす事ができ、何回もチャレンジ出来ます。
マスキングゾルの硬化に時間が掛かる事が難点ですが、
私の経験では、造形の収縮は殆どなく、20数年が経っているものがあります。

(参考)過去の作例
一番の作例は、今回のEF60のHゴム周りですけど、他にもこのようなものがあります。


KATO製タキ3000のブレーキハンドルにマスキングゾルを盛りつけ、
硬化したマスキングゾルの型にエポキシを流し、プラ板に押し付け作製したブレーキハンドル。
薄くやすって、ヨ6000の円盤型になっているブレーキハンドルと交換しました。
エポキシを黒くしたので、確か無塗装だったと思います。
成型から25年ほど経っていますが、未だに収縮することも無く、このようについています。

(つづく)






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