交流機の代名詞とも言えるED75。
SONYブランド(非売品)・・・国産初のNスケール
TOMIX香港製
KATO・・・・・・・・3機種
永大・・・・・・・・耐寒仕様
TOMIX国産
と・・・数年毎に良いタイミングで世に送り出されました。
左からTOMIX製1000番台(LM328i所有)、エーダイ製加工(OKI所有)、
KATO製耐寒型(OKI所有)、エーダイ製(LM328i所有)
SONYブランド(非売品)
幻の国産初のNゲージ(
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)
これは写真でしか見た事がなかったのですが、
3年前の冬に、都内の模型店で偶然お目にかかることが出来ました。
店員のお兄さんの話によると、時々現れるお客さんが元SONYの社員で、
3セット持っておられるうち、車輌のみを置いていかれたとの事。
ローズピンクに近い色合いのブリキ(?)の車体に、グレーのダイカストの屋根上。
無骨な下回り。ショーティな客車が2輌。
説明を受けている内に、ダイカストの屋根がポロッと取れて床下にカラン!
焦るのは私だけで、「譲ろうか?」との話も・・・!
この製品は、日本で始めてNゲージの製造・販売に挑戦しようとした製品だから、
店の宝にしてウィンドウの中心にでも飾ったほうがいい、と提案すると、
その後本当にそのようにされたのには・・・少々びっくりしました。
この話をLM328iにすると、何でもらわなかったんだと叱咤されましたが、
今となってはその店員のお兄さんも辞められて、
あの時貰っておけばよかったと後悔するところであります。
TOMIX香港製
1973年KATOがD51をC62よりも500円高く、\5,500発売した頃、
TOMIXはトミーナインスケールという、黄色い紙のパッケージ゛に50mm位の線路を一本入れ、
2軸貨車を300円か350円で各種発売していました。
そのトミーからのED75の発売予定。
とにかく新しい機種が関水金属以外のところから発売される、
この期待は今では決して味わえないものでした。
しかしモデルの発売前の写真を見ると・・・今のプラレールよりも酷いのではないかという物で、
赤いプラ地にはめ込み式の窓ガラス等付く訳も無く、
Hゴムの部分と車体の厚みに白い塗料が吹いてあるだけの車体。。。。
しかし正式発売品はかなりの手直しがあるのでは?と期待したものでした。
いよいよ発売を迎え、渋谷のデパートで見たその製品は、
黄色い筆入れタイプのプラパッケージに誇らしげに梱包されていて、
中身を見ると・・・・発売前のあの写真そのものでした。
これは頂けない!と周りにある圧倒的なHOの製品の中で、
N全体がみすぼらしく感じ、購入意欲をまったく感じない製品でした。
ただ作ればユーザーが飛びつくと思っているのか・・・これを買っては負けだ!
なんて訳の分からぬ感情が沸いて出たように覚えます。
今思えば、安価な動力車は当時歓迎に値するに等しく、
話の種に1輌位は買っておいたら面白かったかなと思いますが、
当時の小遣いでは数ヶ月分に値し、聞いた話だと動力も古い時代を象徴するラグ配線、
走りも酷いとのことでやはり抱いた感情は当たっていたのかな?
(これはTOMIXブランドになってからの末期製品。LM328i所有)
KATO・・・・・・・・3機種
今ではマイクロエースのお家芸的1機種多種類の販売方法は、このED75が始めてだったかと思います。
もっともマイクロエースに関しては特定ナンバー機ですが・・・
KATOがED75をついに発表する。
しかも一般、耐寒、700番台奥羽線用と一度に3機種も!
正にテレビゲームがこの世に出現する数年前、
第1次Nゲージブームが終焉を迎える頃の出来事だったでしょうか。
三度の飯の時間、もどんな形で発売されるのか・・・・ワクワクする気持ちで待っていると、
遅れも無く発売日を迎えた事と記憶します。
耐寒タイプはひさしを別パーツで、ぴんと張っているだけでなく、
ワイパーの掻き取りまで付き、掻き取られた部分は水切りまで表現されている。
こいつは凄い!!しかし、実際にその耐寒タイプを購入し手にして見ると、
まず期待外れだったのは前面窓ガラス。。。。
Hゴムを車体側に表現することで、EF65PFでのイマイチ感を大幅に解消している点は、
とても評価できる点でしたが・・・・
肝心の窓ガラスが薄く、車体との面一感が全くない。
こんな形になるのであれば、わざわざ窓ガラスの型を起こさず、
裏からセルロイドでも貼ったほうがコスト的にもよかったんでなかろうかと、
個人的には評価しました。
前面とスカートとの隙間が異常に開いているのも気になりました。
各パーツの寸法はおかしくないのに何故?・・・とよく調べ、車体の裾を正面から見ると、
車体が側面中心から車体端にかけて、くの字に反りあがっています。
従って両前面の位置が上に来ている為、スカートとの間に隙間が生じている・・・
動力に関しても、購入時に5輌はテストさせてもらった記憶がありますが、その全てが首振り走行。
一番ましな1輌を購入し分解調整するも、あまりよくならず、
結局ダイカストの歪みがあるのではないかと判断してしまいました。
その数ヶ月後に発売されたEH10に関しては、全く問題がないのに・・・
EF58以降?CADによる設計が始まったとかで、製品の発売も格段にサイクルが早まり、
新製品が年間に何種類も出てくるようになったのは非常に嬉しい事でしたが、
このように素人が見てもおかしいと思うものは、設計の段階で改善してもらいたいものです。
CADによる設計。
これが原因では無いとは思いますが、この頃のKATOのモデルには「丸み」を感じません。
EF15、数年前に発売されたC58までは特にその傾向が強く、まるでサイボーグのように感じます。
それと合わせて、塗装の乗りを考えてディテールの表現が薄い。
ED75の耐寒型の正面の通風孔などは、蛍光燈に照らしてやっとその存在が分かる程度・・・
当時、エンドウや中村精密・エーダイ・しなのマイクロと、Nの新参メーカーが出てきて、
新幹線の200系では完全にTOMIXのほうが表現は上、
KATOも新製品を出すのにかなりの焦りがあるのか・・・と勝手に想像したのでありました。
ED75に関しては初回の生産後、何度かの再生産を繰り返しているとは思いますが、
全く魅力を感じず、どのように改善されたのか不明です。
雑誌などで見ると・・・
・首振りスカートがKATOカプラー装備でボディ固定化。
しかし前述したスカートとの間の隙間はふさがっただけで、
ジャンパー栓の位置が、そのぶん低くなってしまいました。
・2003年であったか、この動力もリニューアルされましたが・・・車体は当時のまま。
しかし側面の反りは改善されたか、スカートはジャンパー栓周りがEF81同様抜けていて、
かなり良い表現になりました。
TOMIXのいろんな製品が、旧製品の「型」にディテールを追加し改善しているのに対し、
KATOは発売当時の型に固執します。
窓ガラスは確実に手直しがあるはずと期待しましたが、そのままの形で発売されています。
走行パフォーマンスの充実したその製品を店頭で見ると、
KATOは初回の設計を非常に尊重し、走りを売りにしているんだな・・・と感じます。
が、しかし、現在の新製品は前面手摺を別パーツにする等の矛盾が発生・・・・
対抗メーカーの、KATO並み、KATO以上の表現に、
ついに2004年、変化せざるを得ないのではないでしょうか?
エーダイ(学研)・・・・・・・・耐寒仕様
エーダイ製をベースに、各種加工を施したED75
この製品ほど、見れば見るほど感心する製品はありません。
エーダイとして発売された時、質の悪さを感じさせる前面ガラス、
大きく掻き取ったスカートの周りの、表現の乏しいジャンパー栓。
見た目ではKATO製品のほうが全く上。
どちらかというと玩具的に見えてしまうこの製品は、当初全く購入する気になりませんでした。
その後エーダイ自体が倒産、学研に販売移管した製品が、
非常に安く渋谷の大型模型店に置いてあり、この価格なら・・・と購入した覚えがあります。
持ち帰って手に取った永大製品は、発展途上国が生産したかのような、
透明せいの悪い前面ガラス、KATOとは対照的な縮み上がったヒサシ。
台車マウントのカプラーの動きを妨げぬようにと、大きく口の開いたスカート。
何故かパンタは2枚の板バネが付いているくせに高くは上がらず、
これらの事が嫌悪感を抱かせ、「駄作」とレッテルを貼るしかありませんでした。
しかし・・・・眺めれば眺めるほど、見れば見るほど、この感情は逆転していきます。
材質の悪い窓ガラスはHゴム一体で、KATO製と違いピタリと車体に合わさり、
良く見ているとHゴムを塗装していない強みか、柱など実物同様浮き出た表現になっています。
他の表現もなかなかどうして、初期のED75の50〜100号機にマッチした床下機器等、
多少あまいとはいえ実物を良く捕えていて、はじめのレッテルは何処へやら。
加工マニアの心を大いにくすぐるモデルです。
何とかKATOに近づけたい。。。。。。
ひょんなことから手持ちのKATO製耐寒型ED75のひさしがポロッと取れたので、
他の3つの角についたひさしもペンチで引っ張ってみると、簡単に取れます。
(接着剤が行き渡ってない不良品だったのか・・・?)
先にも書いたように、大変良く出来たこのパーツ。
KATO製品に近づけるにはKATOのパーツを使うべし・・・とエーダイ製への加工を計画しました。
①窓ガラスの加工
取り外しはKATOの「クハ457で習得したはずし方」を実施。
・柄が紙製の綿棒を半分に折り、使用する。
・外す方向の側の窓ガラスを、ボディの中から押し出しておく。
・反対側の窓ガラスを正面から綿棒の紙の柄で車体幅ぎりぎりまで押し込み・・・
・横からもう一つの綿棒の柄でスライドさせる。
外す方向の側の窓ガラスを中から押し出しておくのがミソです。大抵失敗しません
しかし・・・横にスライドさせるとき、焦って綿棒を滑らせてしまい、
窓一枚ガラスの柱がもげてしまいました。
外した後は、
・粗悪な平面性を隠す為に裏を黒く塗る・・少しグレーかブラウンを混ぜればよかったです。
・Hゴムの色いれ・・・・・・・・・・・・・白に近いグレーがお似合いです。
・デフロスターのところの色を剥がす・・・表からは全く目立たなくなってしまいましたが。。。
②ひさしの加工
ボディーに表現されたひさしモールドを削る。
彫刻等で斜めに車体側に傷つけぬように削りました。
・正面と側面の「R部分」の表現は残す。・・・製品の様に仕上げるのがミソ!
・ひさしの掻き取り部分に当たるヘッドライト下は、やや斜め下に平面に仕上げる。
・・・・やや斜めにする事で、掻き取りの部分だけHゴムが光に照らされて実感的。
・ひさしパーツの側面R部分だけを切り落とす。
③塗装
・組み上げ前に、ヘッドライトの下を筆塗り。
・ひさしパーツを裏からシャープペンシルの先で、瞬間接着剤で芋付け、
・位置決めした後、瞬間接着剤を盛ってやすってしあげ。
・最後にひさしの裏を筆塗り。
で完成しました。
ついでにスカートをKATO製に変更。
(最近、リニューアル品パーツを、LM328i方式で、ボディにはめ込み)
これだけでどうでしょう。
腕のない私にも、永大製の質の良さをかなり出せたかと思います。
KATOのひさし。これは本当に良く出来ています。
KATOもそれを知ってか、最近実際に掻き取りの形状の違うEF651000初期にも、
このパーツを接着してますね。
別売してもらえないでしょうか・・・・・・
KATO製ヒサシの欠きとりから漏れる光が実感的。スカートもKATO製。
永大の出した初回製品は、EF65PFと15系ブルトレ。
当時は、「何故KATOと競作するのか」。
しかもやたらと質の悪い窓ガラスばかりに目が行き、購入の対象にならない。
そんな中、この製品に合わせて、すぐに線路とトランスのシステム展開。
この意欲には大変に驚きを感じました。
しかしやはり、製品の窓ガラスばかりに目が行き、どうしても魅力を感じない。
この私の様に決して腕が無い人間が、
ひさしを取り替えて窓ガラスの裏を塗るだけの小加工事で、見違えるこの製品は、
倒産しているにもかかわらず、永大というメーカーの「将来」を感じてしまう、
隠された品質の高さを実感させます。
売れているからただ作って出す、という他メーカーと違います。
金属シュー付で、2枚の金属バネで(決して高くは上がらないが)よく追従するパンタが、
架線集電までをも想像させ、Nの世界で新しいレイアウト展開を十分に計画し、
実現されようといていた当時の永大社員の方々の・・・
製品に対する意気込みを感じ、とても残念に思うのと共に、
あと少し、バブルまで生き延びて生産が繰り返されていれば、
主要メーカーになっていたかも、と思ってしまいます。
TOMIX・・・・1000番台
EF30、DD54、と続き・・・・確かEF62もすでに製品化された後に発売予定されたTOMIXのED75は、
大変期待をもたせるものでした。
いよいよ発売を迎え月刊誌での紹介で見たその姿は、今までの各社製品のまさに集大成と感じ、
昔KATOで遊んだ若い世代がTOMIXに心血を注いだのではないか、という想像すら抱かせました。
早速現物を見たところ、下塗りが無いのか・・・黒いプラスチックの「地」が感じられ、
他のTOMIX編成モノが塗装の改良により質感をアップさせているにも関わらず、
少し残念な気持ちとなりましたが・・・・
しかし、そんなことをどこかに追いやるかのようなそのすばらしい出来に、
購入後持ち帰って、いつまでも眺めた記憶があります。
あのトミーナインスケールから、10数年後の出来事でしょうか。
その向上振りには痛快さすら感じました。
TOMIXの出す製品は、皆KATOと競作。その度に大きく水を空けられる。
そんな過去の繰り返しが、EF30発売の頃から様子が変わり、
この製品では、独自の表現がKATOを確実に超えた製品だったと記憶します。
その後、TOMIXもTNカプラーに発展。
EF81、EF63等、一層品質を向上させ、製品が出る度に驚かされます。
が、価格が比例して上昇していくのもびっくりしてしまいます。
今後、このブランドはどこまで進化するのか。
外観はここらで留めて頂き、走行性能をKATO並みにしてきてもらいたい等、希望がありますが、
このED75を手にした時、当時の永大の執念がTOMIXに乗り移ったのでは?と思えたのでした。
ED75・・・・決して同じ時期に各メーカー競作にならなかった、交流機の代名詞。
今後どのような改良、新機種追加があるのかわかりませんが、
各メーカーそれぞれの個性が独自に表現され、少しの手入れで格段に姿を変える。
加工マニアにはたまらない素材であり、今後研究し増備したい機種なのです。