奥出雲おろちループ
木次線
14:10に残されたこの車両が運転手一人、私を含めた乗客三人で動き出す。 駅のホームもだんだんと遠ざかってゆく。数ある 山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡路線の中で、最も高い山間を抜ける木次線の始まり。
先程上から見下ろした線路を走り、乗ってきた路線を見上げる。 その境目である築堤の姿も石積みから草に覆われた土手となる。 デルタ地帯には田圃がひっそり佇んでいる。
出発して直ぐにトンネル、そして川を真上から縦断する。 インディジョーンズでは無いけれど、スリルと言うよりロマンを引き出してくれる。
にしても、蛇行している国道314よりも、 こちらはわりに真っ直ぐ進んでいるが速度制限が30以下の箇所が多く、 茂った木々も車両に覆い被さってくる。
この付近には竜王山・那智の滝・熊野川と、 あれ?と思わせるような名前を持った自然が在る。 因みに地元にある龍王山はここの半分以下の標高なのだが。
駅間6.6kmを11分掛けて走り油木駅。 ホームにあるのは比較的新しい待合室だけなので、おそらく駅舎は無くなったのだろう。 以前なら結構お目にしたのだが、今では時代を感じさせる駅名標がその名残なのか。
国道318号・三井野原道路
だらだらではなくゆっくりと走る気動車。 それだけ危険箇所も多く険しい処ということで、この辺りが広島県と島根県との境目。
県境越えして三井野原駅。 「高天原」と「おろちループ道の駅まで徒歩約10分で行けます。」は写真に撮れたのだが、 一番欲しかった標高726mは無理だった。にしても駅前スキーとは、 宗谷本線では良く目にしたのだが、緯度の関係から雪が積もる北海道とは違い、 ここは標高が高いから雪が積もるのだろう。
そして徐々に速度が落ちて眺めが良いところで一旦停止。 これは肥薩線の矢岳越え以来の出来事だ。
国道318号線三井野原道路は、奥出雲おろちループと言う愛称の方が有名とか。 赤いトラスは三井野大橋、ループ部は二重から成りその高低差は105mにもなるとか。 あたかも蛇が蜷局を巻いているようで。出雲の神話との掛け合わせも見事だ。
先頃に音戸の瀬戸を抜ける際に見事なループ橋を見たが、規模ではこちらが勝っている。
観光シーズンになると、トロッコ車両を連結した奥出雲おろち号も、 ループ橋やスイッチバックや山峡の景色を見せるために走っている。 でも、その手の観光列車にはあまり乗りたくはない。