*旧型客車の屋根をバラエティに
旧型客車はもう、実物を見たことのない方が増えているのでしょうね。
私の学生時代にはまだ、全国各地で青や茶色の旧型客車が活躍しており、
旧型客車を連ねた急行列車も走っていました。
その頃既に晩年だった彼らは、多種多様の車両がごちゃ混ぜになっていて、
製造時期、屋根構造、保守状態などにより、実に様々な表情を見せていたのです。
もちろん屋根も、黒かったり、灰色だったり、茶色だったり・・・さまざまでした。
ひるがえって、模型で製品化されている旧型客車を見ると・・・どれも明るい灰色ばかり。
編成に組んだとき、見事に「同じ屋根色」が連なってしまいます。
しかもほとんどは無塗装で艶もあり、実物のような様々な旧型客車の屋根とは程遠いのです。
そこで、ここでは、旧型客車の屋根にバラエティを持たせるということを主眼に、塗装をしてみました。
屋根の色を車両ごとに変えることで、旧型客車列車の持つ雑多な雰囲気を出してみるのです。
ではまず・・・代表的な製品の状態を、あらためて確認しておきましょう。
上3両は左からTOMIXオハ35青、KATOオハフ33戦後型茶、KATOオハ47ブルー旧製品
下4両は左からMODEMOスハ32、KATOマニ60、KATOスハ43ブルー新製品、TOMIXオハ61
この写真で明らかなことは、メーカー、車種、製造時期などで微妙な差はあるにせよ、
どれも似たような色になっていることです。
もうちょっと差があるかと思っていたのですが、並べてみれば見事に同じです。
KATOのオハフ33戦後型は鋼製屋根を意識してか、やや明るめの灰色ではありますが。
また・・・近年の製品であるKATOスハ43系やTOMIXオハ61系では、
ベンチレータが別パーツ化され、屋根とは異なる明るい色調になり、
雰囲気を向上させてくれていますが、
逆に屋根の艶が一層増してしまっているのは、残念なところでしょうか。
①.艶消しにする
まずは簡単に、クレオスの艶消しクリアスプレーを吹いたものです。
かなりしっかりと艶を抑えてくれるので、愛用しているスプレーです。
元の屋根は無塗装の樹脂でしたが、
これだけのことでも、屋根の艶が消えて、かなり落ち着きます。
しかもまるで灰色塗装されているかのようになります。
クレオスの艶消しクリアを吹いた例:KATOスハ43ブルー旧製品(右)
左は艶のある、製品のままの屋根。肉眼ではもっと違いがわかります。
②.濃い灰色にする
(1)タミヤのグレイバイオレット(ドイツ空軍色)
もうちょっと濃い色でもいいだろうということで、
試しにタミヤのグレイバイオレットを吹いてみました。
上からさらに、クレオスの艶消しクリアを吹いてみました。
しかしこの色は・・・製品の樹脂色とは思ったほど差がありませんでした。
まぁ、あまり極端に違うより、ある意味いいかもしれません。
また、作例は塗料のノリがあまりよくなかったのか、「まだら」っぽくなってしまいました。
こういう屋根があってもいいだろうと思いますが。
タミヤのグレイバイオレット+クレオスの艶消しクリアを吹いた例:KATOスハフ42ブルー旧製品(右)
左は艶消しクリアだけを吹いたスハ43。微妙な色合いの差に注意。
③.黒にしてみる
(1)タミヤのマットブラック
木製屋根+キャンバス貼りの屋根の場合、蒸機の煤煙やホコリなどが染み付き、
ほとんど黒に近い、焦げ茶色になることがあります。
そこでタミヤのマットブラックを吹いたものです。
艶消しクリアも吹いているため、かなり落ち着いた雰囲気になりました。
茶色い客車にはよく似合うと思いますが、如何でしょうか。
タミヤのマットブラック+クレオスの艶消しクリアを吹いた例:KATOオハ35一般型茶(右)
左は艶のある製品のままの屋根。黒屋根に塗膜の乱れが・・・肉眼ではわからなかったんですが。
(2)タミヤのマットブラック+茶系のパステル
これは完成品ではなく、
GMのキットを改造したオハ35張り上げ屋根車
です。
同じくタミヤのマットブラック+クレオスの艶消しクリアですが、
さらにその上から茶系のウェザリングパステルをまぶしてみたものです。
実物のように茶系の色が加わるため、より実感的だと思います。
タミヤのマットブラック+クレオスの艶消しクリア+茶系パステルの例:GMオハ35改造(右)
左はマットブラック+クレオスの艶消しクリアのみの作例。
フラッシュ撮影するとパステルが目立ちますが、肉眼ではここまで激しくありません
左から
マットブラック+艶消しクリア+パステルのオハ35(GM改)、
マットブラック+艶消し黒のオハ35(KATO)、
グレイバイオレット+艶消しクリアのスハフ42(KATO旧製品)、
艶消しクリアのスハ43(KATO旧製品)、
製品のままのオハ47(KATO旧製品)。